【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- サブシナリオ
- カウンターシナリオ
- カウンターシナリオ2
- サブ・カウンターシナリオ
- サブ・カウンターシナリオ2
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の先月比変動幅】
- ■ダウ:-5.19%
- ■日経:-2.62%
- ■ドル円:+2.61%
- ■ビットコイン円:-8.39%
- ■ゴールド:+2.10%
- ■原油:-32.96%
- ■TLT(債券):+1.77%
※2020年4月13日時点
2月平均-20%変動したマーケットショックから、3月は一桁台の変動幅に落ち着いています。世界の中央銀行の介入以降、TLT(債券)は上昇から調整気配に移行し、株価も底堅くなり、悲観的な地合いは落ち着いた印象です。
コロナ・クラッシュ後の世界を語り出し、新たな未来を考える時期です。Fear&Greed Index、先月Fear(恐怖)6台のリスクオフ地合い。43台となり、恐怖がやや沈静化、次の展開を考え出している値動きです。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■クラッシュ構図、安全資産の上昇見直し
- ■世界的な金融緩和、利下げ、景気対策期待
- ■中東地政学リスク、香港情勢、リスクオフ下落
- ■ビットコイン半減期、5月頃まで買いの思惑と安全資産の再評価
- ■米中貿易交渉の進展、第2段階交渉の不透明感
- ■2019年9月、2020年3月のマーケット変化、コロナ後の新世界はどうなるのか
【マーケットメモ(長期)】
- ■新型コロナウィルスによる経済活動の空白、政府の在り方
- ■市場心理の回復
- ■世界経済成長の景気減速もしくは景気回復、双方の綱引き
- ■TLT動向、ヘッジファンドの利益幅
- ■サウジアラビア、ロシア、アメリカの減産合意、原油供給の動向
- ■中央銀行デジタル通貨の調査、検証
コロナ・クラッシュ後、世界経済の歴史的節目を形成しました。経済活動の空白による長期的な景気減速をもたらしたので、半年間は経済指標の結果に警戒です。政府による財政出動、景気刺激策、休業補償などから、税の使い道に関して、国民は新たな視点をもつようになるでしょう。
新しい世界経済を考えると、長期投資先の公共株など安定株の物色が今はメインになります。公共、電気、バス、電車、ガスなどは生活に欠かせない銘柄に注目です。さらに、バリュー株や循環株といった割安株にも目を向け、新興国市場の落ち込み具合を確認したいです。
現時点では、物色と打診が中心となり、もう一段の下落に注意しながらの姿勢です。市場構図は「コロナ・クラッシュ VS 景気刺激策」が落ち着き、楽観的な材料を待ちながら、下落と上昇を繰り返し、拮抗してゆく展開を想定です。
OECD景気先行指数データは半年先の相場転換を先行する指標といわれています。一時は100に向かい回復シナリオから一転し、軒並み98台に落ち込み景気減速シナリオが優勢となり、大局観のマクロ経済は下落暗転への基調です。
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターン+6.16%、S&P新興国総合指数(中国A株含む、米ドル建て)は+4.73%、S&P欧州大中型指数(米ドル建て)が+3.13%と、米国、新興国や欧州は、先月に比べて冷静な展開です。
VIX(恐怖指数)は41%付近で推移。先月比-4.03%で、移動平均20.32から大幅乖離です。高値85.47記録から、現在は落ち着きだした展開推移です。
VIX先物はロングポジション、ショートポジションは2011-2012年の水準まで低下しており、下落展開がどこまでか、2008年まで水準となるのか注目です。目線を変えれば割安な銘柄は増えていると捉えてこともできますが、市場が落ち着くと、ボラティリティも低下するので、それは警戒です。
マーケットメモの総括としては、長期マクロ経済は転換点となり、次なる展開を模索する地合いです。半年間ほどは短中期の市場は懐疑的となり上下のスパイクを形成しながらBOX展開となり、新たな材料を求める地合いが続きます。
NEWS PICK OUT
■(4月10日)FRBが低格付け債購入の報道
FRBなど各国の中央銀行が財政出動をして市場に資金供給する展開は、長期金利のコントロールなど、株価を底堅く支える材料となりました。中銀の量的緩和は中長期的な材料であり、リスクをとれる環境になったのかジャンク債は急騰しています。市場心理は短期的に回復したものの、新型コロナウイルスによる悲観材料が根本的になくなったわけではないので、戻り売りの場を描いている可能性もあります。
■(4月13日)原油価格戦争に終止符、OPECプラスが減産で歴史的合意
注目の報道であり、原油動向、エネルギー市場、そしてドルの行方を左右します。歴史的な減産合意はされたものの、市場に原油が供給過多になっている懸念もあり、原油価格は当面は上値を追う展開にならないと予想します。産油国と消費国の対立火種は依然と残り、新型コロナウイルスによる経済混乱も重なり、政治的帰結を迎えればいいですが、燻り続ける課題でしょう。
■(4月8日)独、欧州外からの企業買収ルールを厳格化へ
ドイツやEUが、中国企業による投資への対抗策です。日本も含めて、世界は中国の投資資金による間接統治を恐れています。中国資本で、外国人を雇い、企業買収をすることで、実質は中国の経営になることです。ヘッジファンドなどのプロは、大量保有株の株主構成に着目しており、どんな運用目的なのかまで探ります。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
【コロナ・ショック後の新世界】
コロナ・ショックから、コロナ終息後の新世界を考えています。様子見を軸にしながら、市場心理を探ります。マーケットは落ち着きながらも、短中期は、株価は上下どちらにも値動きする展開を想定です。スパイクを繰り返し、戻り売り展開が落ち着くのを待ちながら、経済の影響、世界の変化を見定め、市場へのスタンスを長考してゆきます。
長期上昇相場から、中長期調整BOX展開をメインシナリオとしています。様子見、分析、物色中心に、やや買い目が基本スタンスです。世界がどの方向に向かうのか、新しい起点から想起し、たんぽぽの綿毛が飛ぶ空を眺めながら、新しい世界を考えます。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■自動売買、イベント・ドリブン戦略が中心
- ■追証に追われて、利食いを繰り返され、市場は大掃除中
- ■先進国と新興国のマクロ景気サイクル転換は休止
- ■全体に見直し、ロング&ショート、マクロ戦略、モルティー戦略
- ■リスクヘッジの戦略を再考です
ファンド、ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ヘッジファンドのパフォーマンスは低下ながら、全体を見渡せば好成績のパフォーマンスです。ヘッジの重要性が増しています。
近年続いていた長期上昇相場から調整相場となり市場全体が遅滞しながら、次なる展開を模索します。
The Berkshire Hathaway Portfolioの1か月のリターンは-3.98% 、S&P500(^GSPC)が+1.77%。相場の神様バフェトが、航空株を短期で売却するなど、長期見通しに変化が伝わります。
Eurekahedge Hedge Fund Indexは3月評価が-4.58%、2か月連続のマイナスとなり、ヘッジファンドの戦略、ロング&ショート、イベント・ドリブン、Distressed Debtのマイナスが目立ちます。一方、高パフォーマンスは、自動売買Eurekahedge AI Hedge Fund Index3月が+3.16%となり、2月のマイナスから回復傾向です。仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexでの3月の評価が-18.23%の二桁台となり、2018年の下落相場と同様のパフォーマンスです。
ヘッジファンドの投資パフォーマンスが変化し、自動売買のひとり勝ちとなりながら、市場環境はリセットされた模様。新たな相場に挑む備えをし、絶対リターンを再考します。
SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は+0.30%と回復傾向、自動売買のSG CTA Indexは-0.64%、株価は-0.45%、FX+0.44、債券-0.10%、商品+0.64%、全体のポートフォリオ+48%。投資先は、FX、商品となり、投資配分が変化しています。ドルやTLTの見通しが見直されています。株価は不透明感があり、回復には時間がかかります。
メインシナリオ
【短中長期はメインシナリオの長考 様子見】
グローバルマクロは、景気後退に落ち込み、経済と医療などのバランスをとりながら、次なるシナリオを長考します。アメリカは新型コロナウイルスの免疫確認を検討、経済活動再開の報道など、緊迫したマーケットでは様子見、見送りが軸足です。
様子見するかどうかの判断として、TLT DXYからドルの流動性、CDS、TED、ジャンク債(HYG)、などからクラッシュ時に動く銘柄を定点観測しながら、マーケットを確認します。各国中央銀行の量的緩和、景気刺激策から、ゴールドの堅調推移、原油需要の変化からも全体のシナリオを組み立てます。
サブシナリオ
【調整長期化シナリオ】
調整が長期化するシナリオも考えられます。投資家たちのマーケットとの対話が長引き、各銘柄はBOX相場で推移し、市場のボラティリティが低下する可能性もあります。
カウンターシナリオ
【悲観シナリオ】
(1)新型コロナウイルスが新興国(アフリカなど)で蔓延し、再度、先進国での感染拡大のシナリオ
(2)ウイルスが突然変異して、新たな感染が発生。マーケットは悲観売り加速
(1)(2)になると、もう一段の崩落を覚悟します。混乱の長期戦に警戒です。また、従来のインフルエンザなど感染病への過敏な反応にも警戒です。報道等があった場合、様子見となり、アルゴリズム・トレードで、イベント・ドリブンが中心になります。市場心理は弱気に向かい、経済活動の空白から景気悪化が鮮明となり、悲観売りの加速に警戒です。
カウンターシナリオ2
【好感上昇、反動高期待のシナリオに転換】
コロナ・クラッシュの収束判断が確認され、反動期待による上昇シナリオ。各国政府と中央銀行による景気刺激策から、経済指標の回復確認など、楽観シナリオです。第2四半期4-6月の結果からなのか、経済指標にどこまで影響があるのかが重要です。
もしそうなった場合でも突発的な下落への警戒も怠らず、打診ベースでの売買となります。NYダウが26000~27500を超えるほどになれば期待はできます。ただし、短期的に上抜けるだけではだめで、一旦超えてから下落するようであれば、二番底を形成したあとに打診開始です。
サブ・カウンターシナリオ
【ネガティブ・サプライズによるシナリオ】
政府要人の新型コロナウイルス感染報道シナリオです。イギリスのボリス・ジョンソン首相の新型コロナ罹患報道は、一過性の売りで留まりましたが、依然警戒です。今後は要人の訃報、感染の隠ぺいなど報道された場合、アルゴリズムは下落で展開する可能性があります。そうなった場合、逆張りの買いで短期的に回転させる戦略を想定します。
サブ・カウンターシナリオ2
【悲観シナリオ、収束後の悪影響】
ロックダウンから消費回復となるか、景気低迷が続く可能性も否定できません。土日に家で過ごす今の生活から、急に消費活動が活発にならないかもしれません。また、新型コロナウイルスは各国の関係性にも変化を及ぼすでしょう。物資確保、輸入制限など、ギクシャクすることも想定されます。