2021年11月23日10:00 | シナリオ分析
【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- 狐のミニミニコラム
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブカウンターシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の変動幅(10月)】
- ■ダウ:+3.40%
- ■日経:+3.71%
- ■S&P500:+5.51%
- ■DAX:-2.88%
- ■ドル円:+0.15%
- ■ユーロドル:-1.23%
- ■ビットコイン円:+14.89%
- ■ゴールド:+3.53%
- ■原油:-0.63%
- ■TLT(債券):+1.71%
株式市場は下落傾向から反発、ドル円は小幅に上昇、ユーロドルは下落傾向、ビットコインは上昇再開から歴史的高値形成。一時、リスクオフ傾向もあり、ゴールド上昇、原油は高騰から調整展開。
Fear&Greed Indexは83台の推移で、数値上では平穏に包まれた地合いです。VIX(恐怖指数)は16%台で推移。2つの指数から、短期的な市場観測としてリスクオン5、リスクオフ5の割合での投資方針で問題ないでしょう。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■2018年11月、2019年9月、2020年3月、5月、11月のマーケット変化に注目 ☆
- ■米国の景気刺激策への期待 ↑
- ■コロナ終息、経済正常化の織り込み ↓
- ■11/25感謝祭で節目の季節性 ↑↓
- ■米国インフレ懸念 ↓
【マーケットメモ(長期)】
- ■主要中央銀行のテーパリング議論開始 ☆
- ■コモディティ・インデックス、エコノミックサプライズ指数に注目 ↑
- ■中央銀行デジタル通貨(CDBC)の検証 ↑
米国の株式市場の下落が落ち着きながらも、米国経済指標の鈍化が目立ち、10月の消費者物価指数(CPI)は6%台と、インフレ懸念が市場を覆っています。慎重姿勢のマーケット地合いです。
短中期は株価調整、ドル高調整の様相で、長期では株価上昇の勢いが鈍化するかもしれません。ドルもゆくゆくはBOX展開になりそうです。短中期、長期共に投資戦略、銘柄選定が定まり、方向性が明瞭になる想定です。
11~12月はシーズナルチャートから、中期トレンド形成の傾向から、中長期ポジションの目線の判断を重要視したいです。例年、感謝祭を境に、ピークアウトするなど、マーケットの節目を形成しながら、トレンド起点が生まれる傾向です。投資比率、短期投資は2、中長期投資を8の割合で検討したいです。11月から12月に中長期トレンドが明瞭になると予想します。
■トレード・アドバイス
マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は先進国が101台に乗せるなど景気回復基調から、半年以降の経済見通しは明るいことを示唆しています。MSCI ACWI Index(世界株価指数)は続伸756台で推移です。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンが+1.70%とプラス展開に推移です。
マーケットメモの総括としては、世界経済は回復傾向で中長期の投資戦略は上目線が基本方針ですが、市場懸念からの下落幅を形成ながら、上昇再開を繰り返す印象です。3つの指数から長期的な市場観測にリスクオン4、リスクオフ6という局面を想定し、各市場・銘柄への投資姿勢を構築していきます。
■トレード・アドバイス
全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。
NEWS PICK OUT
■11月2日 BOEが利上げ見送り
イギリスの中央銀行、イングランド銀行はインフレ懸念から利上げするのでは、という市場関係者の見方もありましたが、利上げは見送りとなりました。それでもマーケットは利上げを想定した展開になっています。米国、欧州、日本の順番に利上げする予想もありますが、利上げによる市場反応には不透明な部分もあり、不穏要素として一時的な急落反応に警戒です。「テーパリング」「利上げ」の言葉には慎重な姿勢が求められます。
■トレード・アドバイス
報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。
狐のミニミニコラム
先月同様に、ハロウィン・ストラテジー。ハロウィン終わりに買って、4月末に売る、半年間の売買目線を検討します。例年は11月25日の米感謝祭を境に市場の節目を形成しながら、中長期のトレンド判断をします。
直近の相場見通しは、インフレ懸念で短期の調整の心配がありながらも、強い米株の回復を見込んでいます。コロナ蔓延による経済鈍化も意識される一方、ワクチン接種率から経済活動再開の回復見通しが強まっています。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
【打診 短期回転売買】 保有を検討
目先は「打診、保有、目線固定」姿勢でマーケットと向き合います。打診⇒短期回転売買の姿勢です。伸びるようなら保有してゆきます。投資指針の軸は「株式市場の見極め」、「ドルBOX展開」が中心です。方向を見定めながら、目線固定の長期保有を意識して投資に臨みます。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■米株 買い増し IT企業投資低水準
- ■アジア投資が積極的
- ■オルタナティブ投資が増加傾向
- ■ダウンサイドの対応力
ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ファンダメンタルの状況から、ヘッジファンドはマーケットを強気の見通しです。米株の調整下落が終えた局面から、買い増しが増えています。転換シグナルが増加傾向です。
米長期金利の動向は下落局面を迎えたら、株高が意識されるため、低金利・配当株高への構図も予想されます。テーパリング影響下では、市場参加者は慎重姿勢を深めながら、様々な市場へ資金を移動させます。欧州債券、アジア投資など復活傾向にあり、オルタナティブ投資への熱も高まっています。目先、新興国投資は好機の印象もあります。米国株価が堅調ならば積極的になるでしょう。
全体を見渡すと、銘柄、投資先が定まり、アップサイド、ダウンサイドへのシナリオも固まり、ヘッジファンドに有利な投資環境になってきた印象です。
Eurekahedge Hedge Fund Indexの10月の評価が+1.51%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが+3.72%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexは+26.65%、全体的にパフォーマンスは回復傾向です。株高、ドルBOXの兆しです。ヘッジファンドの投資環境が整った印象です。
SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は-0.86%低下傾向、自動売買のSG CTA Indexは-0.45%、株価は+1.14%、FXは-0.01%、債券が-1.56%商品は-0.50%で、全体のポートフォリオは-0.76%です。全体的にダウンサイドから調整局面のシグナルです。投資意欲低下に警戒です。
■トレード・アドバイス1
ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。
プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。
■トレード・アドバイス2
国際通貨先物市場(IMM)データをもとに、FXに役立つ情報を得ることも可能です。2021年11月6日週時点のデータとIG Client Sentimentも参考に、ドル円とユーロドルを見ていきましょう。
・ドル円:買いポジション減少、売りポジション増加⇒上目線、買い優勢
【買いポジション29%/売りポジション71%:売り優勢】
・ユーロドル:買いポジション減少、売りポジション増加⇒下目線、売り優勢
【買いポジション71%/売りポジション29%:買い優勢】
ヘッジファンドや機関投資家、投機筋の買い・売りにおける保有ポジションの状況から為替相場の動向を予想をします。IMMデータは「前週における分析結果」なので、現在のチャート動向との比較が大切です。
データの傾向から(1)から(4)の投資行動が考えられます。また、これらは中長期ポジションの目線であり、「自身の短期目線と同じかどうか」など投資姿勢の確認にも有効です。
(1)買いポジション過熱:下落の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、売り目検討もしくはシナリオの再考
(2)買いポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
(3)売りポジション過熱:上昇の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、買い目検討もしくはシナリオの再考
(4)売りポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
※(1)と(3)は「シナリオの再考」、(2)と(4)は「好機継続」と考えられます。
メインシナリオ
【2つの目線】 価格に従い、長期の目線
短期と長期の2つの目線の準備と打診をしていきます。マーケットの節目が現れ、長期の方向性が定まりだしています。打診から保有への意識を作り始める頃です。
各国の利上げが織り込まれ、短期的なパニック下落に警戒しながら、長期トレンドが発生する傾向にあります。短期は価格に従いテクニカルで追いかけ、長期は一歩二歩引いてマーケットを観察しながら、見定めてゆくのが賢明です。
カウンターシナリオ
【弱気な秋相場】
株式市場の調整気配が強く、FOMCの利上げに向けたショックに対する警戒心もあり、弱気心理が蔓延すれば市場全体が下落する可能性も考えられます。
ダウがカウンターライン28000~33000を割り込む場合、買い目線はヤメです。株価の大幅な下落を呼び込む可能性があります。新型コロナ流行再開、中国経済鈍化など、パニック相場には注意しましょう。どこで目線を切り替えるか、事前にシナリオを描くといいでしょう。
サブカウンターシナリオ
【新型コロナ再拡大の懸念】
各国でコロナワクチン接種が進みながら、新型コロナ感染者数の再拡大を見せる地域が急増し、不安が広がるシナリオです。米国でも3度目のワクチン接種予定など、ワクチン接種率、景気回復への動向がポイントです。
流動性相場から業績相場へ移行すると、上昇銘柄・下落銘柄の判別が必要となります。投資先の組み換え、テレワーク銘柄からアフターコロナの経済活動に向けた、次の銘柄を探ることになります。