苅田の秋空 10月の短中期マーケットシナリオ分析

【目次】

  • グローバルマーケットの考察
    1. マーケットメモ
  • グローバルマーケットのシナリオ分析
    1. 今月の投資スタンス
    2. ヘッジファンドの投資指針
    3. メインシナリオ
    4. カウンターシナリオ
    5. サブ・カウンターシナリオ

グローバルマーケットの考察

【主要銘柄の先月比変動幅】

  • ■ダウ:-1.19%
  • ■日経:+0.83%
  • ■ドル円:+0.38%
  • ■ビットコイン円:-19.91%
  • ■ゴールド:-0.93%
  • ■TLT(債券):-0.69%

 市場心理がやや改善され、リスクオン銘柄の日経、ドル円は反発。一方リスクオフ銘柄のゴールド、ビットコイン円、TLT(iシェアーズ 米国国債20年超ETF)は売り模様。

マーケットメモ

【マーケットメモ(短中期)】

  • ■世界的な金融緩和期待、中国経済の減速懸念、リスクオン上昇
  • ■香港情勢、イタリア政局、インドネシアの暴動、リスクオフ下落 
  • ■リスクオフとリスクオン併存する構図

【マーケットメモ(長期)】

  • ■世界経済成長の減速懸念
  • ■金融緩和政策の利食い 
  • ■米中貿易摩擦での混沌を織り込む
  • ■リスクオフ下落の可能性

「リスクオンによる上昇」「リスクオフによる下落」、この2つの目線が交錯することになる。直近はややリスクオン優勢の展開だが、当面、上下に大きな値幅は望めず、目線を探るBOX相場となる。トレンド形成を見極める局面が続く。

【参考】
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)
https://data.oecd.org/leadind/composite-leading-indicator-cli.htm

 OECD景気先行指数データは半年先の転換を先行表示される。現在は100を下回り、99付近で推移。(1)景気停滞のシナリオ、(2)底入れで景気回復シナリオ、の2つを予想できる。

グローバルマーケットのシナリオ分析

今月の投資スタンス

 マーケットシナリオを考えると、苅田の秋空、稲を刈り取った田園を眺めながら、来年の相場を考える時期です。

 例年10月は、来年のポートフォリオを再構築する重要な季節。どのような戦略で、どの市場に、どれくらいの規模で投資をするか。思い描くポートフォリオがある程度は仕上がりつつも、打診の取引も織り交ぜながら、イメージする相場になっているかを確認します。いろいろな洋服を試着しながら、「この服だ」と思えるまで検証を繰り返す、この時期はそんなマーケットです。

 10月中旬まで、市場の季節調整とアセットアロケーション(投資配分の変化)を意識しながら、中長期の目線を固めます。トランプ発言によるフラッシュ・ニュースへの相場順応や市場心理の楽観と悲観の切り替えが激しいマーケットが想定されます。

ヘッジファンドの投資指針

 イベントドリブンやニュースによる突発的な動きに対応するトレード戦略が中心となるでしょう。

 米国株式相場は、トランプのツイートによるドル高牽制と利下げ期待で、株高を維持しています。

 目先は香港、インドネシア、イギリスEU離脱、中東地政学的リスクなど、ネガティブなイベントで走りだした価格が、短期的に戻ることを想定し、逆張りでの投資戦略が有効に機能する見通し。

 直近だと5日間のリズムで下落から調整して反発する傾向が多く、リスクオフになっても、市場心理の落ち着くときを探り、投資機会を見出す行動が大切となるでしょう。

 カウンター戦略として、イベント材料が頻繁に現れ、相場がそれに慣れてしまう場合はトレードを再検討。戦略はマクロ経済の変化、自動売買のパフォーマンスと共に考えます。

 自動売買アルゴリズム戦略は、ブレイク型、短期売買の設定が中心。突発なニュースには弱く、ポジションサイズ、ボラティリティ急騰には警戒が必要で、ポジションサイズを減らします。もしくは、順張り型で長期戦略も検討したいところ。去年はヘッジファンドのアルゴリズムによるパフォーマンスは弱く、市場への対応変化を予想される。

メインシナリオ

 短中期も長期も中立シナリオです。今は銘柄を選定し、その銘柄を売るのか買うのか、の方針を考える時期。短中期の目線は自動売買を中心に目線を探り、打診したい銘柄を吟味します。

 長期の目線は、来年4月から5月までのトレンドを模索して、良好な地合いになる銘柄、市場を探します。注目しているのが、不動産、債券、商品、再生系ファンドの動向であり、お金の動きが変わる気配を感じます。直近ビットコインも緩慢な下落をしており、ヘッジファンドのポジション量も減っています。

 現時点では、1つの市場や銘柄が素直に強くなる希望的観測は持てず、楽観と悲観を繰り返し、中立へと全体に移行期の地合いと見ながら、トレードを行います。

 米株は高値圏で推移する見通しですが、避難先の銘柄も強く、リスクオン・リスクオフ銘柄が併存する市場のため、他市場との乖離が心配されます。

 現在は、ヘッジファンドが活躍するマーケット構図で、リスクに備えた運用ヘッジが重要です。一方が損しても、もう片方でプラス収益を確保してゆく投資手法とポートフォリオが大切になります。

 また、ロイターでJPモルガンのBS縮小の報道があったことにも注目です。これはリスク警戒感の高まりを示し、正しい投資行動は、ポジションサイズの縮小、投資先を再検討となります。ヘッジファンドのパフォーマンスは好調ですが、何かでリスクをヘッジして運用することが重要になります。

カウンターシナリオ

 NYダウの歴史的高値27359ドルを試し、最終反発の波と判断されたら、失望売りのシナリオに転換する可能性があります。

 現状は、利幅を望めないほどの高値で推移しているため、米株や日本株などは割高評価も見受けられ、こういったときには、割安にしたいトレーダーが売りを狙ってくることも多いです。相場下落時には、短期の売り仕掛けで利益を拾うか、それとも下落追随するか、を検討します。

 株価崩落に警戒しながら、下目線に備えるシナリオです。

サブ・カウンターシナリオ

 香港への軍事介入、中東地政学リスク、イギリスEU離脱問題、中国の人民元の切り下げと米国国債売り、など悪材料に市場が反応して、深い調整を求めるシナリオです。

 悪材料に対して市場は順応している面もあり、短期の調整に終わる傾向がある可能性もあります。

 10年超の経済活動から生まれる、ブラックスワン。新しい悪材料には非常に警戒が高くなります。悪い兆しの先行シグナルとして、土日にビットコインの値動きに注目。週明けリスクオフで動く銘柄のトレンド形成予想に役立つので参考に。

 リスクヘッジ銘柄、REIT(不動産価格)TLT(債券価格)ゴールド、円、スイス、ビットコインの観察を強めています。避難銘柄の価格高騰は危険なシグナルです。また、債務担保証券(CDO)、ジャンク債(HYG)の警戒(マーケットクラッシュの前に注目を浴びる)の動向変化にも警戒しましょう。

【参考】
「ディストレスト」サイクルがやってくる
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-13/PW5VQQ6JIJUP01

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

keyboard_arrow_up