【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- 狐のミニミニコラム
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の先月比変動幅】
- ■ダウ:+2.58%
- ■日経:+4.31%
- ■ドル円:-1.68%
- ■ビットコイン円:+33.89%
- ■ゴールド:+1.18%
- ■原油:-16.14%
- ■TLT(債券):-0.85%
※2020年5月12日時点
5月は各マーケットの変動幅が全体的に落ち着いています。株価はやや回復傾向で、TLT(債券)は調整気配、原油も反発気配、逃避によるゴールド買いが見られ、ビットコイン円が半減期を通過しました。
新型コロナウイルス後の世界を想像しながらの値動きです。Fear&Greed Indexを見ると、先月はFear(恐怖)の9から今月は45台に変化し、マーケットはやや冷静となり、次の展開を模索しようとしています。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■クラッシュ構図、安全資産の上昇見直し
- ■世界的な金融緩和、利下げ、景気対策期待
- ■中東地政学リスク、香港情勢、リスクオフ下落
- ■ビットコイン半減期、グローバルマーケットの相関性
- ■2019年9月、2020年3月のマーケット変化、コロナ後の新世界の変化
- ■米国雇用統計の動向 自由経済の弊害検証など
【マーケットメモ(長期)】
- ■新型コロナウイルスによる生活様式、経済活動の変化、政府の在り方
- ■世界経済成長の景気減速もしくは景気回復、双方の綱引き
- ■ヘッジファンドの動向変化
- ■サウジアラビア、ロシア、アメリカ 原油供給の動向
- ■米中貿易交渉の進行 米国選挙への活動の変化
- ■中央銀行デジタル通貨の調査、検証
各国の緩和政策、利下げによる景気刺激策から、短期的には反発と底堅い推移を予想しています。目先はコロナ治療薬に注目が集まり、各国の地政学リスクへの関心が低下しています。再び注目されると、売り材料になるので警戒です。
ビットコインは独歩高で、半減期後はグローバルマーケットと相関性が高まる傾向にあるため期待です。
米国は4月の雇用統計が非農業部門雇用者数が前月から2050万人減となり、失業率は14.7%と戦後最悪となりました。
コロナウイルスにより人々のライフスタイルは変わり、国際交流なども変化しますが、「コロナと共生するために何が重要になるか」という問いが次の投資先を模索することに繋がります。各国はまず自国を最優先とするため、医療品などの輸出制限も行われ、過去にはなかった新しい政治材料が生まれるでしょう。従来の原油の価格動向による政治リスク、米中貿易摩擦といった要因も残っています。
こうした今までの世界との変化は、ヘッジファンドの投資動向・ポートフォリオにも影響を与えています。
今後は物色から打診に移行します。市場構図を見直している段階で、上下動の激しい展開となることが予想されます。
OECD景気先行指数データは半年先の相場転換を先行する指標といわれています。全体で98台となり景気減速シナリオが優勢です。各国の数値も下方推移に転換し、マクロ経済は下方基調です。
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは+0.30%、S&P新興国総合指数(中国A株含む、米ドル建て)は-0.49%、S&P欧州大中型指数(米ドル建て)が-0.56%と、米国はプラス推移、米国のやや回復先行となり、新興国や欧州、マイナス推移となり、反発期待が待たれます。
VIX(恐怖指数)は28%付近で推移。先月比-36.22%で、移動平均20.69の乖離は縮小し、市場の安定は近い様子です。VIX先物も下落が落ち着き、割安と捉えることもできます。VIXが反発すればマーケットの反動高も期待できますが、下落継続となれば、市場のボラティリティ低下には警戒しましょう。
マーケットメモの総括としては、長期マクロ経済は暗転しながらも、反動地合いに期待をし、やや上目線を意識します。経済構造の変化を模索する期間としておそらく半年は要するので、短中期的にはマーケットは疑心暗鬼の状態が散見されるため、投資スタンスとしては打診をしながら、方向性を探るかたちで問題ないでしょう。
NEWS PICK OUT
■(4月20日)原油WTI先物 一時40%安
コロナウイルスの経済危機下では原油は世界的に供給過多となり、5月限月の原油価格が一時マイナスになりました。このとき原油市場に参入する個人投資家が散見されましたが、売買は推奨しません。原油市場はヘッジファンドやアルゴリズムが主戦場としており、個人投資家のETF買い支えなどの報道もありましたが、個人投資家は様子見が賢明です。
■(5月8日)米雇用統計、4月雇用者数は約2200万人減、失業率14.7%
リーマン・ショック以降の回復してきた雇用がリセットされました。市場は今回の結果を短期的な数値として捉え、足元の経済活動再開の期待から、株式市場はその後も底堅く推移しています。同日、FRBが国債購入ペースを減速すると表明し、米債利回りが上昇、ドル高に推移。FRBの国債購のペース変化により、株式市場の下支えが弱いと判断されたら、大幅下落へ警戒です。FRBの国債購入の方が雇用統計より市場への影響は強いため、注意しておきましょう。
市場は回復実態が伴わない株高の可能性もあり、上値が重いと下落に転じるため、柔軟な判断が求められます。
■(5月8日)リッチモンド連銀総裁 マイナス金利導入を否定発言
売り要因として捉えています。市場は金利動向の重要度が増した印象です。現在は株高推移ながら、今後の経済指標の発表と緩やかな回復結果の有無で市場評価が変わります。今後の指標結果からマイナス金利を催促するような売り相場に展開が変化する可能性もあり、警戒です。欧州EU、日本でマイナス金利導入実績があり、経済の副作用の検証も判明しているため、導入可能性は低いとされています。
狐のミニミニコラム
コロナ・ショックによりマーケットはリセットされ、新しい起点を生んでいます。将来性ある業種から銘柄を選定し、その銘柄へ集中投資しています。
ビットコインは半減期を迎え、ヘッジファンドなど機関投資家の投資環境が整いつつあります。マーケットは新しい投資環境へ移行し、新しい投資を呼び込み、新たなトレンド形成を生み出します。
コロナの教訓から、何を変える必要があるのか、もう一度同じ事が起きた時、世界はどのように結束するのか、それとも離別してゆくのか。マクロ経済の動向変化から、世界はどこに向かってゆくのか、今はデータを集めながら検証を進める段階です。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
【打診、再検証、分析熟考】
投資スタンスは様子見から、打診、再検証、分析熟考に移行します。短中期は上目線のみ参入です。ただし、米中の貿易交渉動向に株価が上下する「ヘッドライン相場」入りとなったら、様子見のスタンスです。
超長期の分岐点として、コロナ後の世界を考えています。新しい経済、生活様式への変化を追う局面でもあります。5月1日は立春から八十八夜となり、五穀豊穣を願いながら、新しい種まきを開始する時期です。投資も新しい投資先を探す時機と見ています。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■ヘッジファンド、新規資金の受け入れ再開
- ■分析手法を新規に再構築 オルタナィブデータが有効とされる
- ■ロングオンリー、買いだけの戦略が有効
- ■新興国やアジアに注目、景気サイクル転換を再検討
ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ヘッジファンドのパフォーマンスは回復傾向で、新規の資金受け入れを再開し、コロナ・ショックで生き残ったファンドの投資熱が強まっています。ボラティリティ増加に期待です。
The Berkshire Hathaway Portfolioの1か月のリターンは-3.98%、S&P500(^GSPC)が+6.09%。バフェットの世界が変わったという発言から、分析の方法、マーケットへの対峙を考え直す時期とみています。現在の市場は正常ではなく、相関性が崩れた地合いです。このような地合いには、オルタナィブデータが有効となります。
Eurekahedge Hedge Fund Indexは4月評価が+3.73%、2か月連続のマイナスから脱出となり好調な様子です。自動売買Eurekahedge AI Hedge Fund Index3月が+1.01%となり、先月に比べると回復は鈍化ながら好調はキープ。仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexでの4月の評価+20.50%の回復基調です。ヘッジファンドの戦略はロングオンリーが+8.74%の好調、新興国投資、アジア投資が回復先行となっています。ヘッジファンドの「買いのみ」で投資する姿勢を参考にすることもできます。
SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は+1.17%と回復傾向、自動売買のSG CTA Indexは+0.21%、株価は+0.41%、FX+0.92、債券+0.10%、商品−8.56%、全体のポートフォリオ+1.22%。投資先は、全体に緩やかな回復を見せ、市場がこの傾向を楽観もしくは悲観のどちらに捉えるかを判断することが大切になります。基本的に上目線ではいます。
メインシナリオ
【様子見から打診】
株価推移は、経済活動の再開を好感し回復傾向にあるため、投資スタンスは様子見から打診へと切り替えます。IMF OECDなどでは景気後退を指摘されるも、株価は堅調です。
打診の判断は、TLT DXYからドルの流動性、CDS、TED、ジャンク債(HYG)を定点観測しながら、株式市場の状況を判断します。各国中央銀行の量的緩和、景気刺激策は一時的な株価下支えとなったものの、市場に弊害をもたらす可能性もあると考えています。
まずは今後の経済指標の結果から打診開始です。
カウンターシナリオ
【新型コロナウイルスの悲観シナリオ】
(1)経済活動の再開後、再び新型コロナウイルスの再流行
(2)新型コロナウイルスが新興国(アフリカなど)で蔓延し、再度、先進国での感染拡大のシナリオ
(3)ウイルスが突然変異して、新たな感染が発生。マーケットは悲観売り加速
(1)(2)(3)になると、もう一段の崩落を覚悟します。マーケットは、アルゴリズム・トレードで、イベント・ドリブンが中心になります。市場心理は弱気となり、悲観の第2波を生み出し崩落再開シナリオに警戒です。
サブシナリオ
【調整長期化シナリオ】
調整が長期化する、つまりBOX相場で推移が長くなるシナリオです。FRBの国債購入ペースが変化したことは、目先のドル高と株高をもたらしましたが、中長期では売り要因にもなります。株式市場の上昇が続かず、方向性を見失えば、債券市場が主役になる可能性もあり、そうなると調整が長引く可能性が高くなります。