月星日 2020年6月中旬から1か月のシナリオ分析

【目次】

  • グローバルマーケットの考察
    1. マーケットメモ
    2. NEWS PICK OUT
    3. 狐のミニミニコラム
  • グローバルマーケットのシナリオ分析
    1. 直近1か月の投資スタンス
    2. ヘッジファンドの投資指針
    3. メインシナリオ
    4. カウンターシナリオ
    5. サブシナリオ

グローバルマーケットの考察

【主要銘柄の先月比変動幅】

  • ■ダウ:+11.42%
  • ■日経:+13.30%
  • ■ドル円:+2.64%
  • ■ビットコイン円:+2.85%
  • ■ゴールド:-0.87%
  • ■原油:-54.19%
  • ■TLT(債券):-4.80%

※2020年6月15日時点

 6月は株価に牽引され、リスクオンの地合いとなりました。株価は2桁比率で回復、ドル円は円安、ビットコンは停滞、ゴールドは軟調で、原油は+54.19%と大幅反発です。TLTは軟調となり、リスク資産が選考されています。やや現金化の値動きです。

 Fear&Greed Indexを見ると、Greed(貪欲)の66台に推移しており、マーケットはコロナ・ショックの悲観から、景気刺激策を伴う楽観思考に傾斜しています。

 リスクオン6、リスクオフ4の割合でマーケットの投資割合を観測するといいでしょう。リスク資産は株とFXが選好され、リスクオフ資産のゴールド、ビットコイン、TLTは軟調予想です。原油は暴落からの反発なので今のところは例外な値動きです。

 どの市場が伸びてゆくかが今後の指針となります。

【参考】
Fear&Greed Index(リスクオン、リスクオフの判断)
https://money.cnn.com/data/fear-and-greed/

マーケットメモ

【マーケットメモ(短中期)】

  • ■世界的な金融緩和、利下げ、景気対策期待 ↑
  • ■NY暴動と復興需要 ↓↑
  • ■コロナの第2波 ↓
  • ■SNSでの政治活動が活発、Twitterなど ↑→
  • ■中東地政学リスク、香港情勢、リスクオフ下落 ↓
  • ■2019年9月、2020年3月のマーケット変化 ☆

【マーケットメモ(長期)】

  • ■米中貿易交渉の進行、米国選挙への活動の変化 ↓↑
  • ■経済指標の再評価、雇用統計、消費物価、製造業 →
  • ■新型コロナウイルスによる生活様式、経済活動の変化、政府の在り方 →
  • ■世界経済成長の景気減速もしくは景気回復、双方の綱引き ↓↑
  • ■サウジアラビア、ロシア、アメリカ 原油動向 ↑
  • ■中央銀行デジタル通貨の調査、検証(中国、日本)→

 世界的に金融緩和、景気刺激策から株式市場を下支えしている一方、NYの暴動からの復興需要、コロナ第2波への警戒など悲観材料も現れており、様々な材料で相場を判断する必要があります。それでも株価は長期上昇トレンドという目線は変えていません。

 香港情勢など、政治活動の場がSNSへ移行したことで、SNSの発信によるアルゴリズムの反応に警戒が高まります。トランプ大統領とTwitter社との騒動も気になります。

 米国の雇用統計予想がマイナス750万人から結果はプラス250万人増となり、大幅な乖離を見せました。経済の判断に、経済指標の見直しも求められるでしょう。今後は衛星データなど新たなデータを活用した時代も予感させます。

 次なる展開として自国経済を優先的に支援することで、内部需要を刺激することが予想されるため、そうした視点をもとに、株価の見通し、銘柄判断をしてゆくといいでしょう。

 市場構図の見極めも落ち着いてきたので、今後は夏休み前の調整を意識しながら、半分程のポジションで打診を繰り返す予定です。

■トレード・アドバイス

 マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。

【参考】
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)
https://data.oecd.org/leadind/composite-leading-indicator-cli.htm
【参考】
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)
https://japanese.spindices.com/indices/equity/sp-global-bmi-usd
【参考】
VIX(恐怖指数)
http://www.cboe.com/vix/
【参考】
CFTC (米商品先物取引委員会)VIX FUTURES (恐怖指数 先物)
https://www.quandl.com/data/CFTC/1170E1_F_L_ALL-Commitment-of-Traders-VIX-FUTURES-E-Futures-Only-Legacy-Format-1170E1

 S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは+7.12%、S&P新興国総合指数(中国A株含む、米ドル建て)は+6.90%、S&P欧州大中型指数(米ドル建て)が+8.73%、米国含め全体にプラスへの転換しており、コロナ・ショックはある程度落ちついたと判断できます。

 VIX(恐怖指数)は361%付近で推移。先月比-6.18%で、移動平均21.31の乖離は縮小傾向、短期反発傾向にあり、市場不安に警戒です。VIX先物が反発傾向にありボラティリティ増加に期待です。

 マーケットメモの総括としては、長期マクロ経済は暗転が落ち着き、中国は回復、ロックダウン解除の国から上昇再開イメージです。経済構造の変化に半年は要するので、短中期的にはマーケットは上下の材料でも、上目線が基本姿勢です。打診をしながら、固める時期です。

■トレード・アドバイス
 全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。

NEWS PICK OUT

■(5月14日)サウジアラビア、ロシアOECDプラス原油減産
 原油買い要因です。ただし、価格崩落からアルゴリズムが活発となり、安易な投資は厳禁な良い事例です。株価の安定が見通せるまで投資はお勧めできません。商品市場はゴールドETF買いが活況から、連れ高の側面もありながら、一旦の調整下落から二番底を形成してから参入を検討です。

■(6月8日)世界銀行は世界経済5.2%減速の予想
 1960年統計史上、最悪の予想で、様々なシナリオからマイナス成長の予感。ただしコロナ・ショックは従来の経済を止めただけという見方もでき、コロナ終息観測で大幅なマイナス成長から回復すると、長期的な上昇相場を生み出すでしょう。

■(6月10日)OECDは世界経済6%減速の予想。
 失業率は9.2%の上昇予測となり、長期的な回復には時間を要するでしょう。レポートから、株価の急反発と実体経済の乖離幅が経済指標に現れたとき、株価急落に警戒です。自国の観光業、接客業、娯楽産業の回復と景気刺激策が重要になります。また、新興国リスクも高まり、売り材料に反応しやすい地合いを予想です。

■(6月10日)FRBは米国金利の0.25%で据え置くことを決定した。
 中長期の株高要因であり、バランスシートは7兆ドルを超え、米国債、住宅担保ローン(MBS)社債の買い入れなど、FRBによる株価の買い支え要因が継続されます。FRBはイールドカーブ・コントロールの戦略検討など、強い買い要因です。そのため、短期的な下落展開は、市場心理による動因と推察され、冷静になれば反発する事から、逆張りが有効戦略とも考えられます。

■トレード・アドバイス
 報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。

狐のミニミニコラム

 トレード・アドバイスのコーナーを掲載しました。ニュースの見方、考え方は必要な物を摂取してください。トレードは十人十色ですから、自分なりの得意な型を見つけて、これを繰り返す。安定して勝ち続けるまでは非常に地味な作業を行います。虎視眈々と良い銘柄を見つけて、狙いを定めたり、様子見したり、打診したり、果敢に攻めて怪我したり学ぶものです。

 日々精進しながら前向きに行きましょう。努力はお天道様が不思議と見ています。

グローバルマーケットのシナリオ分析

直近1か月の投資スタンス

【打診、目線確定】
 投資スタンスは打診から目線確定に移行します。短中期は上目線のみ参入です。ただし、コロナ第2波、米中貿易交渉など、悲観相場となったら、売り検討のスタンスです。

 月星日、月と星と太陽の3光の目線から、不変な事、変化する事を峻別しながら、新たな世界が生まれた先に強い上昇トレンドがあることを想定しています。少し早いですが、夏休み相場への意識も大切です。ご褒美でも決めて取り組むといいかもしれません。

ヘッジファンドの投資指針

【ヘッジファンドの投資指針】

  • ■全体に目線の見直し
  • ■下落の戦略検討
  • ■自動売買の戦略が有効な地合い

 ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ヘッジファンドのパフォーマンス鈍化から、戦略の見直しが迫られています。また、ロングオンリー(片張り)から、自動売買の戦略変更が有効なマーケットになっています。買いだけでなく、売り戦略も合わせたロング&ショート戦略が有効な地合いになる印象です。

 The Berkshire Hathaway Portfolioの1か月のリターンは-3.98%、S&P500(^GSPC)が-5.89%。パフォーマンスが低下傾向にあります。全面的に株安への警戒と様子見を一考したいマーケットです

【参考】
The Berkshire Hathaway Portfolio(バフェットのファンド)
https://finance.yahoo.com/u/yahoo-finance/watchlists/the-berkshire-hathaway-portfolio

 Eurekahedge Hedge Fund Index 5月評価が+2.03%自動売買Eurekahedge AI Hedge Fund Index+1.37% 仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Index+5.70%と、全体に鈍化傾向です。AIファンドは好調、仮想通貨のパフォーマンスが大幅に低下です。ヘッジファンドの戦略はCTAが年間+1.18%の好調です。ヘッジファンド全体にパフォーマンス低下から、投資戦略の切り替えを意識します。

【参考】
Eurekahedge Hedge Fund Index(ヘッジファンドのパフォーマンス)
https://www.eurekahedge.com/Indices

 SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は-5.03%と鈍化傾向、自動売買のSG CTA Indexは-2.41%、株価は-1.32%、FXは-0.13%、債券が-0.61%、商品は−0.96%で、全体のポートフォリオが-5.05%です。市場悲観が再開の印象です。基本の上目線に、短期の下目線の戦略を検討できるデータです。

【参考】
SG TREND INDICATOR(プライムサービスのインディケーター)
https://cib.societegenerale.com/fileadmin/indices_feeds/ti_screen/index.html

■トレード・アドバイス

 ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。

 プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。

メインシナリオ

【打診と上下の目線】
 上昇基調がメインシナリオです。打診開始に買い戦略に追加で、売り戦略も検討です。短期の売り回転も検討の地合いとなり、上下の目線です。
価格展開のイメージは、V字回復の上昇一辺倒から、W字回復のように上下に価格が試しながら展開の価格幅を見定めてゆく印象です。

 判断基準は、カウンターラインとして、ダウ平均株価が半値戻し23500~25000±100、ナスダック総合指数は8500~8800±50、ラッセル2000は12000~12300±100を上回る限り上目線です。下回る場合は、下目線を検討です。

 FRBの7兆ドル近い買い支えがあるため、下落は短期的な市場心理なのか、中長期的な下落要因かを判断しながら投資行動です。基本、中長期は買い姿勢、短期で売り検討するシナリオです。

カウンターシナリオ

【新型コロナウイルスの第2波 悲観シナリオ】

(1)経済活動の再開後、再び新型コロナウイルスの再流行
(2)新型コロナウイルスが新興国(アフリカなど)で蔓延し、再度、先進国での感染拡大のシナリオ
(3)ウイルスが突然変異して、新たな感染が発生。マーケットは悲観売り加速

 (1)(2)(3)が現れると、もう一段の崩落を覚悟します。今月、世界銀行、OECDでも同様のシナリオ分析を発表しました。「コロナ」の言葉が、アルゴリズムに組み込まれた地合いになり、報道の下落反応に注意が必要です。悲観の市場心理、アルゴリズムによる、崩落シナリオです。

サブシナリオ

【調整長期化シナリオ】

 経済回復まで長期の時間を要するようになれば、BOX相場も長引くでしょう。上下の目線を作りながら、ブレイクすることなく株価停滞シナリオです。現在はある程度、悲観シナリオも折り込まれだした株価推移であるため、全体の動因を探す地合いに変化し始め、各国中央銀行の株価買い支え、緩和を求める催促相場での売り仕掛けから、価格が上下に繰り返し、BOX推移するシナリオです。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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