2021年4月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. NEWS PICK OUT
    2. ビットコイン円
    3. イーサリアム円
    4. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■為替相場:4月27日、5月3日、10日、18日
  • ■商品市場::5月5日、18-20日、6月11日、14日
  • ■仮想通貨市場:4月27日
  • ■株式市場:4月28日、5月31日
  • ■債券市場:5月19日、24日

寸評:前回同様にバラバラに変化日が点灯しています。4月末から5月上旬に集中しており、月末・月初は警戒です

※4月20日時点、変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」

マーケット構図

 目先の株高とドル安気配から他市場の構図が定まってきています。

 仮想通貨市場はビットコイン高で続伸継続、TLT(債券価格)は上昇気配。ドル相関は崩れ、市場不安を象徴しています。ゴールドは反発気配、原油は調整から上昇再開。

 各市場の構図変化から、業績相場への移行局面と考えられます。2021年上半期の市場全体の構図は、ドルインデックスを基準に判断です。

  • ■リスクオフ要素:ジャンク債(HYG)、CDS、TEDの監視、特にTLTの流動性
  • ■リスクオン要素:各国の緩和、景気刺激策
【参考】
finviz (株式市場の銘柄構成をヴィジュアルで確認しやすいサイト)
https://finviz.com/map.ashx?t=geo&st=w4

■トレード・アドバイス
 マーケット構図を把握することで、「投資シナリオを維持するか、再考するか」の判断ができます。例えば、基本構図が株高・ドル安で、次の日が株高・ドル高になれば、投資は様子見し、市場変化を見極める、という行動に移れます。

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 弱気・中立気配 下落基調 143±50 130.00~145.00
ダウ 強気 上昇基調 28000±100 28000~35500
S&P500 強気 上昇基調 3500±100 3600~4300
日経平均 強気 上昇基調 28000±50円 27500~32000円
DAX 強気 上昇基調 13500±50 13500~15600
EUR/USD 中立・強気気配 上昇基調 1.1650±50 1.1650±50~
1.2700±50
USD/JPY 強気 上昇基調 106.70±50円 106.70±50~
112.50±50円
BTC/JPY 強気 上昇基調 530万円台±10万円 530~800万円台
GOLD 中立・強気気配 上昇基調 1680±50 1680~1840
原油 強気 上昇基調 53±5 53.00~73.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2021年4月20日時点

 全体的に回帰分析から、ゴールド、TLTは強気気配で、市場全体の構図変化が近い印象です。今後の目線は、ドル円、ユーロドル、ゴールドのトレンド転換に備えます。

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状4対6でアルゴリズムをやや優先して判断します。ファンダメンタルの材料が織り込まれ、新規材料を待つ展開です。市場心理の冷静で中立な様子。目線は定まりながら、ポジションサイズは打診レベル1/5~1サイズを目安。上目線は8、下目線は2の割合でポートフォリオ構築です。

注目の経済指標

 当面、中国や米国の景気回復度合いを見比べます。3月の製造業PMIは中国が51.9で米国は59.0と、共に景気拡大の50を上回る結果に。消費者物価指数(CPI)は中国が0.4%大幅上昇、米国は2.6%と大幅上昇、両国とも成長と共にインフレリスクの警戒を強めた印象です。

 その他指標からは、中国、米国が先行回復の兆しが強まります。各国のワクチン接種率、新興国の回復度合い、経済指標を見比べながらの景気判断になるでしょう。マーケットが金融流動性相場から、業績相場に移行するときと考えられ、経済指標の重要度が強まります。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

■トレード・アドバイス

 経済指標は、GDPと消費者物価指数、製造業指数が判断材料の軸です。各国特徴があり、時期ごとに重要度合いは異なります。今は、製造業ですが、そろそろ、消費物価の注目度が高まる印象です。経済もブームがあり、タピオカの次はこの商品が来る、といったことと同じです(次は免疫を高める、ハチミツ?)。

主要な中央銀行の予想 2021年6月のFOMC予想

「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、6月のFOMCは現状維持を予想。利上げメンバーが増え、ドットチャートが変わったことには注目です。ハト派よりの姿勢なので、直近の利上げ観測は薄まりながらも、株価は先行して織り込まれてゆきます。

 2023年まで実質ゼロ金利維持が予想され、2年間は株高、ドル安シナリオが継続すると思われます。市場展開の変化に伴うFOMCメンバーの姿勢、発言には注視しましょう。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場は成熟期に突入、CMC Crypto 200 Indexを見ると、ビットコイン、アルトコインは高値圏で推移しています。現状の仮想通貨市場はビットコインの熱波がアルトコインへと波及した状態です。

 仮想通貨ヒートマップ(下記リンク参照)を見ると、上昇展開が継続。CME仮想通貨の各オプション出来高は先月から、取引量は増加傾向が継続的な上昇展開を予想です。ビットコインは高値圏で歴史的高値を更新しながら、持続的に上昇するかはドルインデックスから判断します。市場全体が新しい選好先を探る値動きです。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨のオプションの出来高
https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-options
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

■(3月25日)米フィデリティ ビットコインETFをSECに申請
 米フィデリティ・インベスメンツがSEC(米国証券取引委員会)にビットコインETFに関する目論見書を提出。

 大手金融事業者のフィデリティが機関投資家に加え、個人投資家へのサービスも担うと、資金管理、決済、融資、仮想通貨インデックスなど、仮想通貨業界を飛躍的に成長させるでしょう。ビットコインETF承認となれば、ビットコイン高騰の材料となり、市場規模はさらに拡大する見通しです。仮想通貨市場には成長余地が多く残されていると実感します。

■(3月30日)VISAが仮想通貨の決済を開始すると発表
 VISAが仮想通貨による決済を取り入れると発表。

 世界で利用されるVISAの支払い手段として、仮想通貨の選択肢が生まれた事は、仮想通貨市場の長期的な上昇要因になります。身近な決済手段として、普及するイメージが湧きます。

 サービスにはドルを担保としたステーブルコイン(USDコイン)を使うようなので、ドルと仮想通貨の関連性が色濃くなり、仮想通貨市場へ流入する資金も多くなるでしょう。仮想通貨の関連銘柄への選択肢が広がり、従来のマーケットとの関連性の強まりは様々な波及をするでしょう。

■(4月14日)米国仮想通貨取引所コインベース ナスダック上場
 仮想通貨市場の成長拡大を示す大型案件の上場です。上場初日は時価総額7兆円規模と予想を下回る水準で終えながらも、久々に有望株が誕生した印象です。将来的にマイクロソフト、グーグル、フェイスブック同様の成長をする可能性があると個人的には考えています。仮想通貨市場の高いボラティリティを心配する人は、仮想通貨を直接売買するのではなく、取引所などの関連銘柄へ投資するという選択肢もありでしょう。

ビットコイン円

 ビットコイン円は、回帰分析では弱気範囲(600~700万円台)で価格推移。高値更新を継続しており、中長期で上昇基調を予想。直近は好感材料が豊富で、強気姿勢が続くと予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が上回り、短中期のMAはゴールデンクロスで、買いシグナルが点灯。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMAと雲を超えて買いシグナルが点灯。短中長期ともに上昇シグナルが現れています。

 回帰分析から、弱気範囲での推移から過熱⇒平常推移のサイクルで上昇展開が予想されます。フィボナッチ分析から630万円台、600万円円台、560万円台、520万円台への調整は買い目、押し目の水準として考えられます。サイクル&リズム分析ではローソク足は陽線、陰線は共に約8本のリズムを1セットとして繰り返しながら、上昇と調整の展開をイメージ。フォーメーション分析では上昇フラッグ形成から上昇継続。

 一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は60付近推移、売りシグナルの逆行シグナル、スローストキャスティクスは80付近で推移しており、価格推移とオシレーター系の調整シグナルが強まっています。もしくは継続的上昇のシグナルとも判断できます。

 注目度・先行性を測る出来高が回復傾向から下値固めです。価格帯別出来高から下値580~660万円台までの調整をサポートする支持帯を形成しています。2020年12月安値、2021年安値を結ぶ短期の上昇トレンドラインをサポートとして、今後は調整下落の価格目途、また下値抵抗帯として機能します。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇基調です。直近は600万円台で足場を固め、520万円台までは買い目、押し目と見れます。フィボナッチ分析などから上昇の目途は730万円台、770万円台、820万円台にあると思われます。

 強気なビットコイン相場ではカウンターシナリオにも警戒が必要です。トレンドライン530万円台を割り込み、さらに440万円台を割り込み下落が加速するなら、600万台の半値戻し300万円台まで見える弱気シナリオも考えられます。

 グローバルマーケットは株価堅調に牽引されながら、ドル相関も薄まり、状況が変化しています。ドルインデックス(DXY)が91~92.50程度のBOX推移、ビットコインは中期的にドルと乖離しながら、継続的な上昇シナリオを想定しています。

 ビットコインとドル相関性から、直近はドル安気配で、ビットコイン高の上昇サポート要因として、ビットコインが独立独歩してゆくのを意識します。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では強気範囲(17~27万円)の付近で価格推移しながら、短中期ではビットコインの上昇⇒アルトコイン上昇波及の展開を受け、強気姿勢の上昇継続が予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAはゴールデンクロスで買いシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21と雲を上抜け、強気の買いシグナルが現れています。

 ローソク足は週足に目を向けると陽線3~5本、陰線1本とリズムから短期調整から上昇基調へ。サイクル&リズム分析からは、上昇リズムは継続すると思われ、2倍値や3倍値が意識され、40~60万円台で視野に想定できます。

 相場過熱への調整シナリオとして、フィボナッチ分析から21万円台、23万円台、25万円台、回帰分析からは18万円台までは買い目、押し目の目安です。フォーメーション分析では上昇フラッグを形成し、継続的な強気買いシグナルになります。

 トレンドライン分析から、2020年12月安値から2021年3月安値を結んだ短期上昇トレンドラインは、今後サポートラインとして意識されます。

 一方、オシレーター系のクラシックRSIは80台付近で推移、Wボトム形成で押し目シグナル、スローストキャスティクスは90付近で推移しており、過熱の調整気配のシグナルです。トレンド系は強気が優先され、上昇継続シグナルの判断ができます。基本的に押し目、買い目シグナルが有効です。上昇基調が継続されるでしょう。

 注目度・先行性を測る出来高は、回復傾向、価格帯別出来高から20万円台が価格支持帯となり、下落展開となれば、下値幅7万円台が想定され警戒です。基本は上昇継続シグナルが続いています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは上昇継続で、23万円~27万円±100円で足場を固め、18~25万円台までは買い目、押し目で考えられます。フィボナッチ分析などから、30万円±100円、32万円±100円、37万円±100円へ向かう想定です。

 カウンターシナリオはフィボナッチ分析から17~20万円を割りこみ下値ブレイクとなれば、さらに13~17万円まで割り込む可能性、価格帯別出来高からも厚いサポートもありながら、急騰連続から崩落幅も大きく想定する「弱気シナリオ」です。

 イーサリアムは持続的な上昇局面の中に、アルトコインの筆頭として捉え、他通貨の上昇牽引しながら、市場要因として注視するといいでしょう。

リップル円

 リップル円は回帰分析の強気範囲(160~200円)の付近で価格推移。短中期はトレンド上昇局面で、急騰続伸する価格推移となっています。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21などで上昇シグナルが現れています。短期と長期MAもゴールデンクロスで上昇シグナルは見られますが、乖離幅が強く、調整下落シグナルも同時に出現しています。また、一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは雲、短中期MAを上向き上昇シグナル。

 ローソク足は陰線、陽線約5本、陰線3~4本のサイクルで上昇リズムをイメージ。サイクル&リズム分析ではリズムが急騰により判定不明です。フィボナッチ分析から、130±1円、185±1円までは買い目、押し目と考えられます。トレンドライン分析は急騰状態のため、目安になるトレンドラインはありません。また、フォーメーション分析の判断も保留です。

 一方オシレーター系のクラシックRSIは80付近で推移、スローストキャスティクスは80付近で推移していることから、オシレーター系から過熱の売りシグナルが現れています。

 注目度・先行性を測る出来高は増加傾向で上昇継続シグナル。価格帯別出来高から急騰により70円台までサポート目安がなく、急落展開には警戒です。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは上昇基調、156~215円台で価格推移しながら足場を固め、フィボナッチ分析より、80±1円~130±1円は買い目、押し目と考えられます。185±1円、241±1円、275±1円へ向かう想定です。

 カウンターシナリオは、80±1円を割り込む展開になれば、急落シナリオに転換。次なる下落目途は30円~40円台で、更に15~18円台を割るということも考えられる悲観シナリオも考えられます。

 一時は米国での訴訟懸念から崩落しながらも、裁判の進展がポジティブに見られ急騰しましたが、急落にも警戒する必要があります。それでも基本は買い目姿勢を継続したい銘柄です。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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