2020年12月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. NEWS PICK OUT
    2. ビットコイン円
    3. イーサリアム円
    4. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■為替相場:12月23日、1月18日
  • ■商品市場:1月2日、4日
  • ■仮想通貨市場:12月16日、1月4日
  • ■株式市場:1月10日、2月8日
  • ■債券市場:12月28日、1月4日、7日

寸評:変化日の点灯が1月4日前後に集中しており、市場のボラティリティやアルゴリズムによる相場転換に注意

※12月21日時点、変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」

マーケット構図

 マーケット構図は株高、ドル安が継続。株式市場は成長株と割安株の組み換えが進み荒れ気味。為替市場はドル安傾向で、ドルストレート上昇、ユーロ高、円高、クロス円安。仮想通貨市場はビットコイン高で続伸。債券市場も金利低下(価格はBOX相場)、商品市場は上昇再開で、ゴールドの目線が決まり、2021年上半期の市場全体の構図が見えてきました。

 2020年10~11月の相場環境を参考とするマーケットの目線を大切にしたいです。株高、ドル安構図をメインシナリオとして投資行動を開始します。

  • ■リスクオフ要素:ゴールド ビットコイン、ジャンク債(HYG)、CDS、TEDの監視、特にTLTの流動性、DXY(ドルインデックス)のドル安展開、スイスフランや円も定点観測銘柄に追加
  • ■リスクオン要素:各国の緩和、景気刺激策、債券市場の変化
【参考】
finviz (株式市場の銘柄構成をヴィジュアルで確認しやすいサイト)
https://finviz.com/map.ashx?t=geo&st=w4

■トレード・アドバイス
 マーケット構図を把握することで、「投資シナリオを維持するか、再考するか」の判断ができます。例えば、基本構図が株高・ドル安で、次の日が株高・ドル高になれば、投資は様子見し、市場変化を見極める、という行動に移れます。

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 弱気 下落基調 165±50 150.00~165.00
ダウ 強気 上昇基調 25000±100 26000~33000
S&P500 強気 上昇基調 3100±100 3100~4000
日経平均 強気 上昇基調 21000±50円 21000~28500円
DAX 強気 上昇基調 10800±50 10800~15300
EUR/USD 強気 上昇基調 1.1400±50 1.1400±50~
1.2800±50
USD/JPY 弱気 下落基調 106.50±50円 101.90±50~
106.00±50円
BTC/JPY 強気 上昇基調 135万円台±10万円 135~350万円台
GOLD 中立・買い目 上昇基調 1700±50 1700~2200
原油 中立・買い目 上昇基調 37±1 37.00~58.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2020年12月21日時点

 全体的な投資構図が定まり、基本姿勢は強気、目線は上目線を中心に投資行動を検討できます。新たな景気サイクルを念頭に、相場転換時でも収益が出る銘柄を選定します。

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状5対5でややファンダメンタルを優先して判断します。市場心理は緩やかで堅調です。AIやアルゴリズムによる変動には注意が必要です。2021年に向けて、市場がひとつの区切りをつけようとしています。

注目の経済指標

 当面、中国や米国の景気回復度合いを見比べます。11月の製造業PMIは中国が52.1で米国は57.9と、共に景気拡大の50を上回る結果でした。消費者物価指数(CPI)は中国が0.5%低下、米国も1.2%と低い結果に(人民元やドル売り材料にも)。両国ともインフレリスクは低下傾向です。

 中国が先行して景気回復を見せており、米国は回復の兆しは現れつつも、コロナによる規制強化で景気鈍化の懸念があります。また、欧米のコロナ第2波による景気鈍化シナリオにも注意が必要です。経済大国としての地位が、米国から中国に向けて歩みだしたかもしれません。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

■トレード・アドバイス

 経済指標は、GDPと消費者物価指数、製造業指数が判断材料の軸です。各国特徴があり、時期ごとに重要度合いは異なります。今は、製造業ですが、そろそろ、消費物価の注目度が高まる印象です。経済もブームがあり、タピオカの次はこの商品が来る、といったことと同じです(次は免疫を高める、ハチミツ?)。

主要な中央銀行の予想 2021年3月のFOMC予想

「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、12月金融政策は現状維持の予想通りでした。要旨を抜粋すると「経済見通しは不透明で不確実性が残り、金融政策と財政政策の支援が引き続き必要」とのこと。

 ドットチャートからも、2021年3月のFOMCは現状維持が予想されます。また、2023年まで実質ゼロ金利が予想され、2年間は株高、ドル安シナリオが継続する可能性があります。株式市場が飽和すれば、資金は他市場へ流れる可能性もあり、株式市場は楽観と悲観を織り込みながら展開するかもしれません。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場は成熟期に突入、CMC Crypto 200 Indexを見ると、ビットコインは短中期で上昇が加速しています。アルトコインも軒並み上昇基調です。現状は仮想通貨市場が選好され、過熱的ぎみな状態を見せています。

 仮想通貨ヒートマップ(下記リンク参照)を見ても軒並みプラス展開。CME仮想通貨の各オプション出来高は急騰しており、ヘッジファンドなど機関投資家の参入を示唆しています。しかし、打診的なポジション量の報告ばかりです。それでも取引量は増加傾向にあるため、仮想通貨の銘柄全体で上昇が予想されます。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨のオプションの出来高
https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-options
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

■(11月27日)フェイスブックの仮想通貨リブラ(Diem) 2021年誕生なるか
 大手報道機関によるとフェイスブックの仮想通貨リブラ(名称を12月にDiemへ変更)が1月に発行するかも、との噂です。ローンチのためには、いくつかハードルがあるものの、Diem誕生となれば、仮想通貨市場に対するインパクトは絶大です。こうした仮想通貨市場へプラスとなる報道は、ビットコインの買い材料として捉えられる可能性があり、一方、銀行株の売り材料にもなり得ます。

 ニュースが出ても、焦らず市場の動向を見守りましょう。

■(12月3日)S&P Dow Jones Indices 仮想通貨インデックス提供の可能性
 S&P500など、様々な指数を提供するS&P Dow Jones Indicesが、仮想通貨のインデックスを提供すると発表。これは機関投資家の仮想通貨市場参入を促進させる効果があります。株式市場、為替市場、債券市場からの代替投資先として、仮想通貨市場が選ばれるようになると、ビットコインやアルトコインの価格にも影響を及ぼすでしょう。

 投資の基本的な市場構図として、機関投資家などのビッグプレイヤーが参入するようになると、取引高が増加し、その市場における各銘柄の価格を底上げすることに繋がりやすいです。

■(12月6日)CME イーサリアム先物取引を2021年2月8日より開始
 CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)でビットコイン先物に続き、イーサリアムの先物も提供される予定です。時期は2021年2月8日より。ビットコイン先物がビットコイン価格を底上げしたことに繋がったように、イーサリアムも同様に市場規模が拡大する期待が高まります。

 こうしたプロの機関投資家の参入は取引高に加え、取引データの蓄積にも繋がり、ゆくゆくは仮想通貨市場の洗練にも繋がります。つまり、プロに取引される銘柄だけが生き残る構図に移り変わります。

ビットコイン円

 ビットコイン円は、回帰分析では強気範囲(120~280万円台)で価格推移。中長期で上昇基調を予想しており、その他市場からの逃避先、または選好先となれば、さらなる強気姿勢で上昇継続が予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が上回り、短中期のMAはゴールデンクロスで、買いシグナルが点灯。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMAと雲を超えて買いシグナルが点灯。短中長期ともに上昇シグナルが現れています。

 回帰分析から、強気範囲を超え過熱気味であり、165万円台の回帰直線付近に向かう調整も考えられます。サイクル&リズム分析では ローソク足は陽線約3~5本、陰線は2~3本のリズムを繰り返し、継続的な展開を予想。歴史的高値を超えて200万円台に到達、次は300万台に向けての期待が高まります。フォーメーション分析では下降フラッグを上昇ブレイクとなり、仮想通貨全体を牽引しています。

 一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は75付近推移、スローストキャスティクスは90付近で推移しており、オシレーター系は調整シグナルとして、一旦165万円台などを見る可能性も頭の片隅に。

 注目度・先行性を測る出来高は上向きつつあります。2020年10月安値と12月安値を結ぶ短期の上昇トレンドラインをサポートとして、今後は調整下落の価格目途、また下値抵抗帯として機能します。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇展開とし、直近200万円台の足場固めて、300万円台を目指すシナリオをイメージしています。今後はフィボナッチ分析から244万円台、333万円台、420万円台に向かって、上昇する可能性もあります。

 カウンターシナリオは、下落展開に変わり165万円台を割り込む。さらに130万円台を割り込み下落が加速するなら、100万円台まで見える弱気シナリオです。

 グローバルマーケットは株価堅調ながらも、株式市場は飽和状態で、ドル安がメインシナリオです。ドルインデックス(DXY)90~91で推移しながら、88に向かう下落展開になれば、ビットコイン円は300万円台到達へ上昇するシナリオも考えられます。ドル安 ビットコイン高の構図を意識するといいでしょう。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では強気範囲(40000~70000円)の付近で価格推移しながら、短中期は上昇展開を予想。直近の上限40000円、50000円を超え、上値の勢いは強いです。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAはゴールデンクロスで買いシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21と雲を上抜け、強気の買いシグナルが現れています。雲から24000~25000円までが調整範囲の目安でもあり、サポートラインとしても機能します。

 ローソク足は週足に目を向けると陽線5本、陰線3本~4本のリズムで上昇基調。サイクル&リズム分析からは、継続的な上昇リズムとなり、2倍値や3倍値も意識され、80000円や90000円の到達も想定できます。フォーメーション分析ではアセンディングトライアングルを形成中で、強気買いシグナルになります。

 中期トレンドラインは、2020年3月安値から9月安値を結んだ短期上昇トレンドラインを下値抗帯として調整目安です。2020年2月高値と8月高値を結ぶ短期トレンドラインを超えたため、これは今後サポートラインに変化します。

 一方、オシレーター系のクラシックRSIは80付近で推移、スローストキャスティクスは80付近で推移しており、共に80を超えて過熱気味で、調整気配が強いです。BOX相場を形成し、調整を行うと、オシレーター系の過熱は低下するでしょう。上昇トレンドから押し目を意識して、その後、上昇を再開するイメージです。

 注目度・先行性を測る出来高は、やや弱いシグナル。基本は上昇継続シグナルです。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは上昇継続で、55000~65000円で足場を固め、80000円や90000円に向けて勢いを保つ想定です。

 カウンターシナリオは回帰直線53000±100円、弱気範囲の下限40000±100円への下値ブレイク、更に雲の付近24000~25000円を割り込む場合、15000~22000円への下落も考えられる弱気シナリオです。

 イーサリアムはDeFi(分散型金融)の熱狂が落ち着き、堅調な上昇局面への移行を示唆しています。また、ビットコイン上昇に牽引されており、ビットコインの調整時には警戒が必要です。イーサリアムの評価が見直され、長期的な買い転換になる予想です。

リップル円

 リップル円は回帰分析の強気範囲(38~57円)の付近で価格推移。短中期は上昇転換の兆しがあり、調整しながら継続的に上値追いをすることが予想されます。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21を上回り、短中期のMAはゴールデンクロスとなり、買いシグナル。長期MAの上昇転換を示唆しています。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは雲を超えて強気の買いシグナル。雲のネジレから1月11~18日前後には相場が変化する可能性を示しています。

 ローソク足は陰線と陽線共に5本のリズムを形成し、調整5本から再上昇イメージです。サイクル&リズム分析ではリズム変化、ブレイク展開から調整気味です。2020年3月安値と11月安値を結んだ短期上昇トレンドラインは、調整下落幅の目安として使えます。相場の新局面からフォーメーション分析の判断は保留で、買いのフラッグ、ダイヤモンドの形成を予想しています。

 一方オシレーター系のクラシックRSIは70付近で推移、スローストキャスティクスは60付近で推移していることから、オシレータ系においては過熱圏から脱却し、調整シグナルが現れています。オシレーター系が50付近を超えるなら、上昇継続シグナルとなります。

 注目度・先行性を測る出来高は弱り、調整シグナルに転じています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは37~70円台で価格推移しながら、100円台に向けて上値追いをするイメージです。調整色が強く、打診と買い目、積み立ての姿勢を使い分けるといいでしょう。

 カウンターシナリオは、35±1円まで下落し、それに失望した売りが重なり、18~20円台を割るという悲観シナリオです。

 トレンドブレイクしたものの、現状は押し目を探る地合いです。ビットコイン上昇過熱に牽引された上昇相場のため、アルトコインそのものが支持され、買われているというわけではないことを忘れずに。

 こうした相場では、上昇の勢いが失速し、下落に転じたときは要注意です。基本は買い姿勢で問題ないでしょうが、過信しすぎず、目線を見定める姿勢も保ちましょう。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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