【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- 狐のミニミニコラム
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブカウンターシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の変動幅(6月)】
- ■ダウ:+4.08%
- ■日経:-3.95%
- ■S&P500:+1.41%
- ■DAX:+3.05%
- ■ドル円:-0.24%
- ■ユーロドル:-2.36%
- ■ビットコイン円:-19.06%
- ■ゴールド:-1.45%
- ■原油:+0.43%
- ■TLT(債券):+4.08%
S&P500は歴史的高値を更新、日経は調整色が強まり、TLT(債券価格)は上昇継続、ドルやビットコイン、原油は調整気配、ゴールドは上昇反発。リスクオン・オフ併存の地合いですが、調整気配の方が強まっています。同時に夏枯れを意識し始める時期です。
Fear&Greed Indexは34台の推移で、恐怖に包まれた地合いです。VIX(恐怖指数)は16%台で推移。2つの指数から、短期的な市場観測としてリスクオン1、リスクオフ9の割合での投資方針で問題ないでしょう。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■2018年11月、2019年9月、2020年3月、5月、11月のマーケット変化に注目 ☆
- ■米国の景気刺激策への期待 ↑
- ■コロナ終息、経済正常化の織り込み ↓
- ■夏枯れ相場 →
【マーケットメモ(長期)】
- ■主要中央銀行のテーパリング議論開始 ☆
- ■コモディティ・インデックス、エコノミックサプライズ指数に注目 ↑
- ■中央銀行デジタル通貨(CDBC)の検証 ↑
テーパリングがマーケットの話題に上がり始めたので、主要中央銀行のテーパリングに関する報道をまとめます。7月5日オーストラリア準備銀行(RBA)は債券購入プログラムの縮小を決定。11日、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁からは従来の緊急債券購入プログラムが終了した際に、新たな措置を示唆するコメントも。14日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は量的緩和縮小の開始時期に関して、議論は進行中とコメント。同日、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は大規模な資産購入プログラムを23日までに停止すると発表。
短中期は株高続伸の様相ですが、インフレ警戒による調整には注意が必要です。長期的には株価上昇の勢いは鈍化、ドルはBOX展開の見通しです。短中長期の投資戦略、銘柄選定の再考が必要となりそうです。
7~8月はシーズナルチャートから、調整・再開の季節傾向があるので、短期の調整下落には注意しましょう。中長期ポジションの目線も柔軟に判断したいところです。
■トレード・アドバイス
マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は先進国が100台に乗せるなど景気回復基調から、半年以降の経済見通しは明るいことを示唆しています。MSCI ACWI Index(世界株価指数)は堅調推移です。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは+0.49%とプラス展開ながら先月より減退です。
マーケットメモの総括としては、世界経済は回復傾向で中長期の投資戦略は上目線が基本方針ですが、成長鈍化の懸念もあります。3つの指数から長期的な市場観測にリスクオン4、リスクオフ6という局面を想定し、各市場・銘柄への投資姿勢を構築していきます。
■トレード・アドバイス
全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。
NEWS PICK OUT
■6月28日 日本国債のネット供給量が増加
日本国債のネット発行額が9年ぶりにプラスに転じたとの報道。日銀の国債買い入れ額の減少も影響していると思われます。供給量は増加しているものの、取引量は安定しており、国債が健全な流動性を生んでいます。ネットの日本国債発行額がプラスになったのは2012年以来のことで、これは市場活性化への流れでもあると同時に、2013年から日銀の異次元緩和策が始まったことを考えると、市場構造にも変化が現れるかもしれないと考えさせられる報道でした。
■トレード・アドバイス
報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。
狐のミニミニコラム
今月は投資戦略と銘柄の再考が必要です。各国主要中央銀行のテーパリングも意識され、市場が健全になりつつあります。ただし新型コロナ感染者数が再拡大する地域もあり、不安は残ります。一旦立ち止まり「マーケットを遠くから眺め、夏休みを楽しむ」ぐらいの意識がいいでしょう。
今年もヒマワリが立派に咲いています。7月に咲いて、9月には種を収穫予定です。こうした自然にも触れながら、市場のリズムと自身の投資リズムを合わせることをおすすめします。マーケットとは穏やかに対話しましょう。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
【柔軟】投資戦略と銘柄の選定を再考
目先は「柔軟」姿勢でマーケットと向き合います。2か月は守りを意識しながら、投資指針の軸は「株式市場の見極め」、「ドルBOX展開」が中心です。当面は戦略と銘柄の再考をします。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■景気循環株、バリュー株が選好
- ■アジア投資が積極的
- ■投資パフォーマンス低下
ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ファンダメンタルの状況から、米株は続伸しつつも、米金利の動向は変化し、米国の国内は景気循環株、バリュー株が選好され、アジアへの関心が高まっています。ヘッジファンドの中には投資パフォーマンス低下に不満が溜まっているところもあるので、無理をするファンドには警戒しましょう。市場が荒れる可能性があります。
Eurekahedge Hedge Fund Indexの6月の評価が+0.26%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが-0.73%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexは-11.53%、全体的にパフォーマンスは低下傾向が続き、市場への不満、局面変化が伝わります。
SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は-0.90%と下落傾向、自動売買のSG CTA Indexは-0.22%、株価は+0.02%、FXは-0.43%、債券が+0.01%商品は-0.07%で、全体のポートフォリオは-0.38%です。全体的に低迷傾向で、市場局面の変化から、戦略と銘柄の見直しが求められるシグナルです。
■トレード・アドバイス1
ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。
プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。
■トレード・アドバイス2
国際通貨先物市場(IMM)データをもとに、FXに役立つ情報を得ることも可能です。2021年7月16日週時点のデータとIG Client Sentimentも参考に、ドル円とユーロドルを見ていきましょう。
・ドル円:買いポジション減少、売りポジション増加⇒円安、調整気配、上目線
【買いポジション52%/売りポジション48%:中立優勢】
・ユーロドル:買いポジション増加、売りポジション減少⇒ユーロ高、下目線
【買いポジション55%/売りポジション45%:買い優勢】
ヘッジファンドや機関投資家、投機筋の買い・売りにおける保有ポジションの状況から為替相場の動向を予想をします。IMMデータは「前週における分析結果」なので、現在のチャート動向との比較が大切です。
データの傾向から(1)から(4)の投資行動が考えられます。また、これらは中長期ポジションの目線であり、「自身の短期目線と同じかどうか」など投資姿勢の確認にも有効です。
(1)買いポジション過熱:下落の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、売り目検討もしくはシナリオの再考
(2)買いポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
(3)売りポジション過熱:上昇の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、買い目検討もしくはシナリオの再考
(4)売りポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
※(1)と(3)は「シナリオの再考」、(2)と(4)は「好機継続」と考えられます。
メインシナリオ
【様子見】テーパリングの意識、夏枯れ相場
テーパリングが意識され、様子見を軸に目線の定まりを待ち、戦略と銘柄の再考をします。米金利の低下で株高鈍化、ドルBOX展開の気配が強まります。
方向感が定まれば中長期目線のチャンスが訪れると思います。局面変化の地合いのため、市場構図や銘柄の組み換えが頻発すると思われ、安易な投資判断は禁物です。
7月は無理をしない方がいいでしょう。8月になると夏枯れ相場が顕著となり、アルゴリズムに支配され、ボラティリティが低下すると思われます。この時期のあらゆる市場は上下に振れやすいため、無茶なトレードは厳禁です。
カウンターシナリオ
【テーパリングによる下落】
株や為替など各市場でテーパリング相場が本格化するシナリオです。ダウのカウンターライン28000~30000を割り込む場合、買い目線はヤメです。株価の大幅な下落を呼び込む可能性があります。
金融関係者のコメント、高官発言などによるパニック相場には警戒しましょう。現状は中央銀行などによる市場との対話は効果的で、事前のアナウンスもあるため、市場は比較的冷静な展開を見せていますが、注意しておいて損はありません。
サブカウンターシナリオ
【新型コロナ再拡大の懸念】
各国でコロナワクチン接種が進みながら、新型コロナ感染者数の再拡大を見せる地域が急増し、不安が広がるシナリオです。イスラエルでは先行してワクチン接種が進んでいますが、どのぐらい効果が持続されるのかにも注目が集まります。景気不透明感が増した場合、市場は混迷するでしょう。
流動性相場から業績相場へ移行すると、上昇銘柄・下落銘柄の判別が必要となります。投資先の組み換え、テレワーク銘柄からアフターコロナの経済活動に向けた、次の銘柄を探ることになります。