2020年4月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. ビットコイン円
    2. イーサリアム円
    3. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■5月4日
  • ■8月3日、17日

※5月から8月までの変化日シグナルは不安定です。変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」。

マーケット構図

 マーケット構図は、方向性を模索する地合いです。

  • ■リスクオフ要素:新型コロナウイルスのマーケットショック(ゴールド、ビットコイン、円、ジャンク債(HYG)、TLT、CDS、TEDの監視)
  • ■リスクオン要素:各国の緩和期待、景気刺激策、主要国株価インデックスの値を監視、Fear&Greed Indexの向上、VIXの低下

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 強気から弱気の気配 上昇基調 コアBOX
142.56±50
142.00~180.00
ダウ 強気 上昇基調 21100±50 21500~25500
日経平均 強気 上昇基調 17500±50円 17000~20000円
DAX 中立 上昇基調 8500±50 8500~13300
EUR/USD 中立 BOX目線 コアBOX
1.04400±50~1.14400±50
1.04400±50~1.14400±50
USD/JPY 中立 BOX目線 コアBOX
104.00±50~112.00±50円
104.00±50~112.00±50円
BTC/JPY 弱気 下落基調 75~80万円台 50~100万円台
GOLD 強気 上昇基調 1460±50~1488±50 1500~1750
原油 弱気 下落基調 42±1 12.00~31.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2020年4月13日時点

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状0対10でアルゴリズムを優先して判断します。短中期は、数理分析を優先です。市場心理の状態を確認しながら、分析値で判断します。

注目の経済指標

 景気の先行指標でもある製造業景況感指数に目を向けると、アメリカの4月は49.1と低迷、EUは44.5、日本は44.8 と景気低下の傾向です。3月の中国は52.0と2月35.7から大改善となり、一時的な落ち込みだったのか、コロナ・クラッシュから立ち直ったからなのか見極めです。

 中長期的には景気悪化からの反動増と、停滞した経済活動の復活に期待されます。マクロ経済データは第1四半期の結果から、4-6月は景気減速見通しになります。世界経済の景気減速から、経済指標と市場推移から、底値形成を探る展開です。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

主要な中央銀行の予想 4月のFOMC予想

 各国の中央銀行の財政支出、規制緩和、ヘリコプターマネーの導入で、市場心理は落ち着き、投資市場へのコロナ・クラッシュはある程度ひと段落したように思えます。「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、金利維持を予想です。追加の景気刺激策に期待もあります。企業業績の国内総生産(GDP)、雇用、消費動向、企業倒産に注目です。そして、ロックダウンの期間と影響を見ながら、金利と景気回復転換へのシグナルを探し出す展開です。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場は、ビットコインとアルトコインは、5月の半減期まで上目線で買い目打診の回転です。CMC Crypto 200 Indexは短期の反発は気迷いながら、ヒートマップ全体は回復傾向です。出来高は上昇気配となり、総じて上昇基調が再開です。

 グローバルマーケットのクラッシュ時は、崩落追随が落ち着くと、反発する値動きが始まります。突発的な悲観ニュースでの下落時には注意が必要であり、現時点ではポジションサイズは打診レベルが適正です。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

 4月3日、仮想通貨に係る改正資金決済法の施行日が5月1日を予定するという報道がありました。財産の分離管理、マネロン対策、カストディ業務、デリバティブ取引、相場操縦、風説の流布、規制対象など、プロの投資環境の整備、利用者保護が手厚くなった印象です。暗号資産として、年々と評価が高まってゆくと思っています。

 4月9日に大手仮想通貨取引所のbitFlyerは、仮想通貨BAT(ベーシックアテンショントークン)の取扱いを発表。BATは次世代型のブラウザBrave内で利用されるトークンであり、利用者の報酬、サイトへの支払いなどに利用されます。仮想通貨によって、新しい広告モデルを生み出します。

 今後はホームページ閲覧に、仮想通貨が利用される時代も訪れるでしょう。新たな投資価値への期待と共に、利用の規制などの懸念もあります。過去には同様のシステムで仮想通貨のマイニングをしていたことが逮捕に繋がったこともあり、BAT利用普及がどのようになるか注目です。

ビットコイン円

 ビットコイン円は回帰分析では、弱気範囲(60~80万円台)で回帰直線の付近で価格推移しながら、現時点では中長期、下落基調を予想します。長期は積立銘柄として検討できます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が下回り、短中期のMAはデスクロス手前で、売りシグナルが点灯。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは雲から反発となり、買いシグナルが点灯。短中長期は中立判断になります。

 ローソク足は陽線形成の予想です。回帰直線付近で、上値抵抗帯を打診するような感じです。サイクル&リズム分析から、上昇反発シグナルとなり、上値を試す予想です。フォーメーション分析では下降フラッグの売られ過ぎた価格の反発調整と判断もできます。戻り売りの弱気シグナルです。

 一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は40付近推移し、やや売られ過ぎ、買い検討の買いシグナル。スローストキャスティクスは40付近で推移し、過熱的な売りに対して、反発買いシグナルです。

 注目度・先行性を測る出来高は、停滞的動きで、反発は弱いです。2019年1月安値から2019年12月を結ぶ中期トレンドラインの下限に価格推移のため、売り優勢の悲観シグナルです。

 これからの展開予想をまとめると、メインシナリオは弱気展開です。シナリオとしては、一時は40万円台に下落も想定し、そこから回帰直線を目安に自律反発60~80万円台となり、再度戻り売りで、30~40万円台を下値目標にするといったイメージです。

 カウンターシナリオは、回帰直線80万円台を明確に超えて強気範囲で推移するシナリオです。カウンターライン80~90万円台を超える展開となれば、上昇が加速し、90~100万円台まで上昇する可能性も考えられます。5月の半減期もあり、相場反転への可能性が高まります。

 マーケット全体では悲観的な展開がメインです。市場心理を中心に価格が動いており、戻り売り場と判断されると、強い第2の悲観売りのも考えられます。

 こういったクラッシュ後は、ボラティリティも高いため、従来よりポジションサイズを小さくし、打診を意識する対応、様子見レベルで十分です。攻守なら守を意識してのトレードです。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では弱気範囲(16000~20000円)で回帰直線の付近で価格推移しながら、現時点では、短中期はBOX基調で回転売買の繰り返し、BOX上限下限の価格ブレイクシナリオです。長期は中立目線を検討です。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAは横ばい、価格はMAを下回り売りシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21には買い打診シグナル、雲の下にあり売りシグナル。BOX展開から価格展開がブレイクを待つ展開です。

 ローソク足は陽線が連続して、反発買いシグナルが出ています。サイクル&リズム分析からは、売られ過ぎの調整反発です。フォーメーション分析では下降フラッグの中心線を試し、反転する可能性も。中期トレンドラインは、(1)2018年9月安値から2019年12月安値を結び(2)2019年6月高値から2019年2月高値を結びます。(1)(2)の中期トレンドラインから、トライアングル形成中となり、方向模索のシグナルです。

 一方、オシレーター系のクラシックRSIは48付近で推移、買いシグナルを形成、スローストキャスティクスは25付近で推移しており、オシレーター系は売りシグナル継続です。

 注目度・先行性を測る出来高は、低下傾向になり、停滞推移のシグナルです。

 これからの展開予想をまとめると、メインシナリオはBOX展開を予想です。21000±100円を中心に、上限30000円台、下限8000円台で推移しながら、ブレイクを待つ格好です。カウンターシナリオは回帰直線21000±100円で反発し、上昇再開し、上値32000±100円を目指す展開です。

 ブレイク条件は、ビットコイン価格推移であり、直近は短中期BOXでの回転売買、長期は中立目線です。グルーバルマーケットの市場心理を見ながら、地合いが落ち着くのを細かく分析です。長期調整の可能性が高まりつつあり、目線を明確にするのは時期早々です。

リップル円

 リップル円は回帰分析の弱気範囲(10~22円)で回帰直線の付近で価格推移しながら、現時点では短中期は下落基調です。長期は中立目線です。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21短中期のMAはデスクロスで売りシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21、雲、価格を下抜け、売りシグナルです。

 ローソク足は陽線を形成したものの戻り売りシグナルが出ています。サイクル&リズム分析から、強い陰線から反発の陽線展開も考えられます。フォーメーション分析では下降フラッグの下限は一時安値10円に到達し、ショートカバーで反発です。中期トレンドラインは、2018年9月安値から2019年7月安値を結ぶ水準を一時は割り込み、下落加速とならずに反発となり、戻りを試す展開です。

 一方オシレーター系のクラシックRSIは43付近で推移し買いシグナル、スローストキャスティクスは32付近で推移、売りシグナル継続となっています。

 注目度・先行性を測る出来高は低下傾向になり、停滞推移を予想です。

 これからの展開予想をまとめると、メインシナリオは弱気シナリオで下落基調です。一旦、回帰直線23円±10まで反発、戻り売り目線で、再度、10円±1を試す展開シナリオです。

 カウンターシナリオは、回帰直線23円±10付近を超えて、28円±10を超えたら強気シナリオとなります。

 短中期はBOX下限10円へ向かいながら、長期的には中立目線です。価格水準としては、割安感もありますが、早計な判断はせずに、市場心理との対話が長引くと考えた方が賢明でしょう。ビットコインやグローバルマーケットが冷静になるまでは、当面は回転売買の繰り返しです。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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