2019年11月13日16:00 | シナリオ分析
【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブ・カウンターシナリオ
- セカンド・カウンターシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の先月比変動幅】
- ■ダウ:+3.22%
- ■日経:+7.03%
- ■ドル円:+0.51%
- ■ビットコイン円:+6.89%
- ■ゴールド:-1.54%
- ■TLT(債券):-3.94%
リスクオンの展開が予想されます。ダウ、日経、ドル円 ビットコインは先月から反発。一方リスクオフ銘柄のゴールド、TLT(iシェアーズ 米国国債20年超ETF)は売り模様で調整展開へ。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■世界的な金融緩和期待、中国経済の減速懸念、米中貿易交渉の合意進展EUからイギリス合意なき離脱の可能性低下、リスクオン上昇
- ■EU合意なき離脱、米中貿易摩擦への懸念、イランとサウジアラビアの対立、米国の北東部シリア撤退によるトルコへの牽制など、中東地政学リスク、香港情勢、リスクオフ下落
- ■リスクオフとリスクオン併存する構図
【マーケットメモ(長期)】
- ■世界経済成長の減速懸念
- ■金融緩和政策の利食い
- ■米中貿易摩擦での混沌を織り込む
- ■株価動向とTLT(債券)に警戒感
- ■リスクオフ下落の可能性
リスクオン優勢の展開、米国株式の歴史的高値更新など株牽引の地合い、上昇トレンド形成の上目線を軸に、リスクヘッジで何を買うか? 打診的に目線を見極める局面が続きます。
OECD景気先行指数データは半年先の転換を先行表示される。現在は100を下回り、99付近で推移。(1)景気停滞のシナリオ、(2)底入れで景気回復シナリオの2つを予想できます。
また、VIX(恐怖指数)は月間13付近で推移、先月比-18.60%で市場は楽観的推移、10-20の推移は安定市場を示しています。見方を変えると、VIXはショートポジション残高が過去最高水準となりボラティリティの増加はリスクオフへの転換する力を貯めているとして警戒感もあります。
NEWS PICK OUT
ウォーレン・バフェットが会長を務めるバークシャー・ハサウェイは、第3四半期の営業利益が過去最高を更新という報道がありました。
記事によると、彼の手元には1280憶ドルがあるそうです。彼が現金化していることは「マーケットへ慎重な姿勢を取り始めている」とも考えられ、もしくは投資先が飽和状態という可能性もあります。オルタナィブ投資の新しい銘柄が求められています。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
冬霧と光、冬の霧にさむざむしながら、どこか重い感じも。マーケットには光が差し込みだしています。ロンドンの夜霧にも光が見え隠れしています。この光の導きを素直に喜ぶか?危険と判断するか?考えながら、中期のポジションを打診する時期です。
ポートフォリオを考えながら、株式市場の上目線、リスクヘッジで商品市場の上目線を考えます。シナリオ通りに動いているか?打診しながら動く時期です。「この戦場で勝負しよう」と、どこかで決心を迫られるマーケット。
短中期は株高を前提に買い進めるマーケットです。アセットアロケーション(投資配分の変化)はリスクオン、リスクオフが入り混じる展開を中長期で予想。
マーケットは今までの悲観的なムードから楽観的になりつつありますが、まだ疑心暗鬼な投資家も多く、市場は変化してゆくことが想定されます。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■株式市場を中心に買い戦略、リスクヘッジで商品市場を買い戦略
- ■イベントやニュースによる突発的な動きに対応する短期の逆張りトレード戦略
ヘッジファンドは、世界的な景気減速の警戒感から、緩和期待による株高推移と考えているでしょう。
緩和政策が生み出す株高トレンドとは別に、彼らは香港やインドネシアでの市民暴動、イギリスEU離脱、中東地政学的リスクなど、市民と政府への対立がどう決着するのか、注視しています。
ネガティブなイベントが発生したとき、価格が走り出しても短期的に戻ることを想定し、目先は逆張りの投資戦略が有効、と判断するヘッジファンドもあるでしょう。逆張り戦略を試みる場合、最近は3~5日間のリズムで下落から反発する傾向が多いため、リスクオフから市場心理の落ち着くタイミングを探り、冷静に投資機会を見出す行動が大切です。
ヘッジファンドはカウンター戦略として、悲観シナリオも想定します。現在の市場は株高とTLTのバランスが注目されており、それが崩れた時はリスクオフに移行します。
ただしイベント材料が頻繁に現れ、相場がそれに慣れてしまう場合はトレードを再検討する可能性も。ヘッジファンド戦略はマクロ経済の変化、自動売買のパフォーマンスと共に構成されます。
ヘッジファンドによる自動売買の例として、7日の米中関税を段階的に撤廃する合意の報道、8日ナバロ米国大統領補佐官が合意を否定という報道がありましたが、これらニュースに対しアルゴリズムで市場の反応を見た可能性があります。上昇幅、下落幅を確認した印象です。
去年はヘッジファンドのパフォーマンスが弱かったので、市場への対応が変化することも予想されます。
メインシナリオ
短中長期、強気シナリオです。株式市場を中心に買い打診。もちろん予想外の事態が訪れようとも身を守れるように、万が一には備えておきます。
商品市場は積み立て戦略で調整売りに警戒、債券市場のTLT、為替市場は様子見が中心。シナリオ修正のために、TLTとドルのバランスを監視します。ビットコインは買い目様子見のシナリオです。
中長期の目線は、来年4月から5月までのトレンドを軸足に楽観的に見ています。米中貿易交渉、イギリスのEU離脱などの不確定要素も、楽観的に織り込み、上昇相場のシナリオ。
その他、注目しているのが、REITの不動産動向です。やや先行したシグナルとして監視対象。日本市場だと東京オリンピック景気ピーク、消費増税後の落ち込みに悲観になったら買い目打診となります。
債券、商品、再生系ファンドの動きも活発になり、日本、中国に異変が起きても、ヘッジファンドによる救済準備は整っています。
直近ビットコインも緩慢な値動きり、CMEのビットコイン先物データから、出来高、ヘッジファンドのポジション量も減っています。マイニングデータは停滞推移で横ばい、リスクオンの地合いによって、従来のマーケットに資金移動が起きている下落判断です。長期的に上昇積み立ての銘柄判断です。
ここで、相場の格言を。
“Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria” by John Templeton
──「強気相場は、中で生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」
ジョン・テンプルトン
現在は格言に似たマーケット展開で、容易に新規では買えない状況のまま株高にハイキングしています。懐疑的だが打診してゆかなければらない――、これはリスクオン特有の地合いです。
米株は高値圏で推移する見通しですが、避難先の銘柄も強く、リスクオン・リスクオフ銘柄が併存する市場のため、下落への備えが大切になります。
事前のシグナル感知として、 REIT(不動産価格)TLT(債券価格)ゴールド、円、スイス、ビットコインの観察を強めています。避難銘柄の価格高騰は危険なシグナルで、債務担保証券(CDO)、ジャンク債(HYG、マーケットクラッシュの前に注目を浴びる)の動向変化にも警戒しましょう。
カウンターシナリオ
株価崩落に警戒しながら、下目線に備えるシナリオです。
株価が高値更新をしていても、投資家に天井と判断されたら、一気に失望売りのシナリオに転換する、ということは歴史が証明しています。高値圏で推移する株式市場は飽和状態であり、一旦は大幅な調整幅を求めている声が多いのも頷けます。
トレーダー、アクティビストなどは株価を割安にしたいため、メディアなど利用して評価を下げる広告的な記事が増えることも考えられます。
相場が転換する基準として、ダウの26000~26500近辺をイメージしています。
サブ・カウンターシナリオ
香港への中国軍事介入、中東地政学リスク、イギリスEUの合意なき離脱、中国の人民元の切り下げと米国国債売り、など悪材料に市場が反応して、深い調整を求めるシナリオです。
先月と大部分は同じですが、悪材料が解決される見通しが広がり、リスクオン相場に展開したところ、別の悪材料が表れると、短期的な調整を呼び込み、展開に変化を起こす可能性があります。
突然の雷鳴に驚き、逃げ出してしまうように、噂ベースの報道に注意です。
セカンド・カウンターシナリオ
米中関税合意、イギリスがEU離脱をしない、などポジティブサプライスによるシナリオ。楽観的な思惑から利食いが行われると、急騰・急落の幅が大きくなるため、覚えておきましょう。直近では、12月のEU離脱を問うイギリスの総選挙は、注目です。