3年後のフリージア 2020年10月中旬から1か月のシナリオ分析

【目次】

  • グローバルマーケットの考察
    1. マーケットメモ
    2. NEWS PICK OUT
    3. 狐のミニミニコラム
  • グローバルマーケットのシナリオ分析
    1. 直近1か月の投資スタンス
    2. ヘッジファンドの投資指針
    3. メインシナリオ
    4. カウンターシナリオ
    5. サブシナリオ

グローバルマーケットの考察

【主要銘柄の先月比変動幅】

  • ■ダウ:+2.05%
  • ■日経:-0.28%
  • ■ドル円:+0.43%
  • ■ビットコイン円:+3.55%
  • ■ゴールド:-3.07%
  • ■原油:+0.59%
  • ■TLT(債券):-1.34%

※2020年10月20日時点

 先月はリスクオンとなり、ダウ、ドル円、ビットコイン、原油はプラス転換、ゴールド TLTはマイナス推移、日経はマイナスに転落しました。現在は市場を打診しながら値探りする地合いです。

 Fear&Greed IndexはGreed(貪欲)の60台に推移。VIX(恐怖指数)は27%台で推移。2つの指数から、リスクオン6、リスクオフ4の割合でマーケットの投資割合を観測するといいでしょう。市場心理はやや強気判断で方向を試す気配から、マーケットの未来予想図が浮かび上がるでしょう。

【参考】
Fear&Greed Index(リスクオン、リスクオフの判断)
https://money.cnn.com/data/fear-and-greed/
【参考】
CBOE Volatility Index(恐怖指数)
http://www.cboe.com/vix

マーケットメモ

【マーケットメモ(短中期)】

  • ■11月26日感謝祭、季節アノマリーピークアウト傾向
  • ■コロナ欧州拡大傾向で第2波警戒、ロックダウンの影響 ↓
  • ■2019年9月、2020年3月のマーケット変化 ☆

【マーケットメモ(長期)】

  • ■コロナ後の世界経済、ワクチンの報道 ↓↑
  • ■FEDバランスシート縮小、米国債の流動性低下 ☆
  • ■世界的な景気対策期待、金融相場から業績相場 ↑↓
  • ■ドル不足、新興国リスク ↓
  • ■中国が先行景気回復、他国の回復困難予想 ↓
  • ■中央銀行デジタル通貨(CDBC)の検証 ↑
  • ■米国選挙、プレジデントサイクル 4年の変化 ↑↓
  • ■EU離脱、イギリス再交渉 ↑↓
  • ■来年ポートフォリオの検討 ☆

 11月3日の米大統領選と各国の財政出動が直近の2大テーマとなります。トランプ大統領の再任なら、米中摩擦継続、株高、ドル安、人民元安。

 バイデン新大統領なら、インフレ投資期待高、株高織り込み済みでの利確や企業業績のマイナス政策に警戒です。バイデン新大統領では米中摩擦は軽減される予想で、株高、ドル安、人民元高になるかもしれません。

 どちらの大統領でも、株高は継続すると思われ、また来月からはドルや人民元の動向は変化するでしょう。選挙直後は相場が荒れやすいため、警戒が必要です。

 大統領選後の新しい景気サイクルは4年間続くもので、「プレジデントサイクル」を意識しながら長期目線を構築します。来年以降のポートフォリオは大統領選後に見え始めるでしょう。例年警戒しているのが、11月23日の感謝祭にマーケットピークを迎えることで、これは季節要因でもあるため注意が必要です。

 10月13日にIMFは世界成長予想をマイナス4.4%と発表しました。市場心理は依然晴れない状態であり、欧州のようにコロナの感染拡大が現れる度に、市場心理は揺れる、ということが今後も続くと思います。

 各国の財政出動による株高支持の姿勢は変わらず、株式市場は上昇継続のシナリオで問題ないでしょう。株価分析を中心に、特にハイテク株の価格推移に注目します。来年2021年は株式市場が牽引しながら、ドルの動向変化、商品市場のヘッジ見直しと利確の動き、FX市場の盛り上がり、仮想通貨市場の停滞をイメージしてきています。

■トレード・アドバイス

 マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。

【参考】
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)
https://data.oecd.org/leadind/composite-leading-indicator-cli.htm
【参考】
MSCI ACWI Index(世界株価指数)
https://www.msci.com/acwi
【参考】
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)
https://japanese.spindices.com/indices/equity/sp-global-bmi-usd

 Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は98.8で回復基調を示し、半年以降の見通しは明るいです。MSCI ACWI Index(世界株価指数)も580台に乗せ、堅調推移しており、節目の600を再度挑戦する展開に。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは+3.23%プラス展開です。

 マーケットメモの総括としては、世界経済は回復傾向ながら、コロナ禍による悪材料が増えており、また突発的な新規材料に警戒です。当面は米国や中国の経済回復を見守ります。

 基本は上目線ながら、下落する銘柄の選定を開始します。上下どちらの投資シナリオも準備しながら、11月26日感謝祭までに、各市場の目線を見定める時期です。

■トレード・アドバイス
 全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。

NEWS PICK OUT

■(10月1日)東証のシステム障害、全取引が終日停止 
 東京証券取引所のシステム障害はハッキングなどが原因では…と心配しましたが、ストレージに異常があった事案でした。こうしたシステム障害は忘れた頃に起きるものです。取引所や利用口座のシステムトランブル、ハッキングなども頭の片隅に置きながら、無理のない範囲で投資を心掛けたいです。取引所がブロックチェーンなど新しい技術革新に向けた動きになるかも興味深いところです。提携企業の候補などから今後システム系の会社で注目できそうな銘柄を探したいと思います。

■(10月13日)国際通貨基金(IMF)2020年成長率はマイナス4.4%予測
 IMFは主要先進国と中国の成長率の回復は見られ、景気後退は穏やかになるものの、依然深刻な状況であると予測。一部加盟国には低所得国への返済猶予を求めており、これは新しい政治材料とも受け取れます。

 例えば先進国が新興国との交渉にあたる際、債務猶予の見返りに、地域開発の港や道路、鉄道など交通路の利権を得ることも考えられます。こうした貸し・借りの関係は、隠れた経済利権に発展することもあるため、どの国が関係するのかは見逃さないようにしましょう。

■(10月15日)タイの反政府運動
 プラユット政権に対する抗議が続いています。日本では報道しない小さいデモ情報も各国のトレーダーから耳にします。政治情報が相場にどのような影響を与えるかを考えるとき、「誰が得をして誰が損をするのか」をイメージします。背景にうごめく人々や投資家の動向に注意を払いましょう。

■トレード・アドバイス
 報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。

狐のミニミニコラム

 先月は「秋のルーティンで菜の花の種を植える」と紹介しましたが、今月はフリージアの球根を植えました。3年後に花をつけるような未熟な球根です。スマートフォンのカレンダーで2023年3月~4月に「フリージア開花予想」と記述しながら、メモに「2020年10月アメリカ大統領選の頃に植えた」とも。未来に届く小さい手紙のようなものです。

 球根などは、数年先の見通しを意識するために植えています。大統領の任期は4年がひと区切りで、「プレジデントサイクル」の経済変化を予想します。先の長い話ではありますが、未来を考えてみるのも面白いですよ。

グローバルマーケットのシナリオ分析

直近1か月の投資スタンス

【来季への備え】

 11月3日の米大統領選から11月26日の感謝祭までに、来期のポートフォリオを見定めます。景気サイクルを新しい起点として、新たな方向への打診が始まっている印象です。「材料を求めて催促する相場」にも警戒しており、各国政府の景気刺激策が相場の下支え材料となります。

 直近は荒れながらも、10月31日のハロウィンには来期の目線が例年見えてきます。マーケットは金融緩和と財政出動から株高が継続され、各市場の動向変化を確認できるでしょう。

ヘッジファンドの投資指針

【ヘッジファンドの投資指針】

  • ■ヘッジファンドのパフォーマンスは低下傾向
  • ■ヘッジファンドは2018年以来のドル売り、継続的なドル安見通し
  • ■マーケットのポートフォリオの変化

 ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。相場戦略、アービトラージ、ロング&ショート、マクロ戦略は堅調なパフォーマンスを示していますが、イベント・ドリブンなどの戦略はマイナスパフォーマンスです。市場は安定を示しており、9月を起点にポートフォリオが変化した印象です。

 来期に向けて、買い・売りが明瞭になり、直進的な姿勢も感じられるものの、当面ヘッジファンドのパフォーマンスは低下しそうです。

 Eurekahedge Hedge Fund Indexの9月評価が-0.71%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが-0.44%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexの-12.57%と、全体的にパフォーマンスは低下傾向のため、投資配分が変化した可能性があります。

【参考】
Eurekahedge Hedge Fund Index(ヘッジファンドのパフォーマンス)
https://www.eurekahedge.com/Indices

 SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は+2.81%と回復傾向、自動売買のSG CTA Indexは-2.31%、株価は+0.82%、FXは+1.08%、債券が-0.01%商品は+0.98%で、全体のポートフォリオは+2.87%です。投資先の選定が決まり、回復の兆しが見られます。

【参考】
SG TREND INDICATOR(プライムサービスのインディケーター)
https://cib.societegenerale.com/fileadmin/indices_feeds

■トレード・アドバイス1

 ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。

 プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。

■トレード・アドバイス2

 国際通貨先物市場(IMM)データをもとに、FXに役立つ情報を得ることも可能です。2020年10月17日週時点のデータをもとに、ドル円とユーロドルを見ていきましょう。

・ドル円:売りポジション弱い、停滞気配⇒売り弱気、調整、買い目の検討、中立目線 

・ユーロドル:買いポジション調整気配⇒やや買い強気、買い目様子見 

【参考】
国際通貨先物市場(IMM) 通貨の建て玉(ポジション)の残高
https://www.cftc.gov/MarketReports/CommitmentsofTraders/

 ヘッジファンドや機関投資家、投機筋の買い・売りにおける保有ポジションの状況から為替相場の動向を予想をします。IMMデータは「前週における分析結果」なので、現在のチャート動向との比較が大切です。

 データ比較から(1)から(4)の投資行動が考えられます。また、これらは中長期ポジションの目線であり、「自身の短期目線と同じかどうか」など投資姿勢の確認にも有効です。

(1)買いポジション過熱:下落の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、売り目検討もしくはシナリオの再考
(2)買いポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
(3)売りポジション過熱:上昇の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、買い目検討もしくはシナリオの再考
(4)売りポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続

※(1)と(3)は「シナリオの再考」、(2)と(4)は「好機継続」と考えられます。

メインシナリオ

【ポートフォリオ構築から打診】

 11月3日米大統領選から11月26日感謝祭の期間までに、ポートフォリオ構築や打診の目線を見定めます。

 株式市場の目線は「株高継続シナリオ」、「テック株による牽引」、「コロナによる企業体力の強化」で、「企業合併の話題」にも注目です。市場のドル安傾向により、「ヘッジとしての金」が徐々に外され、商品市場は低迷。為替相場は隆盛で、ユーロ高、資源通貨安などドル以外の他通貨への関心も高まっています。

 仮想通貨は中央銀行デジタル通貨(CDBC)の影響から、過渡期を迎えており、開発導入の迷走シナリオを検討しております。

 コロナと共にあることが平常となり、新しいシナリオが生まれゆきます。現在は「投資のテスト期間」入りしていると思われ、打診が中心となりそうです。第4四半期(10月~12月)を迎え、頭の片隅には12月クリスマス休暇を意識しながら投資することになります。

 目線の参考までに、ダウが25000±100~26000±100を下回る場合、市場が変化する可能性があります。

カウンターシナリオ

【新型コロナウイルスの第2波 悲観シナリオ】

(1)経済活動の再開後、再び新型コロナウイルスの再流行
(2)新型コロナウイルスが新興国(アフリカなど)で蔓延し、再度、先進国での感染拡大のシナリオ
(3)ウイルスが突然変異して、新たな感染が発生。マーケットは悲観売り加速(マレーシアでは既に変異体を確認)

(1)(2)(3)は市場にも織り込まれていたものの、ロンドンの新型コロナウィルスへの警戒レベルが上げられ、欧州全体で再流行への注意が強くなり、景気見通しが不透明になっています。

 各国でも再度ロックダウンとなれば、経済活動低下、思いがけないブラックスワン(突発的な下落要因)が誕生する可能性は否定できません。新興国、貧困国にも債務超過、銀行、企業倒産など、コロナ・ショックによる崩落マーケットを警戒しています。

 そのため、再生系ヘッジファンドの動向などから予兆を探る準備をしています。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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