立春に向けた種まき 1月中旬から1か月のシナリオ分析

【目次】

  • グローバルマーケットの考察
    1. マーケットメモ
    2. NEWS PICK OUT
  • グローバルマーケットのシナリオ分析
    1. 直近1か月の投資スタンス
    2. ヘッジファンドの投資指針
    3. メインシナリオ
    4. カウンターシナリオ
    5. サブ・カウンターシナリオ
    6. セカンド・カウンターシナリオ

グローバルマーケットの考察

【主要銘柄の先月比変動幅】

  • ■ダウ:+3.18%
  • ■日経:-0.44%
  • ■ドル円:+0.54%
  • ■ビットコイン円:+24.49%
  • ■ゴールド:+5.38%
  • ■原油:-2.54%
  • ■TLT(債券):+0.44%

 リスクオンの展開。ダウは歴史的高値で続伸、日経はやや調整、ドル円、ビットコイン円は連れ高。リスクオンによりゴールドや原油、TLT(債券)は調整下落。

 Fear&Greed Indexから86でリスクオンの市場環境です。リスクオフ銘柄は調整になりながら、リスクヘッジでの買い支えがあります。全体に株式市場が主役となり、債券、商品市場に波及する展開を待っている地合いです。

【参考】
Fear&Greed Index(リスクオン、リスクオフの判断)
https://money.cnn.com/data/fear-and-greed/

マーケットメモ

【マーケットメモ(短中期)】

  • ■世界的な金融緩和期待、中国経済2020年経済成長目標6%是後、米中貿易交渉の合意進展、EUからイギリス合意なき離脱の可能性低下、リスクオン上昇
  • ■米中貿易協定1月15日第一段階は合意、第二段階が不透明で不安定要素 イランとアメリカの対立懸念など中東地政学リスク、香港情勢、リスクオフ下落
  • ■2019年9月からのマーケット変化が重要
  • ■リスクオン優勢の構図

【マーケットメモ(長期)】

  • ■世界経済成長の減速から回復局面へ
  • ■金融緩和政策の期待と利食い
  • ■米中貿易摩擦での混沌を織り込む
  • ■株価動向とTLT(債券)に警戒感
  • ■リスクオフ下落の可能性

 米中貿易協議の合意で材料探しの展開へ移行。今後は債券市場から目線を変え、バリュー株や循環株、新興国市場の成長度合いへの着目が大切になるでしょう。当面はリスクオンで、上目線の戦いです。

【参考】
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)
https://data.oecd.org/leadind/composite-leading-indicator-cli.htm
【参考】
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)
https://japanese.spindices.com/indices/equity/sp-global-bmi-usd
【参考】
VIX(恐怖指数)
http://www.cboe.com/vix/

 OECD景気先行指数データは半年先の相場転換を先行する指標といわれています。現在は100を下回り、99付近で横ばいに推移していることから、(1)景気停滞のシナリオ、(2)底入れで景気回復シナリオの2つを予想できます。現在の市場局面を鑑みると、景気回復のシナリオが優勢となります。

 S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターン+1.38%とリスクオンによる上昇展開を見せました。世界の株式市場は順調で、S&P新興国総合指数との比較もしておきましょう。S&P欧州大中型指数(米ドル建て)から、欧州の景気は底打ちしたようにも思えます。

 VIX(恐怖指数)は月間12~13付近で推移。先月比-9.87%で、移動平均は15.69付近と、楽観的な推移をしており、リスクオンの状態が続いている印象です。イランとアメリカの軍事衝突危機が浮上したとき、VIX指数は急騰しましたが、現在は落ち着ています。

 一方でVIXはショートポジション残高が過去最高水準を更新推移しており、リスクオフ転換への警戒感も残ります。

NEWS PICK OUT

 米中の貿易交渉の第1段階が合意したことにより、中国は外資制限を撤廃した、という報道がありました。

 資産運用、保険分野に関し中国の金融市場が開放されれば、中国の金融情報が他国でも入手しやすくなるでしょうし、人民元の流通に変化を及ぼすでしょう。また、中国人民銀行によるデジタル人民元の発行準備を検討しているなど、中国が世界の金融市場との繋がりを強める可能性が現れたことは、中国の更なる躍進に期待が持てます。

 しかし米国との対立が強まる懸念も抱えており、米中の貿易交渉の第2段階にも注目です。

グローバルマーケットのシナリオ分析

直近1か月の投資スタンス

 2月の上旬を境に、相場が変化してゆくと考えています。相場に対する目線も整い、楽観的な地合いです。株高、債券高、ゴールド高と、全体的に上目線です。一方で、目線の偏りは危険で、突発的な下落には注意が必要です。ただし、下落したら種をまくつもりで逆張りを意識します。

 ポートフォリオも定まり、中長期のスタンスはしっかりしています。米国の株価調整に注意し、日本の不動産価格にも警戒を怠りません。

 種をまいて、春から夏まで育てたい。そんな地合いです。

ヘッジファンドの投資指針

【ヘッジファンドの投資指針】

  • ■先進国と新興国のマクロ景気サイクルの変化
  • ■株式市場を中心に買い戦略、ロング&ショート、マクロ戦略、モルティー戦略
  • ■リスクヘッジで商品市場を買い戦略、短期調整から買い目
  • ■イベントやニュースによる突発的な動きに対応する短期の逆張りトレード戦略
  • ■自動売買は好調だが、FX、債券、商品、仮想通貨は低迷です
  • ■仕掛け売りしたい銘柄を選定中

 ファンド、ヘッジファンド、インディケーターからパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ヘッジが重要な展開であり、万が一相場が変わってもいいように対応を心掛けたいです。The Berkshire Hathaway Portfolioの1か月のリターンは-3.98% 、S&P500(^GSPC)が+3.07%となり、やや低迷しながら銘柄全体は堅調です。

【参考】
The Berkshire Hathaway Portfolio(バフェットのファンド)
https://finance.yahoo.com/u/yahoo-finance/watchlists/the-berkshire-hathaway-portfolio

 Eurekahedge Hedge Fund Indexは12月の評価が+1.57%のリターンで好調。リスクオンと緩和政策期待への影響で、ヘッジファンドのパフォーマンスは好調です。Eurekahedge AI Hedge Fund Indexは12月の評価が+0.65%リターンで、自動売買は好調ということがわかります。一方で仮想通貨は、Eurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexの12月の評価が-6.48%と低迷です。

【参考】
Eurekahedge Hedge Fund Index(ヘッジファンドのパフォーマンス)
https://www.eurekahedge.com/Indices

 SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は-1.21%、自動売買のSG CTA Indexは+1.22%と堅調です。株価は+1.57%と強いものの、FX-0.19%、債券-0.51%、商品-2.00%とそれ以外はパフォーマンスが低下しているため、株式市場の目線を大切にしたいですね。

【参考】
SG TREND INDICATOR(プライムサービスのインディケーター)
https://cib.societegenerale.com/fileadmin/indices_feeds/ti_screen/index.html

メインシナリオ

 短期的には材料探しとして、調整の展開が1月下旬まで行われると予想。中期的には第1四半期の1~3月までは回復シナリオであり、長期的では楽観的な強気シナリオを想定しています。

 株式市場は堅調推移しながら商品市場は調整。債券市場(TLT)から株など市場間の影響も確認する必要があります。為替相場はドルが狭いBOXで推移しており、TLTとのバランスを重視しながら、トレードします。仮想通貨市場はビットコインの5月半減期まで強気です。

 市場は米中貿易交渉の第2段階における不確実性も織り込んでいるでしょう。中東リスクの再燃気配もありましたが、戦争に発展する可能性は弱く、軍事衝突が起きたとしても、影響は短期的な印象です。EU離脱交渉の茶番劇も市場は織り込み済みです。

 米国市場の回復サイクルが世界に波及し、循環株、バリュー株、新興国市場の順に、影響が見られるでしょう。また、中国の金融市場が開放される可能性など、ポジティブな材料は増えました。国際政治の安定が進みだし、マクロ経済動向から変化の兆しが伝わります。

 その他、REITの不動産価格動向が今年の先行リスクシグナルとして重要視しています。TLT、ゴールド、ビットコインのバランスを確認しながら、相場環境を判断します。ジャンク債(HYG)はやや上昇基調のため、楽観ムードです。株価暴落の先行シグナルを発生する懸念もあり、株価と債券動向も注視です。

カウンターシナリオ

 株価崩落に備える弱気シナリオです。

 株価が歴史的高値で続伸し、ダウは30000ドル台が射程圏に入りました。歴史的節目を前にして、多くの利食いが現れることも考えられ、そうしたとき深い調整を招きやすいので、下落展開シナリオも検討しています。株式市場は飽和状態にあり、市場は利食いのきっかけを探っている状況でもあるのです。

 市況は「売り展開の調整」が欲しい状態のため、崩落した場合は下落が加速します。新規の売り材料が突発的に出た場合は、長期的な上昇相場の区切りとして、また過熱した相場へのクールダウンとして、売りたい面もあります。

 相場全体が下落に転換する基準はダウの26000~26500ドル近辺をイメージしています。

セカンド・カウンターシナリオ

 前回同様、OECD経済協力開発機構の見通しによると、世界のGDP成長率は、今年は金融危機以来の最低水準となる2.9%と予測されており、2020年や2021年も2.9~3.0%程度にとどまると見られています。

 経済鈍化のシナリオも検討される一方、経済指標が回復している点や米中貿易交渉の進展など、市場は悲観から楽観へ変化していることもあり、OECDの鈍化予想が変化することも考えられます。

サブ・カウンターシナリオ

 中東の地政学リスク再燃、イギリスEU離脱交渉の難航、香港への中国軍事介入、中国の人民元の切り下げと米国債売り、米中貿易交渉の第2弾合意の不確実性、などの報道を悪材料とした場合の下落シナリオです。

 マーケットは長期的には悪材料をある程度織り込んでいるものの、新しい悪材料が現れたときの市場の反応には警戒です。こうした突然の報道により、相場が上下したときの値動き幅と報道内容の真偽を投資日誌に記録しておくのがおススメです。

サブ・カウンターシナリオ2

 米中の関税に関する合意が完了し、イギリスのEU離脱は回避するなど、ポジティブ・サプライズによるシナリオもあります。楽観的内容から急騰しても、利食いによる急落も考えられ、相場の上下の値動きが激しくなることが想定されます。こうしたときにトレードするなら、ポジションサイズやカウンターラインに細心の注意を払いましょう。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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