2021年5月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. NEWS PICK OUT
    2. ビットコイン円
    3. イーサリアム円
    4. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■為替相場:6月21日、7月5日、19日
  • ■商品市場::6月11日、14日、28日
  • ■仮想通貨市場:7月19日
  • ■株式市場:7月5日、8月16日
  • ■債券市場:6月28日

7月19日前後に固まって点灯しています。トレンド発生の可能性があり、そのトレンドは持続性が高いかもしれません

※5月24日時点、変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」

マーケット構図

 株高とドル安、他市場の構図が定まってきています。TLT(債券価格)は反発気配。ドル安継続の見込みから、ゴールドは上昇、原油は調整から上昇再開イメージです。FEDの緩和に対する姿勢と年内のテーパリング議論が意識されながらの構図展開が予想されます。また、各市場の構図は業績相場への移行局面と考えられます。

  • ■リスクオフ要素:ジャンク債(HYG)、CDS、TEDの監視、特にTLTの流動性
  • ■リスクオン要素:各国の緩和、景気刺激策
【参考】
finviz (株式市場の銘柄構成をヴィジュアルで確認しやすいサイト)
https://finviz.com/map.ashx?t=geo&st=w4

■トレード・アドバイス
 マーケット構図を把握することで、「投資シナリオを維持するか、再考するか」の判断ができます。例えば、基本構図が株高・ドル安で、次の日が株高・ドル高になれば、投資は様子見し、市場変化を見極める、という行動に移れます。

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 弱気・中立気配 下落基調 143±50 130.00~145.00
ダウ 強気 上昇基調 28500±100 28500~36500
S&P500 強気 上昇基調 3700±100 3700~4500
日経平均 強気 上昇基調 26000±50円 26000~32000円
DAX 強気 上昇基調 13000±50 13000~17000
EUR/USD 強気 上昇基調 1.1850±50 1.1850±50~
1.2700±50
USD/JPY 強気 上昇基調 106.70±50円 106.70±50~
112.50±50円
BTC/JPY 中立・買い目 上昇基調 350万円台±10万円 350~650万円台
GOLD 強気 上昇基調 1680±50 1680~2000
原油 強気 上昇基調 50±5 50.00~73.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2021年5月24日時点

 回帰分析から、ユーロドルとゴールドが強気へ、ビットコインは中立姿勢。市場全体の構図が定まり、今後の目線はTLTの変化からトレンド転換に備えます。

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状5対5で中立に判断します。ファンダメンタル、アルゴリズムの見通し判断の乖離が始まる気配です。上下に方向性が異なる声が増えるでしょう。市場目線は恐怖に怯えながら定まるものです。ポジションサイズは打診レベル1/5~1サイズの引き上げを検討です。上目線は6、下目線は4の割合でポートフォリオ構築しようと思います。

注目の経済指標

 当面、中国や米国の景気回復度合いを見比べます。4月の製造業PMIは中国が51.1、米国は60.6と需要急増。共に景気拡大の50を上回る結果に。消費者物価指数(CPI)は中国が0.9%穏やかに上昇、米国は4.2%と需要急増、両国とも成長と共にインフレリスクの警戒を強めた印象です。

 世界各国のGDP成長率、ワクチン接種率、新興国の回復度合い、経済指標を見比べながらの景気判断になるでしょう。経済指標の結果と株価の乖離が生まれだす地合いが予想されます。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

■トレード・アドバイス

 経済指標は、GDPと消費者物価指数、製造業指数が判断材料の軸です。各国特徴があり、時期ごとに重要度合いは異なります。今は、製造業ですが、そろそろ、消費物価の注目度が高まる印象です。経済もブームがあり、タピオカの次はこの商品が来る、といったことと同じです(次は免疫を高める、ハチミツ?)。

主要な中央銀行の予想 2021年6月のFOMC予想

「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、6月のFOMCは現状維持を予想。テーパリングを意識するメンバーが増え、ドットチャートが変わったことには注目です。

 年内には債券購入を減額など、テーパリングに向けた議論をする可能性が高まると思われます。徐々に景気刺激策等、政府の援護にブレーキが掛かってゆく印象です。ただし、2023年まで実質ゼロ金利維持が予想され、2年間は株高、ドル安シナリオが継続すると思われます。市場展開の変化に伴うFOMCメンバーの姿勢、発言には注視しましょう。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場はCMC Crypto 200 Indexを見ると、ビットコイン、アルトコインは崩落からやや反発気配で推移しています。現状の仮想通貨市場は恐怖で下落した地合いが落ち着くのを待ちます。

 仮想通貨ヒートマップ(下記リンク参照)を見ると、上昇再開の兆しも表れています。CME仮想通貨の各オプション出来高は先月から取引量は低下傾向、ボラティリティの高い市場が逃げ出し、様子見する投資家も多いでしょう。出来高量の見方によっては、ビットコインからイーサリアムへの注目が高まっているとも考えられます。

 仮想通貨市場の健全な地合いかどうかはドルインデックスのドル安継続かで判断します。市場全体が新しい選好先を探る値動きです。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨のオプションの出来高
https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-options
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

■(5月4日)S&Pの傘下企業による仮想通貨の新しいインデックス
 S&Pの傘下企業が仮想通貨の新しい指数を立ち上げると発表。新しい指数は新しいデータを生み、機関投資家の参入を高めることにもつながります。

 長期的には仮想通貨市場の上昇要因となるでしょう。複数企業で管理しているリップルなどの指数はどう作られるのか、今後の動向に注目です。

■(5月19日)仮想通貨市場の30%強の崩落開始
 5月中旬は仮想通貨市場が大きく下落しました。下落要因は複数あり、米テスラのビットコイン支払い受け入れ停止、中国人民銀行の規制強化で仮想通貨の決済手段として認めない方針などは特に影響を与えました。

 また、中国はマイニング規制にも乗り出すと発表され、ビットコインやアルトコインは軒並み大きな下落幅を形成。市場全体では株高、ドル安、ゴールド高の中、仮想通貨市場の過熱が冷めたことで、投資先の再配分が考えられます。

ビットコイン円

 ビットコイン円は、回帰分析では弱気範囲(350~500万円台)で価格推移。下落展開を形成、短期的に下落基調、中長期で上昇基調を予想。直近は不穏材料に左右され、利確の値動きとなり、基本は中立姿勢で様子見です。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が下回り、短中期のMAはデスクロスの手前で、売りシグナルの点灯気配。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMAに向けて下降線から売りシグナルの気配。短中長期ともに下落シグナルの予兆が現れています。

 回帰分析の弱気範囲の下限370万円台に到達したことで、回帰分析の回帰直線500万円台への反発展開も予想されます。フィボナッチ分析から520万円台~630万円台の押し目の水準が一旦の上値目途となります。300万円台に突入すれば下値展開が強まります。サイクル&リズム分析ではローソク足は陽線2から3本、陰線2本リズムから、下落展開は2~3週間で落ちつく予想です。フォーメーション分析は一旦保留です。

 一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は42付近推移、売りシグナルの逆行シグナル、スローストキャスティクスは50付近で推移しており、価格推移とオシレーター系の売りシグナル。見方を変えると相場過熱が落ち着き、再び上昇再開のエネルギー貯蓄とも判断できます。

 注目度・先行性を測る出来高が増加傾向からボラティリィテイ増加で売り意欲が強いです。価格帯別出来高から下値300~400万円台までの調整をサポートする支持帯を形成しています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは弱気の下落基調です。直近は300~400万円台の価格推移で足場を固め、フィボナッチ分析などから示唆される「下落の目途340万円台」を割り込む展開となれば、200万円台に向けた展開もありえます。

 パニック下落のため、反発する際も早い値動きが予想され、強気のカウンターシナリオとして、上値470万円台を超える展開になれば520~630万円台へ反発する可能性も考えられます。

 グローバルマーケットは株価堅調、ドル安構図が定まりました。ビットコイン売り、ゴールド買いの展開となり、プロが運用する先物市場では活発な展開が見られます。今後はビットコイン、ドル、ゴールドの相関性をみながらシナリオ構築することになります。

 ビットコインとゴールドの相関性の位置づけの重要性が増したことで、ビットコイン安の継続サインとして、ゴールドの動向を注視してゆきます。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では弱気範囲(20~30万円)の付近で価格推移しながら、短中期ではビットコインの下落⇒アルトコイン下落波及の展開を受け、短期は弱気姿勢の下落基調、中長期の反発再開が予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAは下向きにデスクロスで売りシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21への下降線を描き、売りシグナル手前です。

 ローソク足は週足に目を向けると陽線3~5本、陰線1~2本とリズムの短期調整を形成、急落から反発に向けてここ1~2週間の値動きが重要です。サイクル&リズム分析からは、上昇リズムが再開すると思われ、下値19~25万円台足場を固めて反発の買い目で様子見です。

 相場過熱への調整シナリオとして、フィボナッチ分析から21万円台、23万円台、25万円台、回帰分析からは18万円台までは買い目、押し目の目安です。フォーメーション分析では上昇フラッグを形成し、継続的な強気買いシグナルになります。

 一方、オシレーター系のクラシックRSIは60台付近で推移、売りシグナル、スローストキャスティクスは80付近で推移しており、買い継続のシグナルです。オシレーター系は全体に調整シグナルとして捉えることが出来ます。

 注目度・先行性を測る出来高は、増加傾向、価格帯別出来高から22~25万円台が価格支持帯となり、割り込む展開になれば16~19万円台が下落目途です。過熱的上昇の調整展開の判断です。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは下落基調で、22万円~27万円±100円で足場を固め、フィボナッチ分析から17~20万円を割りこみ下値ブレイクとなれば、さらに13~17万円まで割り込む可能性を想定です。

 下値目途は想定内であり、カウンターシナリオがメインシナリオに変化しました。1つ1つ用意が大切です。

 急落からの反発も短期的のため、カウンターシナリオは大切です。上値28万円台を超えての展開になると、上値目途はフィボナッチ分析などから、30万円±100円、32万円±100円、37万円±100円へ向かう想定です。こちらもメインシナリオだったものが、カウンターシナリオに変化しました。

 イーサリアムは強い下落形成をしたことでもう一段の成長を感じ取れますが、直近は大きな傷を負った仮想通貨市場のため、休むも相場です。

リップル円

 リップル円は回帰分析の強気範囲(90~111円)の付近で価格推移。短期は下落基調、中期は上昇目線です。急騰から急落となり、弱気の価格推移を予想しています。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21などで下落シグナルが点灯しています。短期MAが下降線を描き売り上昇シグナルですが、長期MAは上昇継続です。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは雲、短中期MAは下降線を描き、売りシグナル点灯です。

 ローソク足は陰線、陽線約5本、陰線3~4本のサイクルから、短期的な急落から反発シナリオを検討です。サイクル&リズム分析ではリ陽線、陰線、4本が基本となり、ここ1~2週間が重要なリズム展開となり、反発か下落継続の判断ができるようになるでしょう。フィボナッチ分析から、74±1円~82±1円までは下値目途と考えられます。トレンドライン分析は急騰から急落の状態のため、目安になるトレンドラインはありません。また、フォーメーション分析の判断も保留ですが、上昇再開となればフラッグ形成の可能性を示唆しています。

 一方オシレーター系のクラシックRSIは50付近で推移、逆行の売りシグナル、スローストキャスティクスは70付近で推移から継続的な買いシグナルです。オシレーター系から過熱からの調整シグナルとして判断できます。

 注目度・先行性を測る出来高は増加傾向で下落の勢いが継続シグナル。価格帯別出来高から急騰により85~97円台までサポート目安となり、下値を抜けると70円台が目安です。急落展開には警戒です。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは弱気の下落基調となり、フィボナッチ分析などから、85±1円~89±1円を割り込む展開になれば、急落シナリオとなり、70円台が下値目安と考えられます。次なる下値目途は30~40円台で、更に15~18円台を割るということも考えられる悲観シナリオもありえなくはないです。

 急騰から急落展開となり、反発も急速の可能性もありカウンターシナリオは大切です。上値目途に、110~121±1円を超える展開になれば上昇基調となり、フィボナッチ分析より、118±1円台 140±1円台 168±1円台に向けて価格推移の想定です。

 一時は米国での訴訟懸念から、短期的に不穏要因による崩落展開となり、銘柄として気がかりな面が増えており、仮想通貨の評価基準として、プロ向けのインデックスの有無が重要と考えており、どのようにリップルが発展するか注視しています。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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