2019年12月19日17:00 | シナリオ分析
【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブ・カウンターシナリオ
- セカンド・カウンターシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の先月比変動幅】
- ■ダウ:+0.47%
- ■日経:+3.09%
- ■ドル円:+0.53%
- ■ビットコイン円:-15.31%
- ■ゴールド:0.55%
- ■原油:+3.17%
- ■TLT(債券):+0.93%
リスクオンとリフクオフの併存。ダウは歴史的高値圏で推移、日経、ドル円は小幅推移 ゴールド、原油、TLT(債券)は反発、ビットコインは下落推移の展開です。クリスマス休暇を意識しながら、リスクオン銘柄は高値圏、リスクオフ銘柄はリスクヘッジでの買い支えがあります。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■世界的な金融緩和期待、中国経済2020年経済成長目標6%是後、米中貿易交渉の合意進展EUからイギリス合意なき離脱の可能性低下、リスクオン上昇
- ■米中貿易摩擦への懸念、イランとサウジアラビアの対立、米国の北東部シリア撤退によるトルコへの牽制など、中東地政学リスク、香港情勢、リスクオフ下落
- ■9月からのマーケット変化が重要
- ■リスクオフとリスクオン併存する構図
【マーケットメモ(長期)】
- ■世界経済成長の減速懸念
- ■金融緩和政策の利食い
- ■米中貿易摩擦での混沌を織り込む
- ■株価動向とTLT(債券)に警戒感
- ■リスクオフ下落の可能性
米国株式の歴史的高値圏で推移しながら更新で上値余地が限られ、2019年9月を境に変化した地合い。今後はバリュー株、循環株、また、新興国市場の成長度合いが大切になるでしょう。当面はリスクオン上目線で市場環境の見極めが肝になります。
OECD景気先行指数データは半年先の転換を先行表示されます。現在は100を下回り、99付近で推移。(1)景気停滞のシナリオ、(2)底入れで景気回復シナリオの2つを予想できます。新興国の市場推移によっては、景気回復シナリオが優勢となります。
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターン1.57%の上昇展開、世界の株式市場は順調です。同時に、S&P新興国総合指数とのバランスが重要になってゆくことを示しています。
VIX(恐怖指数)は月間12~13付近で推移。移動平均は15.8、先月比-4.54%で市場は楽観的な推移をしており、株高を支えています。VIXが10~20で推移する間は市場の安定を示します。一方でVIXはショートポジション残高が過去最高水準を更新推移しており、リスクオフへ突発的に変化するケースへの警戒感もあります。
NEWS PICK OUT
世界的な資産運用会社ブロックロックは、米国株を中立判断、ユーロ株の投資比率を引き下げ、日本や新興国の投資比率を高めた、という報道がありました。
こうした報道が増えており、世界市場の景気サイクルの変化が伝わります。世界経済の減速懸念はややブレーキとなり2020年第1四半期に回復シナリオへ移行する期待が高まります。
もう1つの注目ニュースとして、外国為替及び外国貿易法(外為法)の一部を改正する案が閣議決定された、ことも取り上げます。これは日本の上場企業のうち、特定の事業に関する株式を外国人投資家が取得する際に、今まではその取得比率10%を超える場合、日本政府への届出が必要だったのに対し、改正案では1%の取得でも届出が必要となります。外国人投資家の日本への参入障壁になるのでは、とも思える改正案です。
外為法改正は、国際金融やヘッジファンドでは注目の話題です。法改正によって、外国人投資家から日本への評価がどうなるか、市場流動性への変化がどうなるかなど議論を呼んでいます。
自由な投資を阻害する可能性、出資を募る際の煩雑さやコスト増、日本への外国投資額が透明になる、など法改正による影響は様々ですが、アクティビストたちが外国投資比率をどうしていくのかを定点観測し、市場への影響を見定めます。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
雪踏みして、足元を固めながら道を作る最中ですが、来年のマーケット見通しは明るくなり始めています。春頃にはしっかりとした道を歩けるでしょう。新しい希望を見え隠れしています。
今年はこの道だ、とマーケットが呼ぶような中長期のポジション目線が定まりだしています。ポートフォリオはリスクオン、リスクオフを意識しながら形成中です。
マーケットの市場心理は楽観的ですが、突発的な悲観に警戒をしながら、足元を固めてじっくり登ってゆくような投資姿勢が大切です。もうじきクリスマ休暇シーズンに突入します。雪道で滑らないように、1歩1歩、危ないと感じたら躊躇わず、勇気を出して戻ることが大切です。
2020年は1月10日前後で市場に対する目線を再考したのち、トレードを開始する予定です。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■先進国と新興国のマクロ景気サイクルの変化
- ■株式市場を中心に買い戦略、リスクヘッジで商品市場を買い戦略
- ■イベントやニュースによる突発的な動きに対応する短期の逆張りトレード戦略
- ■仕掛け売りしたい銘柄を選定中
ヘッジファンドは、世界の景気を探る指標に関し、新興国と先進国とのバランスを重要視しつつあり、各国の市場で売買比率を調整しています。去年の9月パフォーマスが勝者を分けた印象です。次なる変化は第1四半期を見極めることになります。
イギリスの総選挙が終わりましたが、EU離脱の正式な決着はまだ先になりそうです。また、香港をはじめとする暴動問題や中東の地政学的リスク、米中貿易交渉の報道など、突発に市場へ影響を与えるトピックは多くあります。ウワサが報道されたときのアルゴリズムでのトレード&値幅測定は、本当の報道されたときへのデータ検証であり、値動きが限定的になる点は留意しておきましょう。
彼らは通常時ではポジティブに買い進めて、ネガティブなイベントが発生したとき、逆張りの投資戦略を有効的と考えます。逆張り戦略を試みる場合、最近は3~5日間のリズムで下落から反発する傾向が多いため、市場心理の落ち着くタイミングを探り、冷静に投資機会を見出す行動が大切です。
現在の市場は株高とTLTのバランスが重要であり、ウワサの報道(例えば米中貿易交渉合意など)があれば、ヘッジファンドのアルゴリズムが上昇と下落幅を確認して、報道が本当かどうか判断します。これは我々も活用できることなので、株価とTLTとのバランスには注目しておきましょう。
ヘッジファンドの戦略におけるイベント発生時の投資、マクロ経済の判断、自動売買(パフォーマンスが好調のため)などが、自身の投資戦略を組み立てる上でも参考になります。彼らと同時に「何を仕掛けてゆくか」を探るイメージです。
メインシナリオ
12月のトレードはもうお休みです。やるとしても、アルゴリズムや自動売買が中心となります。1月に投資を再開する際は、短中期、長期ともに強気シナリオが基本姿勢です。
株式市場は買い目打診、商品市場は積み立て戦略で調整売りに警戒、債券市場はTLTをチェック、為替市場は様子見からドル高への変化で、他通貨にも関心はあり、基本買い目です。シナリオ修正シグナルとして、TLTとドルのバランスを監視します。ビットコインは買い目様子見で、短期は売りシナリオです。
中長期の目線は、来年4月から5月までのトレンドは回復見通しで見ています。米中貿易交渉、イギリスEU離脱交渉長期化などの不確定要素織り込み、米国市場の回復サイクルが世界に波及し、循環株、バリュー株、新興国市場の順に、回復への道のりを確認したいです。上昇相場の展開がメインシナリオです。
その他、日本のREIT(不動産価格)に注目しています。東京オリンピック開催後、消費増税による景気落ち込みがあるのか、確認したいですね。市場が下落したら割安として捉えて、買い目打診となります。再生系ファンドの動きも活発になり、日本株ヘッジファンドの増加など、香港暴動から、シンガポールへの動きも活発なるなど、国際政治とマクロ経済動向は変化の兆しが伝わります。
ビットコインは下落展開です。CMEのビットコイン先物データから、出来高の急激な増加が確認でき、これはヘッジファンドが売りを仕掛けていると思います。マイニングデータは停滞推移の展開。さらに従来金融市場では資金移動が起きており、ビットコインの短期目線は下落するという判断でいます。ビットコインは、長期目線での上昇を期待する積立銘柄でしょう。
米株を中心に判断見通しで、避難先の銘柄も強く、これはヘッジファンドが優位に動く市場展開で、リスクオン・リスクオフ銘柄が併存する市場のため、投資判断の切り替えが重要です。基本は上目線、短期の調整下落が起きたら、逆張りを意識など。
定点観測として、REIT、TLT、ゴールド、円、スイス、ビットコインの観察を強めています。避難銘柄の価格高騰は危険なシグナルで、債務担保証券(CDO)、ジャンク債(HYG、マーケットクラッシュの前に注目を浴びる)の動向変化にも警戒しましょう。
カウンターシナリオ
株価崩落に警戒しながら、下目線の展開に備えるシナリオです。
株価が高値圏で推移、突発的な下落からカウンターラインを割り込み、深い調整から下落展開のシナリオを意識します。高値圏で推移する株式市場は飽和状態であり、ヘッジファンドの空売り、トレーダーの売り仕掛け、アクティビストの情報操作など、注意。
市場はさらなる上昇のために「売り展開の調整」が欲しい状態のため、崩落した場合は下落が加速します。売り材料が突発的に出た場合は、長期的な上昇相場の区切りとして、過熱した相場へのクールダウンとして、売りたい面もあります。
相場全体が下落転換する基準として、ダウの26000~26500ドル近辺をイメージしています。
セカンド・カウンターシナリオ
OECD経済協力開発機構の見通しによると、世界のGDP成長率は、今年は金融危機以来の最低水準となる2.9%と予測されており、2020年、2021年も2.9~3.0%程度に止まると見られています。2018年の世界のGDPは3.5%まで拡大したようです。
不確定要素が強まり経済鈍化のシナリオも考えられます。株価は高値圏にあり、新たな投資先を探すという見方もでき、また米中貿易摩擦によるダウンサイドリスクは、中長期での循環株、バリュー投資先、割安銘柄を探す機会と判断しています。
サブ・カウンターシナリオ
中東地政学リスク、イギリスEU離脱交渉、香港への中国軍事介入、中国の人民元の切り下げと米国債売り、米中貿易交渉の長期化、などの報道を悪材料と評価された場合の下落シナリオです。
長期的に悪材料をある程度織り込みながら、全く新しい悪材料が表れると、短期的な調整を呼び込み、その後の展開に変化を起こす可能性があります。突然の報道があったら、上下の値動き、報道内容の真偽を投資日誌に記録しておくのがおススメです。
サブ・カウンターシナリオ2
米中関税合意、イギリスがEU離脱をしない、などポジティブサプライズによるシナリオ。楽観的内容から急騰、そして、利食いの急落など、上下の値動き幅が大きくなるため、ポジションサイズ、カウンターラインを大切にしましょう。