Restart 2021年3月中旬から1か月のシナリオ分析

【目次】

  • グローバルマーケットの考察
    1. マーケットメモ
    2. NEWS PICK OUT
    3. 狐のミニミニコラム
  • グローバルマーケットのシナリオ分析
    1. 直近1か月の投資スタンス
    2. ヘッジファンドの投資指針
    3. メインシナリオ
    4. カウンターシナリオ
    5. サブカウンターシナリオ

グローバルマーケットの考察

【主要銘柄の変動幅(2月)】

  • ■ダウ:+4.96%
  • ■日経:-1.06%
  • ■S&P500:+1.52%
  • ■DAX:+5.11%
  • ■ドル円:+3.06%
  • ■ユーロドル:-10.5%
  • ■ビットコイン円:+17.65%
  • ■ゴールド:-1.37%
  • ■原油:+6.75%
  • ■TLT(債券):-6.79%

 株は堅調で、原油とビットコインも上昇しています。一方でTLT(債券価格)は下落基調、為替市場のドル高気配が強まり、ドル円は上昇基調、ユーロ高気配。ゴールドも反発気配と、市場構図から方向性が固まりだした雰囲気です。市場見通しからポートフォリオが明瞭になりました。

 Fear&Greed IndexはGreed(貪欲)の58台に推移。VIX(恐怖指数)は19%台で推移。2つの指数から、短期的な市場観測としてリスクオン7、リスクオフ3の割合での投資方針で問題ないでしょう。

【参考】
Fear&Greed Index(リスクオン、リスクオフの判断)
https://money.cnn.com/data/fear-and-greed/
【参考】
CBOE Volatility Index(恐怖指数)
http://www.cboe.com/vix

マーケットメモ

【マーケットメモ(短中期)】

  • ■2019年9月、2020年3月、5月、11月のマーケット変化に注目 ☆
  • ■米国の景気刺激策への期待 ↑
  • ■コロナ終息、経済正常化の織り込み ↓
  • ■OPECプラス原油の減産緩和、2021年第1四半期まで延長 ↑
  • ■サウジアラビア 原油減産 ↑
  • ■OECD 経済成長予測 今年は+5.6% 上方修正 ↑

【マーケットメモ(長期)】

  • ■コロナ後の世界経済、ワクチンの報道 ↓↑
  • ■FEDバランスシート縮小、米国債の流動性低下 ☆
  • ■世界的な景気対策期待、金融相場から業績相場 ↑↓
  • ■ドル不足、新興国リスク ↓
  • ■中国が先行景気回復、他国の回復予想困難 ↓
  • ■米中関係 ↑↓
  • ■コモディティ・インデックスに注目 ↑
  • ■中央銀行デジタル通貨(CDBC)の検証 ↑
  • ■長期ポートフォリオ検討、4年間のプレジデントサイクル

 バイデン政権は1兆9000億ドルの経済政策を可決し、現金給付、失業保険と大規模な財政出動を実現しました。株式市場と債券市場は混迷しながらも、株価は堅調推移、ドルインデックスは一時上昇したものの、現状はドル安再開の気配を見せています。ドルの方向性は見極めるのにまだ時間が必要です。

 FOMCの金融政策は現状維持、成長見通しは+6.5%。一方、マーケットは2023年までゼロ金利を維持しながらも、ハト派とドル安の姿勢を確認しながら、利上げメンバー増加傾向となり、市場の利確要因が織り込まれた格好です。

 3~4月はシーズナルチャートから、トレンド起点になるという季節傾向もあり、株価やドル、TLTの動向から目線を判断できるでしょう。今後は、株式市場を中心に、明確な市場構図、方向性が生まれると思われます。

【参考】
Equity Clock(シーズナルチャート、マーケットの季節傾向) 
https://charts.equityclock.com/

■トレード・アドバイス

 マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。

【参考】
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)
https://data.oecd.org/leadind/composite-leading-indicator-cli.htm
【参考】
MSCI ACWI Index(世界株価指数)
https://www.msci.com/acwi
【参考】
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)
https://japanese.spindices.com/indices/equity/sp-global-bmi-usd

 Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は99.8で、先進国は100台に乗せるなど回復基調が現れ始め、半年以降の経済見通しは明るいことを示唆しています。MSCI ACWI Index(世界株価指数)も677台に乗せ、歴史的高値を更新中。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは+3.35%とプラス展開です。

 マーケットメモの総括としては、世界経済は回復傾向の展開を強め、バブルの声が含まれながら、当面は回復成長の見通しです。長期投資サイクルによる市場構図を見定め、3つの指数から長期的な市場観測にリスクオン8、リスクオフ2という局面を想定し、各市場・銘柄への投資姿勢を構築していきます。

■トレード・アドバイス
 全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。

NEWS PICK OUT

■(3月12日)米アップル 自動車業界参入の進展
 米アップルが自動車業界へ参入を目指している。協議が難航している提携企業もあるようだが、障壁を突破すれば、テスラとのライバル企業となり、株マーケットには大きな刺激となるため、今後に期待しています。

 視点を変えれば、ハイテク企業が別業種へ飛び込むことで、変革を促すことが考えられます。(1)ソフトウェアの開発技術(2)データ分析の2つの軸が、成長銘柄の共通点になるでしょう、今後もマーケット変化として定点観測をしていきます。

■トレード・アドバイス
 報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。

狐のミニミニコラム

 今月はRestartです。新しいマーケット展開を見せていることから、気分を刷新します。マーケットの節目を超えて、新しい展開のシナリオをイメージします。

 描いたシナリオを分析して、マーケットがシナリオ通りに動くなら挑みます。シナリオが当たる、外れるは二の次です。大切な収益を残すことなので、シナリオの成否はどうでもいいのです。外れたら次を考える――、反省と改善の繰り返しです。

 現在は新しいシナリオを一考です。全体の目線を短中期、長期と分けながら、分析などリセットして、新しい分析、シナリオ、ポートフォリオを構築です。気持ちを新たなにいきましょう。

グローバルマーケットのシナリオ分析

直近1か月の投資スタンス

【攻勢】 快晴の天気予報、投資心理を最優先

 投資スタンスは攻勢に構えます。投資指針の軸足として株高の構図ですが、ドルの方向判断は保留です。その他市場のスタンスは明瞭で、市場構図を見定め攻勢を強めます。市場心理を優先に価格を追う姿勢となります。

ヘッジファンドの投資指針

【ヘッジファンドの投資指針】

  • ■ヘッジファンドは2021年ドル安見通し
  • ■ハイテク株、仮想通貨関連に注目
  • ■米株ファンドに資金増加

 ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ヘッジファンドに優位な相場展開となり、資金流入の増加から、出来高の増加が期待されます。ヘッジファンドのパフォーマンスから、2021年はドルトレンド、ハイテク株、仮想通貨関連の動向に注視します。また、米株ファンドへの資金が増加傾向を強め、米国株への投資熱が高まりを見せています。今後も、株価上昇要因となるでしょう。

 Eurekahedge Hedge Fund Indexの2月の評価が+2.71%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが-0.07%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexは+37.65%と、全体的にパフォーマンスは上昇傾向。AIファンドは低迷に落ち着き、仮想通貨ファンドは続伸です。仮想通貨には機関投資家の買い増加など、継続的な地合いが予想されます。

【参考】
Eurekahedge Hedge Fund Index(ヘッジファンドのパフォーマンス)
https://www.eurekahedge.com/Indices

 SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は+2.80%と回復傾向、自動売買のSG CTA Indexは+2.36%、株価は+2.75%、FXは-0.06%、債券が-0.13%商品は+0.10%で、全体のポートフォリオは+2.88%です。全体的に回復傾向を強め、買い・売りの銘柄選定が定まり、安定期に入る予想です。

【参考】
SG TREND INDICATOR(プライムサービスのインディケーター)
https://cib.societegenerale.com/fileadmin/indices_feeds

■トレード・アドバイス1

 ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。

 プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。

■トレード・アドバイス2

 国際通貨先物市場(IMM)データをもとに、FXに役立つ情報を得ることも可能です。2021年3月19日週時点のデータとIG Client Sentimentも参考に、ドル円とユーロドルを見ていきましょう。

・ドル円:買いポジション減少、売りポジション継続⇒買い、利益確定、円安、上目線
【買いポジション37%/売りポジション63%:買い優勢】

・ユーロドル:買いポジション調整、売りポジション調整⇒売買が拮抗、ややユーロ高、上目線
【買いポジション50%/売りポジション50%:売り優勢】

【参考】
国際通貨先物市場(IMM) 通貨の建て玉(ポジション)の残高 プロの長期目線
https://www.cftc.gov/MarketReports/CommitmentsofTraders/
【参考】
IG Client Sentiment 売買ポジション動向 個人投資家の短期目線(IG口座保有者に限る)
https://www.dailyfx.com/sentiment

 ヘッジファンドや機関投資家、投機筋の買い・売りにおける保有ポジションの状況から為替相場の動向を予想をします。IMMデータは「前週における分析結果」なので、現在のチャート動向との比較が大切です。

 データの傾向から(1)から(4)の投資行動が考えられます。また、これらは中長期ポジションの目線であり、「自身の短期目線と同じかどうか」など投資姿勢の確認にも有効です。

(1)買いポジション過熱:下落の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、売り目検討もしくはシナリオの再考
(2)買いポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
(3)売りポジション過熱:上昇の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、買い目検討もしくはシナリオの再考
(4)売りポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続

※(1)と(3)は「シナリオの再考」、(2)と(4)は「好機継続」と考えられます。

メインシナリオ

【市場選好の変化】
 市場選好の変化から、株式市場を中心に、円、ゴールド、原油、仮想通貨へ投資色が強まるのがメインシナリオです。指針のドルインデックスがBOX展開92.50~91で推移しながらドル高反発を想定です。市場の選好先がドルから他市場へ移行する局面を描いています。

 市場の指針を見る上ではドルの方向性が重要であり、現時点はドルインデックスが91.50~92で推移、長期的ドル安の調整反発として見ています。ドルインデックスが93~95のドル高に回帰するなら様子見、シナリオ再考です。反対にドルインデックスが90.10~89台に向かうドル安ならば、長期的な投資環境が明瞭になり、目線を判断できます。

 3月から4月を起点に市場が始まる予想をしており、ポジション量は打診的な1/10~1/5ほどの量でいいでしょう。株式市場を中心に打診しながら、ドルの目線が保留のまま他市場への関心が強くなれば、本格的なポジション量で投資を行う想定です。

カウンターシナリオ

【ワクチン接種、正常化宣言による利確】
 各国でコロナワクチンの接種が開始され、経済正常化への見通しが立つことで、株式市場や為替相場などで利益確定の動きが出る可能性もあります。

 利益確定後は、上昇反発に向かうと予想しています。また、流動性相場から業績相場へ変化し、上昇銘柄・下落銘柄の判別が必要となります。下落幅や上昇幅は直近の相場データから、ある程度想定する事が大切になると考えています。

 ワクチンの接種は数年続く見通しもあり、日常的な病気として定着する可能性もあります。正常化宣言の直後には様々な憶測と共に、市場も荒れる可能性があるので、注意をしましょう。

サブカウンターシナリオ

【バイデン政権 経済政策への弊害】
 バイデン政権による経済政策により、インフレリスクを懸念した報道、SNSの書き込みなど、市場が荒れた値動きとなり、株式市場、債券市場、為替市場に混乱を招く懸念シナリオです。短期的なリスクであり、当面の政策実行後による野党からの報道に注意が必要です。調整下落したら、買い目で待機しながら、打診が賢明でしょう。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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