2021年9月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. NEWS PICK OUT
    2. ビットコイン円
    3. イーサリアム円
    4. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■為替相場:10月11日、18日、11月15日
  • ■商品市場::11月1日、12月6日
  • ■仮想通貨市場:9月27日
  • ■株式市場:10月4日、11月1日
  • ■債券市場:11月2日

※9月20日の節目から、11月初旬に変化日が集中しており、市場に新しい変化をもたらすかもしれません。長期的なトレンドが発生する期間と予想しています

※9月20日時点、変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」

マーケット構図

 市場構図は株価調整の気配、ドル高からBOX、TLT(債券価格)で反発気配で、ゴールドはBOX、原油は上昇再開、資源通貨安、ビットコイン高反発と、新たな目線を構築しようとしています。

  • ■リスクオフ要素:ジャンク債(HYG)、CDS、TEDの監視、特にTLTの流動性
  • ■リスクオン要素:各国の緩和、景気刺激策
【参考】
finviz (株式市場の銘柄構成をヴィジュアルで確認しやすいサイト)
https://finviz.com/map.ashx?t=geo&st=w4

■トレード・アドバイス
 マーケット構図を把握することで、「投資シナリオを維持するか、再考するか」の判断ができます。例えば、基本構図が株高・ドル安で、次の日が株高・ドル高になれば、投資は様子見し、市場変化を見極める、という行動に移れます。

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 強気 上昇基調 140±50 140.00~153.00
ダウ 中立気配 上昇基調 33300±100 33300~38500
S&P500 中立気配 上昇基調 4200±100 4200~4700
日経平均 強気、中立気配 上昇基調 26900±100円 26900~31000円±50円
DAX 中立気配 上昇基調 14750±50 14750~16500
EUR/USD 弱気、中立気配 下落基調 1.1950±50 1.1650±50~
~1.1950±50
USD/JPY 中立気配 BOX基調 (コアBOX)109~110円 108.80±50~
111.80±50円
BTC/JPY 強気 上昇基調 470万円台 470~600万円台
GOLD BOX、中立気配 BOX基調 1747±50~1850±50 1747±50~1850±50
原油 強気 上昇基調 61±2 61.00~85.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2021年9月20日時点

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状3対7でアルゴリズムを優勢に判断します。経済指標の評価と株式市場の乖離に注目です。株価の水準を純粋に追いかける方が相性の良い地合いです。市場構図、銘柄選定、戦略が定まってきています。

 個人的には、ポションサイズは打診レベルの1/10~1/5サイズから増やして短期回転売買の打診が増えると思います。エントリーは攻める姿勢で打診、短期は価格動向を追いかけ、長期は長期で目線判断をしていきます。

 長期の目線では2、短期の下目線は8の割合でポートフォリオを構築しようと思います。

注目の経済指標

 当面、中国や米国の景気回復度合いを見比べます。8月の製造業PMIは中国が49.2と低下継続で鈍化判断、米国は55.4と3か月連続低下、景気後退が濃厚。

 消費者物価指数(CPI)は中国が9.5%と上昇鈍化、商品市場の影響を背景に高止まりした印象です。米国は5.3%と、こちらも上昇鈍化。インフレリスクの警戒を強めた印象です。

 世界各国の経済回復に陰りが生まれ、新型コロナの再拡大が懸念。株式市場の価格と経済指標の評価に乖離が生まれる予想です。マーケットに不穏材料が織り込まれながらも、株価は高い水準を維持しており、突発的な下落リスクが高まっています。

 短期は株価の上値が重い展開が予想されます。長期的に上昇基調であっても、回復が遅いと判断された場合、超短期の下落展開によって損失を被るかもしれません。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

■トレード・アドバイス

 経済指標は、GDPと消費者物価指数、製造業指数が判断材料の軸です。各国特徴があり、時期ごとに重要度合いは異なります。今は、製造業ですが、そろそろ、消費物価の注目度が高まる印象です。経済もブームがあり、タピオカの次はこの商品が来る、といったことと同じです(次は免疫を高める、ハチミツ?)。

主要な中央銀行の予想 2021年9月のFOMC予想

「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、9月のFOMCは現状維持を予想。テーパリングのアナスンスが予想されます。ドットチャートが変わったことにも注目です。

 市場はテーパリング織り込み始め、年内では高官発言が増える予想です。中国、米国の経済成長鈍化、インフレリスクへの警戒もありながら、ドルのBOX展開が続くようだとインフレの影響は緩やかになる見通しです。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場はCMC Crypto 200 Indexを見ると、ビットコイン、アルトコインは上昇再開で推移しています。グローバルマーケットの構図変化から、仮想通貨市場への選好も強まり、上昇の勢いが後押しされている格好です。

 仮想通貨ヒートマップ(下記リンク参照)を見ると、緑一色となり買い選好を強めています。CME仮想通貨の各オプション出来高の取引量は増加傾向で、高いボラティリティから仮想通貨への興味が湧いている印象です。

 仮想通貨市場は上昇継続の見通しです。ドルインデックス、ゴールドの相関を考察しながらの判断が続きます。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨のオプションの出来高
https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-options
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

■8月30日 楽天グループ会社が「NFT」の事業に参入
「NFT」(Non-fungible Token:非代替性トークン)はブロックチェーン技術を活用し、取引可能なデジタルコンテンツで、アートやゲームなど様々ものをデジタル上に保存できます。手軽にコテンツ作成と販売・共有が可能なことから注目を集めています。楽天が参入することで、市場規模の拡大に寄与するでしょう。

■9月7日 中米エルサルバドル政府がビットコインを法定通貨に指定
 中米エルサルバドル政府がビットコインを法定通貨に指定して、9月7日には政府が200BTC(約11億円)を購入したようです。仮想通貨を法定通貨として導入したさきがけとして、国内経済にどう影響するが現れるかなど非常に注目しています。導入された仮想通貨はエルサルバドル国民の買い物や納税、海外送金などに活用され、銀行口座を持てない人々にとってもメリットをもたらします。今後は他の国々も仮想通貨を活用していくのか気になるところです。

ビットコイン円

 ビットコイン円は、回帰分析では強気範囲(440~600万円台)で価格推移。上昇継続の展開で、短中長期で上昇基調を予想。基本は積み立て、中長期は上目線です。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が上回り、短中期のMAはゴールデンクロスで、買いシグナルが点灯。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは横ばいで、調整BOXシグナルが点灯。短中長期ともに上昇シグナルが現れています。

 回帰分析の弱気範囲の下限450万円台の到達から、回帰分析の回帰直線570万円台へ向けて反発気配となっています。フィボナッチ分析から410~480万円台は押し目水準となり、一旦は580~600万円台が上値目途となります。サイクル&リズム分析ではローソク足は陽線5本、陰線2から3本リズムから、上昇リズムを形成しています。フォーメーション分析は形成中のため判断保留です。

 オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は60付近推移、スローストキャスティクスは80付近推移、価格推移からオシレーター系は50ラインを超え買い継続シグナル。見方を変えれば、調整BOX推移する可能性もあります。

 注目度・先行性を測る出来高は増加傾向、売買意欲が強いです。価格帯別出来高から480~500万円台でサポートする支持帯を形成しています。底堅く展開しながら、600万円台に向けての上昇が予測されます。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇基調です。直近は470~500万円台で足場を固め、フィボナッチ分析などから600万円台が次なる視野になります。

 弱気のカウンターシナリオとして、下値470万円台を下回る展開になれば300~400万円台へ下落展開への可能性も考えられます。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では強気範囲(33~47万円)の付近で価格推移しながら、短中長期は上昇展開が予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAは上向きにゴールデンクロスで買いシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21への上昇線を描き、買いシグナル継続が点灯です。

 ローソク足は週足に目を向けると陽線4本、陰線2~3本とリズムの短期上昇リズムを形成です。サイクル&リズム分析からは、上昇リズムが強まりながら、適度な調整気配から継続的な上昇見込みです。一旦、深い調整も想定され注意が必要です。

 フィボナッチ分析から上値41万円、46万台が値抵抗帯との目安となります。回帰分析からは弱気範囲の下限28万円台までは押し目の目途となり、調整したらポイントです。フォーメーション分析では上昇フラッグ形成の可能性が高まり上昇継続のシグナル判断が近いです。

 オシレーター系のクラシックRSIは60台付近で推移、買い継続シグナル、スローストキャスティクスは80付近で推移しており、買い継続シグナルです。オシレーター系は全体に50ラインを越えて買い継続シグナル点灯です。見方を変えれば、調整BOX推移する可能性もあります。

 注目度・先行性を測る出来高は、増加傾向で買い意欲が増加。価格帯別出来高から38~40万円台が価格支持帯となり、地盤を固めて、上昇継続を想定です。上値抵抗帯として、40~43万台で価格推移したのち、50万台へ向けての展開も予想されます。出来高分析からは買い支えのシグナルが強まっています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、強気メインシナリオは上昇基調で、34~42万円台±1円で推移しながら上値を打診想定です。フィボナッチ分析から40万円台が重要となり、上値加速で52万円台±1万円を目標に強気展開が想定されます。

 弱気カウンターシナリオは32万円台を割りこみ、29万円台、25万円台、23万円台まで抵抗なく下がっていくようなら、売りの加速を呼び込むかもしれません。

リップル円

 リップル円は回帰分析の強気範囲(101~160円)の付近で価格推移。上昇再開から調整気配です。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21などで上昇線から買いシグナルが点灯しています。短期MA、長期MAのゴールデンクロスで買いシグナルです。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは横ばいからBOX調整シグナル点灯です。調整気配もあり、短期的な調整下落には警戒です。

 ローソク足は陰線、陽線約4本、陰線2~3本のリズムで、調整気配、押し目探しの展開です。サイクル&リズム分析ではサイクル変化から、急激な上昇展開から調整が意識されます。フィボナッチ分析から、下値89±1円、108±1円は押し目の目途とされます。上値は154±1円が意識され、何度か上値を試す展開が予想されます。フォーメーション分析は形成中のため、判断保留です。

 オシレーター系のクラシックRSIは56付近で推移、やや下方向となり、調整BOXのシグナル、スローストキャスティクスは80付近で推移から売りシグナル手前です。オシレーター系から50ラインを越えて買い継続シグナルとして判断できます。見方を変えれば、調整BOX推移する可能性も高まります。

 注目度・先行性を測る出来高は増加傾向で売買動向の変化が意識されます。価格帯別出来高から上値144~155ラインに厚い上値抵抗帯があり、当面、108~152±1円付近で地盤を固める想定です。出来高分析からは買いの支持が集まっています。同時に調整気配もあり、下値107±1円がサポートラインとなる予想です。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇基調となり、フィボナッチ分析などから、直近の上値目途154±1円に向けての展開が予想されます。ブレイクアップした場合190~195±1円への上昇加速が予想されます。

 弱気のカウンターシナリオも見ておきましょう。100~102±1円は押し目水準ながら、87±1円を下回る展開になれば、下落加速で50円台も想定されます。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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