2021年1月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. NEWS PICK OUT
    2. ビットコイン円
    3. イーサリアム円
    4. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■為替相場:1月18日、2月19日
  • ■商品市場:2月5日、9日
  • ■仮想通貨市場:2月23日
  • ■株式市場:2月1日、19日
  • ■債券市場:1月25日

寸評:変化日の点灯が散在しており、相場が荒れる可能性も

※1月18日時点、変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」

マーケット構図

 マーケット構図は株高が継続。株式市場はバリュー株(割安株)、ハイテク株動向に注目が集まります。為替市場はドル安傾向が一服、現在は反発気配を高め、ドルストレート、クロス円も調整。

 仮想通貨市場はビットコイン高で急騰続伸。債券市場もTLT(債券価格)下落展開となり、ドルとの相関が薄れ、市場不安を象徴しています。商品市場はゴールドが再上昇。

 2021年上半期の市場全体の構図は、ドルインデックスが重要な判断材料になりそうです。

  • ■リスクオフ要素:ゴールド ビットコイン、ジャンク債(HYG)、CDS、TEDの監視、特にTLTの流動性、DXY(ドルインデックス)のドル安展開、スイスフランや円も定点観測銘柄に追加
  • ■リスクオン要素:各国の緩和、景気刺激策、債券市場の変化
【参考】
finviz (株式市場の銘柄構成をヴィジュアルで確認しやすいサイト)
https://finviz.com/map.ashx?t=geo&st=w4

■トレード・アドバイス
 マーケット構図を把握することで、「投資シナリオを維持するか、再考するか」の判断ができます。例えば、基本構図が株高・ドル安で、次の日が株高・ドル高になれば、投資は様子見し、市場変化を見極める、という行動に移れます。

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 弱気 下落基調 156±50 140.00~165.00
ダウ 強気 上昇基調 25000±100 26000~33000
S&P500 強気 上昇基調 3200±100 3200~4200
日経平均 強気 上昇基調 22000±50円 22000~30000円
DAX 強気 上昇基調 10800±50 11100~15600
EUR/USD 中立 上昇基調 1.1700±50 1.1700±50~
1.2800±50
USD/JPY 弱気 下落基調 105.30±50円 101.50±50~
106.00±50円
BTC/JPY 強気 上昇基調 265万円台±10万円 265~500万円台
GOLD 中立 BOX基調 コアBOX
1700~1960±50
1700~2200
原油 強気 上昇基調 38±5 40.00~62.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2021年1月19日時点

 全体的な投資構図が定まり、基本姿勢は強気、上目線を中心に投資行動を検討できます。ドルインデックスの動向により不安定な地合いが予想され、目線を固定しすぎないよう注意が必要です。

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状1対9でアルゴリズムを優先して判断します。マーケットニュースに流されず、統計を中心とした判断をします。市場心理は、冷静と興奮が混雑しながら、不安定な地合いを予想。春の天気のように、寒い日、暖かい日を繰り返しながら、市場が落ち着くのを待ちます。

注目の経済指標

 当面、中国や米国の景気回復度合いを見比べます。12月の製造業PMIは中国が51.9で米国は60.7と、共に景気拡大の50を上回る結果でした。消費者物価指数(CPI)は中国が0.2%低下ながら一時的と判断、米国も1.4%と小幅に上昇結果に(人民元やドル売り材料にも)。両国ともインフレリスクは低下傾向です。

 中国が先行して景気回復を見せており、米国は回復の兆しが現れるも、現状は勢いがありません。世界経済は、米国と中国の経済に左右されるでしょう。次なる一手を待っており、マーケットが経済刺激策を求めるようになると、その後の相場展開は荒れる可能性があります。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

■トレード・アドバイス

 経済指標は、GDPと消費者物価指数、製造業指数が判断材料の軸です。各国特徴があり、時期ごとに重要度合いは異なります。今は、製造業ですが、そろそろ、消費物価の注目度が高まる印象です。経済もブームがあり、タピオカの次はこの商品が来る、といったことと同じです(次は免疫を高める、ハチミツ?)。

主要な中央銀行の予想 2021年3月のFOMC予想

「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、12月金融政策は現状維持の予想通りでした。要旨を抜粋すると「経済見通しは不透明で不確実性が残り、金融政策と財政政策の支援が引き続き必要」とのこと。

 ドットチャートからも、2021年3月のFOMCは現状維持が予想されます。ただし、FRBのタカ派による債券購入のテーパリング検討などの発言から、これまでのドル安展開は調整局面に。要人発言から株式市場・為替相場がクラッシュすることもあるので、投資の際はメインシナリオだけではなく、カウターシナリオも頭に入れておくことが大切です。

 2023年まで実質ゼロ金利が予想され、2年間は株高、ドル安シナリオが継続する可能性があります。FRBの姿勢、政権交代による相場局面の激変に用心しましょう。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場は成熟期に突入、CMC Crypto 200 Indexを見ると、ビットコインは短中期で上昇急騰しています。アルトコインも軒並み上昇基調です。現状は仮想通貨市場が選好され、熱狂的な状態を見せています。

 仮想通貨ヒートマップ(下記リンク参照)を見ても軒並み調整展開。CME仮想通貨の各オプション出来高は調整しており、取引量は調整傾向にあるため、価格と出来高のアンバラスから、大幅な調整には警戒です。12月からの1か月で狂乱的な急騰と同時に相場環境の整備もあり、持続的に上昇する材料は揃いつつあります。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨のオプションの出来高
https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-options
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

■(12月22日)SEC リップル社を提訴の可能性
 SEC(米証券取引委員会)がリップル社を提訴する可能性が浮上し、その報道によりリップル円は一時は18円台まで崩落。米国内の仮想通貨取引所でも取引停止など様々な影響がありました。リップルが証券に該当するかどうか、が争点になりそうで、今後の動向に注目です。

■(1月15日)テザー社 ビットコインでの運用が発覚
 仮想通貨テザーを発行するテザー社がビットコインで資産運用をしていたことが発覚。ステーブルコインであるテザーの裏付け資産に関しては以前から問題視されており、テザーとビットコイン価格に関する関係性にも注目が集まっていました。テザーが不当にビットコイン価格を操作するために、ステーブルコインのテザーを裏付け資産が曖昧なまま発行していたとなると、ビットコイン価格に影響が現れる可能性も。

ビットコイン円

 ビットコイン円は、回帰分析では強気範囲(350~450万円台)で価格推移。中長期で上昇基調を予想しており、1か月で190万円台から400万円台に急騰、何事もなければ、強気姿勢が続くと予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が上回り、短中期のMAはゴールデンクロスで、買いシグナルが点灯。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMAと雲を超えて買いシグナルが点灯。短中長期ともに上昇シグナルが現れています。

 回帰分析から、強気範囲を超え過熱気味であり、回帰の強気範囲210~300万円台への調整も考えられます。サイクル&リズム分析では 直近の過熱が一服、ローソク足は陽線約2本、陰線は2~3本のリズムを繰り返し、調整気味の展開です。フォーメーション分析では上昇フラッグ形成となり、仮想通貨市場全体を牽引しています。

 一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は65付近推移、スローストキャスティクスは65付近で推移しており、価格推移とオシレーター系を見比べると、一時的な調整として、さらなる高値を狙った値動きであり、買い目、押し目を探るシグナルになっています。

 注目度・先行性を測る出来高が伴わない急騰のため、大幅な下落調整の可能性もあり、価格帯別出来高から下値130~200万円台までの下落展開も想定されます。2020年12月安値、2021年安値を結ぶ短期の上昇トレンドラインをサポートとして、今後は調整下落の価格目途、また下値抵抗帯として機能します。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇基調です。直近300~400万円台の足場固めて、フィボナッチ分析などから420万円台、533万円台 600万円台に向かって、上昇する可能性もあります。また、テザーの裏付けの問題等が消化されれば1000万台が眼中となります。

 強気なビットコイン相場ではカウンターシナリオにも警戒が必要です。出来高のない急騰から急落展開に変わり、トレンドライン300~340万台を割り込む、さらに強気範囲210~300万円台を割り込み下落が加速するなら、130~200万円台まで見える弱気シナリオも考えられます。

 グローバルマーケットは株価堅調ながらも、株式市場は飽和状態で、ドル安シナリオは一服。ドルインデックス(DXY)が91~92に反発し、ドル高に変化すれば、ビットコインは中期的に調整シグナル、ドルインデックス88~89ドルへ下落展開になれば、ビットコイン円は継続的な上昇シナリオを想定しています。

 簡単にはドル高・ビットコイン安もしくはドル安・ビットコイン高の市場構図を意識するといいでしょう。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では強気範囲(11万円~15万8000円)の付近で価格推移しながら、短中期はビットコインの急騰から、アルトコインが上昇展開となり60000円から2倍値の展開で推移、さらなる強気姿勢で上昇継続が予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAはゴールデンクロスで買いシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21と雲を上抜け、強気の買いシグナルが現れています。

 ローソク足は週足に目を向けると陽線5本、陰線2本~3本のリズムで上昇基調。サイクル&リズム分析からは、継続的な上昇リズムとなり、更なる2倍値や3倍値も意識され、20万円台の到達も想定できます。フォーメーション分析では上昇フラッグを形成し、継続的な強気買いシグナルになります。

 短期トレンドラインは、2020年12月安値から2021年1月安値を結んだ短期上昇トレンドラインは、2020年2月高値と8月高値を結ぶ短期トレンドラインを超えたため、今後サポートラインに変化します。

 一方、オシレーター系のクラシックRSIは69付近で推移、スローストキャスティクスは70付近で推移しており、80台の過熱気味から調整を迎え、価格とオシレーター系を比べると、押し目、買い目シグナルが現れています。さらなる強い上昇基調が予想されるでしょう。

 注目度・先行性を測る出来高は、やや弱いシグナル。出来高が伴わない急騰であるため、下落調整幅は、70000~60000±100円も想定範囲です。基本は上昇継続シグナルが続いています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは上昇継続で、10万円~14万円±100円で足場を固め、フィボナッチ分析等から、16万7000±100円~17万±100円、20万円±100円に向かう想定です。

 カウンターシナリオは回帰分析の弱気範囲下限である10万円±100円への下値ブレイク、さらに85000±100円を割り込む場合、価格帯別出来高から70000~60000±100円が下値目途となる「弱気シナリオ」です。

 イーサリアムは持続的な上昇局面に入り、アルトコインの中でもイーサリアムが長期的な投資対象として評価され始めている印象です。イーサリアムはビットコインの急騰に牽引されているため、ビットコイン調整時にはイーサリアムにも影響を与える可能性があります。

リップル円

 リップル円は回帰分析の強気範囲(23~44円)の付近で価格推移。短中期はトレンド転換局面を迎えたと思われ、直近1か月で、急騰・急落を繰り返し、BOX相場で推移しています。中立目線、買い目保留の価格推移となっています。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21を上回りながら、短中期のMAは収束してBOX推移、停滞シグナルが現れています。長期MAも下回っているので、下落展開の可能性も。また、一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは雲を下回り、弱気の売りシグナル。

 ローソク足は陰線と陽線共に3本のリズムを形成し、停滞推移イメージです。サイクル&リズム分析ではリズムが不安定で調整気配です。2020年3月安値と11月安値を結んだ短期上昇トレンドラインは「下値ブレイクから反発」までの調整目安として機能しました。相場の新局面からフォーメーション分析の判断は保留で、トライアングル、ダイヤモンドの形成を予想しています。

 一方オシレーター系のクラシックRSIは47付近で推移、スローストキャスティクスは20付近で推移していることから、オシレーター系においては売られすぎから、反発の調整シグナルが現れています。オシレーター系と価格がリンクしており、シグナル発生の有効度合いが高まっています。反発、上昇再開にはシグナル判断を重要視となります。

 注目度・先行性を測る出来高は、調整シグナルに転じています。価格帯別出来高で推移しており、20~40が目安となり、上値展開には乏しい出来高となっています。調整、様子見シグナルと判断します。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは20~40円台で価格推移しながら、中立目線、買い目が基本的な姿勢で、様子見です。

 カウンターシナリオは、20±1円まで下落し、それに失望した売りが重なり、15~18円台を割るという悲観シナリオです。

 ビットコイン上昇過熱に牽引された上昇相場において、リップル社訴訟の可能性でリップルが崩落してしまい、リップルが生き残るために方々から発言、報道が増えるでしょう。

 基本は買い目姿勢で、テクニカル分析を優先に、ファンダメンタルの情報を排して、目線を見定める姿勢を保ちましょう。生き残る通貨は、時代に即したサービス、スピード、流通性、信用度合いなど、多くあります。当面はビットコイン急騰からアルトコインへの上昇波及の見通しです。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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