【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- 狐のミニミニコラム
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の先月比変動幅】
- ■ダウ:-0.43%
- ■日経:+1.39%
- ■ドル円:-0.79%
- ■ビットコイン円:-8.70%
- ■ゴールド:-2.58%
- ■原油:-4.17%
- ■TLT(債券):-0.72%
※2020年9月23日時点
先月は夏枯れ特有の動きが目立ち全体的にマイナス展開で、原油やゴールド、ビットコインは上昇推移から調整展開、TLTは下落展開でした。ダウも下落調整、日経は下支えのある展開となり、現在はリスクオンに向けての調整地合いの様相です。
Fear&Greed IndexはGreed(貪欲)の50台に推移。VIX(恐怖指数)は25%台で推移。2つの指数から、リスクオン5、リスクオフ5の割合でマーケットの投資割合を観測するといいでしょう。市場心理は中立判断となり、力を溜めている相場です。
9月から10月にかけて、調整展開をイメージしています。そして、上半期を振り返りながら、来年のマーケット予想を構築させましょう。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■日本新政権、運営見極めで不安 ↓
- ■ドル安傾向が継続 ↓
- ■全米の人権活動、暴動による復興需要 ↓↑
- ■コロナ欧州拡大傾向で第2波警戒 ↓
- ■海外有名銀行のマネーロンダリング報道による銀行株 ↓
- ■2019年9月、2020年3月のマーケット変化 ☆
【マーケットメモ(長期)】
- ■コロナ後の世界経済、ワクチンの報道 ↓↑
- ■FEDバランスシート縮小、米国債の流動性低下 ☆
- ■世界的な景気対策期待、金融相場から業績相場 ↑↓
- ■ドル不足、新興国リスク ↓
- ■米国選挙、SNSのフラッシュニュース ↓
- ■中国が先行景気回復、他国の回復困難予想 ↓
- ■来年ポートフォリオの検討 ☆
中国の景気回復が先行しており、米国では雇用回復などで希望の兆しが見えながらも、米中関係を起端に、米国債や主軸通貨ドルに対する不安が顕在化してゆく、と予想しています。また、政府の財政出動から、資産インフレへの懸念が高まる可能性もあるので、株価と実態経済の乖離を注視しながら、景気回復するのを待ちます。
市場心理は新型コロナウイルス再流行への不安から景気回復の鈍化を懸念する声も聞こえ始めています。さらに世界の有名銀行によるマネーロンダリングの報道がされるなど、当面、銀行株を起因に下落を呼び込む可能性があります。
目先の目線は全体的に上で変化はありません。11月には米大統領選もあることから、調整地合が予想されるため、株価続伸シナリオは一旦保留です。
ここ半年程で関心材料が移りましたが、今後は来年以降を見据えた売買も織り込まれ、中長期で相場とどう向き合うべきか、が見えてくるようになるでしょう。
調整幅を見極めながら、先行指数である株価分析を中心として、特にハイテク株の推移に注目します。ハイテク株の動向で、株価の目線が決まります。ハイテク株は上昇余地があるものの、暴れ馬の展開が続くと思われます。
■トレード・アドバイス
マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は98.31で回復基調を示し、半年以降の見通しは明るいです。MSCI ACWI Index(世界株価指数)も565台に乗せ、堅調推移です。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは-2.19%マイナス展開。
マーケットメモの総括としては、中国が先行して景気回復し、世界経済は持ち直しつつあるものの、米国など一部では回復鈍化のシグナルが出現。今後は対中国への政治要因でも上下する可能性があります。
基本は上目線ながら、下落展開のシナリオも用意し、来年の投資環境を見極めつつ、上下の投資シナリオに対応できるよう準備しましょう。
■トレード・アドバイス
全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。
NEWS PICK OUT
■(9月7日)日本政策投資銀行が日産自動車に1300億円に政府保証
未来の日本の自動車産業を考えたとき、世界ではAIによるハイクテ化が進む中、日産へのただの支援であったなら、テスラ自動車とのAI開発競争に勝てるのかは疑問です。支援の条件として、国内IT企業との合併や他自動車企業との合併を組み込まないと、費用対効果は厳しくなる印象です。
■(9月10日)ドコモ口座、不正引き出し問題
非金融企業が新しい金融サービスを提供したことによる大きな問題として見ています。金融のノウハウ、ITリテラシーがあれば起きていけない事件です。新しい金融サービスを展開したとき、その企業は投資対象となるかを判断する際、金融業の厳格なルール、指針に基づいているか今一度、確認するのがいいでしょう。IT業界と金融の垣根は低くなっていますが、金融事業社としての不変的な部分は、脈々と受け継がれていかなければなりません。
■(9月15日)FOMC 政策金利据え置き
予想通りに政策金利は据え置き、景気は上向いたと表現。失業率は低下し、ゼロ金利継続となりました。マーケットは株高、ドル安再開を目指すでしょうが、FOMCは市場材料としてインパクトが薄れてきた印象です。2023年まで予定調和が続き、市場のFOMCへの関心が薄れていく中、株からゴールドやFX、仮想通貨など、他市場にプレーヤーが移動してゆく可能性があります。
■(9月21日)世界的銀行の不正資金移動
報道後にダウは一時900ドル安まで振れ、商品市場や為替市場、仮想通貨なども全面安展開となり、有事のドル高展開になりました。欧州の感染拡大懸念、米中対立の長期化など下落要因も重なり、マーケットは不穏な週明けとなりました。
今回の下落は短期的なものと判断しますが、調整を呼び込む展開が数か月は続く見通しです。再び銀行の不正資金関連の報道が現れれば、銀行株を起因とした下落を呼び込みます。短期に下落した場合、買い目の姿勢で挑みます。報道が再過熱した場合、長期下落要因となるため、中央銀行の要人、政治家等のコメントに警戒です。グローバル主義から保護主義への扇動報道も注意しましょう。
■トレード・アドバイス
報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。
狐のミニミニコラム
9月10月には来季を考えながら相場を見るのですが、秋のルーティンで菜の花の種を植え、ゆっくりポートフォリオを検討しました。植えた種から菜の花が開花するのは3月の予定で、その後2か月ほどで、種の収穫となり、5月から6月頃に季節が一巡します。
投資と菜園の種を植えることは、収穫までの一連の動作が不思議と似ています。投資も環境を見ながら、打診的に種を植えて、実ったら収穫しての繰り返し。新しい時季に菜の花を植える作業は、半年先を見越しながら行うため、菜の花を見ると、その中長期の目線でゆっくり銘柄を育てる大切さを思い出します。
ひとつを完結させ次の展開に向かうための「頭のリセット」として、一度試してみることをお勧めします。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
【調整への備え】
市場のリズムが変化しているため、調整展開に備えます。従来の短中長期の買い戦略に、新たに短期の売り戦略も検討できます。来年のポートフォリオを考え、直近は調整してゆくことが予想されるので、時折売り戦略を織り交ぜることも考えられます。
マーケットは金融緩和と財政出動から株高が継続されるでしょうが、新たな市場要因を探しつつ、市場変化を探るスタンスで臨みます。悲観的な要素としてドル安傾向になる可能性もあります。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■ヘッジファンドのパフォーマンスは低下傾向
- ■ヘッジファンドは2018年以来のドル売り、継続的なドル安見通し
- ■マーケットの調整気配、ポートフォリオの変化
ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。相場戦略、マクロ系やCTA、ロング&ショート戦略は堅調なパフォーマンスを示していますが、イベント・ドリブンなどの戦略はマイナスパフォーマンスです。
市場に調整気配が強まり、来年以降のヘッジファンドのポートフォリオ次第では注目される市場が変化することも考えられます。
Eurekahedge Hedge Fund Indexの8月評価が+1.87%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが+2.82%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexの+11.93%と、全体的に回復基調が続いています。
SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は-1.78%と減少傾向、自動売買のSG CTA Indexは+0.23%、株価は-0.15%、FXは-0.57%、債券が-0.04%商品は-1.23%で、全体のポートフォリオは-1.60%です。夏休み市場から、鈍化しながらも、市場再開を待つ格好です。
■トレード・アドバイス
ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。
プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。
メインシナリオ
【ポートフォリオ構築】
今は来年の相場をイメージする時期でもあります。9月と10月の相場は調整局面を予想、価格推移はBOXとなり、次なる展開を生み出す準備期間に入ります。
定点観測で、ドル安傾向から、金やユーロ、テック株、企業合併に目を向けており、来年のトレンド銘柄として注目が集まるなら、これらの市場に関する報道も増える予想です。打診対象となり、試験的な運用を開始します。
目線の参考に、ダウが25000±100~26000±100を下回る場合、市場が変化する可能性があります。
カウンターシナリオ
【新型コロナウイルスの第2波 悲観シナリオ】
(1)経済活動の再開後、再び新型コロナウイルスの再流行
(2)新型コロナウイルスが新興国(アフリカなど)で蔓延し、再度、先進国での感染拡大のシナリオ
(3)ウイルスが突然変異して、新たな感染が発生。マーケットは悲観売り加速(マレーシアでは既に変異体を確認)
(1)(2)(3)は市場にも織り込まれ、材料としては反応が鈍いです。米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が年内開始の予定で、来年の上半期に完了したとしても、世界で鎮静化するには2年から3年は要するでしょう。
悲観的な第2波にマーケットは警戒しています。市場としても調整幅が欲しい展開で、下落時には調整か下落トレンド開始なのかを見極めることが重要になります。
サブシナリオ
【調整長期化シナリオ】
経済が回復するまで時間を要し、株価が停滞するシナリオです。今の株価にも迷いが現れており、長期で調整が続く可能性は捨てきれません。
中国が先行して景気回復するものの、他国は景気鈍化となり、世界経済の回復が混迷するシナリオです。
財政出動による景気浮揚とコロナ禍による景気沈没がせめぎあい、株価はBOX展開が続いてしまうのでしょうか――。今後の相場目線が「上なのか」「下なのか」を見極める上で、「カウンターライン」にはしっかり注目しましょう。