2021年6月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. NEWS PICK OUT
    2. ビットコイン円
    3. イーサリアム円
    4. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■為替相場:6月21日、7月19日
  • ■商品市場::6月28日
  • ■仮想通貨市場:7月19日
  • ■株式市場:7月5日、8月16日
  • ■債券市場:6月28日

7月19日前後に固まって点灯しています。トレンド発生の可能性があり、そのトレンドは持続性が高いかもしれません

※6月20日時点、変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」

マーケット構図

 市場構図が一新される気配です。株価調整、ドル高、TLT(債券価格)は反発気配。ゴールドは下落、原油は上昇、資源通貨高、ビットコイン安と、市場構図の目線を探る地合いとなり、各市場の構図は業績相場への移行局面と考えられます。

  • ■リスクオフ要素:ジャンク債(HYG)、CDS、TEDの監視、特にTLTの流動性
  • ■リスクオン要素:各国の緩和、景気刺激策
【参考】
finviz (株式市場の銘柄構成をヴィジュアルで確認しやすいサイト)
https://finviz.com/map.ashx?t=geo&st=w4

■トレード・アドバイス
 マーケット構図を把握することで、「投資シナリオを維持するか、再考するか」の判断ができます。例えば、基本構図が株高・ドル安で、次の日が株高・ドル高になれば、投資は様子見し、市場変化を見極める、という行動に移れます。

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 強気 上昇基調 133±50 127.00~151.00
ダウ 強気、中立気配 上昇基調 29500±100 29500~36500
S&P500 強気、中立気配 上昇基調 3800±100 3800~4500
日経平均 強気、中立気配 上昇基調 26500±50円 26000~32000円
DAX 強気、中立気配 上昇基調 13000±50 13000~17000
EUR/USD 弱気 下落基調 1.2250±50 1.1650±50~
1.2300±50
USD/JPY 強気 上昇基調 108.30±50円 106.70±50~
113.50±50円
BTC/JPY 中立・買い目 中立目線 (コアBOX)340~460万円台±10万円 275~500万円台
GOLD 弱気 下落基調 1880±50 1600~1880
原油 強気 上昇基調 55±5 55.00~82.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2021年6月21日時点

 回帰分析から、市場全体の構図はリスクオフ、TLT(債券価格)の上昇気配から株安調整となり、市場転換です。ゴールド、ユーロドル目線を弱気へ、ビットコインは中立姿勢。

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状7対3でファンダメンタルを優勢に判断します。FEDの姿勢がマーケットに伝播され、市場目線は恐怖に怯えながら、目線を探りだします。ポジションサイズは打診レベル1/15~1/10サイズを引き下げです。エントリーは慎重姿勢が基本で、様子見が増える可能性もあります。上目線は4、下目線は6の割合でポートフォリオ構築しようと思います。

注目の経済指標

 当面、中国や米国の景気回復度合いを見比べます。5月の製造業PMIは中国が51.1、米国は61.5と需要急増。共に景気拡大の50を上回る結果に。消費者物価指数(CPI)は中国が1.3%穏やかに上昇、米国は5.0%と需要急増、両国とも成長と共にインフレリスクの警戒を強めた印象です。

 世界各国のGDP成長率、ワクチン接種率から、経済回復が織り込まれたものの、株価は上値の重い展開が予想されます。良好の経済指標の裏腹に、株価の乖離が生まれ、上昇に反応しない地合いが予想されます。長期的に上昇基調であっても、超短期の売り幅によって損失を生み出しやすい展開になりそうです。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

■トレード・アドバイス

 経済指標は、GDPと消費者物価指数、製造業指数が判断材料の軸です。各国特徴があり、時期ごとに重要度合いは異なります。今は、製造業ですが、そろそろ、消費物価の注目度が高まる印象です。経済もブームがあり、タピオカの次はこの商品が来る、といったことと同じです(次は免疫を高める、ハチミツ?)。

主要な中央銀行の予想 2021年9月のFOMC予想

「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、9月のFOMCは現状維持を予想。テーパリングのアナスンスが予想されます。ドットチャートが変わったことにも注目です。

 年内にはテーパリングに向けた議論ともに、インフレリスク警戒へのコメントなども警戒です。2023年まで2回利上げする可能性が浮上し、FOMCメンバーはタカ派が増えています。パウエル議長のハト派的なコメントにより、市場への刺激を中和している格好です。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場はCMC Crypto 200 Indexを見ると、ビットコイン、アルトコインは崩落から横ばいで推移しています。現状の仮想通貨市場は調整した地合いが落ち着くのを待ちます。

 仮想通貨ヒートマップ(下記リンク参照)を見ると、調整色を強めています。CME仮想通貨の各オプション出来高は先月から取引量は低下傾向から上昇気配、ボラティリティから市場逃避が落ち着いた印象です。様子見から買い目姿勢に変化した印象です。

 仮想通貨市場の再開は、ドルインデックス、ゴールドの見通しが明瞭になったかで判断します。市場全体が新しい選好先を探る値動きです。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨のオプションの出来高
https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-options
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

■(6月8日)中米エルサルバドル ビットコインを法定通貨として法案可決
 ビットコインを法定通貨として導入した歴史的出来事です。インターネットで銀行口座、通貨交換が出来る時代に大きな決断をしたという印象です。ただし世界銀行にビットコイン導入支援要請は拒否されるなど前途多難です。既存の法定通貨、ビットコインとの運営管理など様々な議論を生み、社会実験と同時に今後どうなるか注目したいです。

■(6月18日)MSCI仮想通貨インデックス検討
 金融大手MSCIが仮想通貨インデックスを検討しているとのこと。MSCIが提供するデータはプロも多く利用するため、もし実現となれば機関投資家の仮想通貨市場参入の窓口が広がります。今後は仮想通貨インデックスをもとに、仮想通貨の先物、ETFなど様々な金融商品誕生に期待できます。MSCIはプロ向けのデータを提供する企業のため、仮想通貨市場が長期的な成長銘柄だという印象をマーケットに与えるでしょう。

ビットコイン円

 ビットコイン円は、回帰分析では弱気範囲(350~450万円台)で価格推移。下落展開を形成、短期的に下落基調、中長期で上昇基調を予想。直近は不穏材料に左右され、利確の値動きとなり、基本は中立姿勢で様子見です。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が下回り、短中期のMAはデスクロスの手前で、売りシグナルの点灯気配。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMAに向けて下降線から売りシグナルの気配。短中長期ともに下落シグナルの予兆が現れています。

 回帰分析の弱気範囲の下限370万円台に到達したことで、回帰分析の回帰直線500万円台への反発展開も予想されます。フィボナッチ分析から520万円台~630万円台の押し目の水準が一旦の上値目途となります。300万円台に突入すれば下値展開が強まります。サイクル&リズム分析ではローソク足は陽線2から3本、陰線2から3本リズムから、下落展開は落ちつき、BOX形成となっています。フォーメーション分析一旦保留です。

 一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は47付近推移、売り継続シグナル、スローストキャスティクスは15付近で推移しており、価格推移とオシレーター系の売り継続シグナル。見方を変えると相場過熱が落ち着き、再び上昇再開のエネルギー貯蓄とも判断できます。

 注目度・先行性を測る出来高は低下から増加傾向、売買意欲が強いです。価格帯別出来高から下値300~400万円台までの調整をサポートする支持帯を形成しています。当面、出来高分析からはBOXシグナルが点灯しています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは弱気の下落基調です。直近は300~400万円台のBOX価格推移で足場を固め、フィボナッチ分析などから示唆される「下落の目途340万円台」を割り込む展開となれば、200万円台に向けた展開もありえます。

 強気のカウンターシナリオとして、上値470万円台を超える展開になれば520~630万円台へ反発する可能性も考えられます。

 グローバルマーケットはFEDの市場対話から急変する恐怖に包まれています。ビットコイン売り、ゴールド売りの展開となり、プロが運用する先物市場では活発な展開が見られます。今後はビットコイン、ドル、ゴールドの相関性をみながらシナリオ構築することになります。

 ビットコインとゴールドの相関性の位置づけの重要性が増したことで、ビットコイン安の継続サインとして、ゴールドの動向を注視してゆきます。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では弱気範囲(20~32万円)の付近で価格推移しながら、短中期ではビットコインの下落⇒アルトコイン下落波及の展開を受け、短期は弱気姿勢の下落基調、中長期の反発再開が予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAは下向きにデスクロスで売りシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21への下降線を描き、売りシグナル手前です。

 ローソク足は週足に目を向けると陽線3~5本、陰線1~2本とリズムの短期調整を形成、BOX形成となり値探りです。サイクル&リズム分析からは、上昇リズムが再開すると思われ、下値19~25万円台足場を固めて、方向性を探りで様子見です。

 相場過熱への調整シナリオとして、フィボナッチ分析から21万円台、23万円台、25万円台、回帰分析からは18万円台までは買い目、押し目の目安です。フォーメーション分析では上昇フラッグを形成し、継続的な強気買いシグナルになります。

 一方、オシレーター系のクラシックRSIは52台付近で推移、売り継続シグナル、スローストキャスティクスは34付近で推移しており、売り継続シグナルです。オシレーター系は全体に売り継続シグナルとして捉えることが出来ます。

 注目度・先行性を測る出来高は、増加傾向、売買意欲が高まっています。価格帯別出来高から22~25万円台が価格支持帯となり、これを割り込む展開になれば16~19万円台が下落目途です。出来高分析から売りシグナルが強まっています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは下落基調で、22万円~27万円±100円で足場を固め、フィボナッチ分析から17~20万円を割りこみ下値ブレイクとなれば、さらに13~17万円まで割り込む可能性を想定です。

 強気カウンターシナリオは上値28万円台を超えての展開になると、上値目途はフィボナッチ分析などから、30万円±100円、32万円±100円、37万円±100円へ向かう想定です。

 市場全体の逃避も重なり、市場が傷ついたので、休むも相場です。

リップル円

 リップル円は回帰分析の強気範囲(85~111円)の付近で価格推移。短期は下落基調、中期は上昇目線です。急落からBOX形成となり、弱気の価格推移を予想しています。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21などで下落シグナルが点灯しています。短期MAが下降線を描き売り売りシグナルです。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは雲、短中期MAは下降線を描き、売りシグナル点灯です。

 ローソク足は陰線、陽線約1~2本、陰線2~3本のリズム変化からBOX形成です。サイクル&リズム分析ではサイクル、リズムが変わりだし、BOXから下値展開が意識されます。フィボナッチ分析から、74±1円~82±1円までは下値目途と考えられます。トレンドライン分析は急騰から急落の状態のため、目安になるトレンドラインはありません。また、フォーメーション分析の判断も保留ですが、上昇再開となればフラッグ形成の可能性を示唆しています。

 一方オシレーター系のクラシックRSIは50付近で推移、売り継続シグナル、スローストキャスティクスは33付近で推移から売り継続シグナルです。オシレーター系から売り継続シグナルとして判断できます。

 注目度・先行性を測る出来高は増加傾向で売買意欲が高まり、売りシグナル。価格帯別出来高から88円台までサポート目安となり、下値を抜けると55~70円台が目安です。急落展開には警戒です。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは弱気の下落基調となり、フィボナッチ分析などから、88±1円を割り込む展開になれば、急落シナリオとなり、70円台が下値目安と考えられます。次なる下値目途は30~40円台で、更に15~18円台を割るということも考えられる悲観シナリオもありえなくはないです。

 強気カウンターシナリオは大切です。上値目途に、110~121±1円を超える展開になれば上昇基調となり、フィボナッチ分析より、118±1円台 140±1円台 168±1円台に向けて価格推移の想定です。

 テーパリング相場となり局面変化となり2013年以来です。短期的に仮想通貨市場は低迷を想定しています。分析、戦略、シナリオ、投資日誌の見直しが良い時期かもしれません。市場が明瞭になるまで様子見です。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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