マーケットの節目 2021年8月中旬から1か月のシナリオ分析

【目次】

  • グローバルマーケットの考察
    1. マーケットメモ
    2. NEWS PICK OUT
    3. 狐のミニミニコラム
  • グローバルマーケットのシナリオ分析
    1. 直近1か月の投資スタンス
    2. ヘッジファンドの投資指針
    3. メインシナリオ
    4. カウンターシナリオ
    5. サブカウンターシナリオ

グローバルマーケットの考察

【主要銘柄の変動幅(7月)】

  • ■ダウ:+0.79%
  • ■日経:+0.72%
  • ■S&P500:+1.69%
  • ■DAX:+2.74%
  • ■ドル円:+0.04%
  • ■ユーロドル:-1.03%
  • ■ビットコイン円:+41.24%
  • ■ゴールド:+0.11%
  • ■原油:-0.63%
  • ■TLT(債券):+0.44%

 株高の勢いはあるものの調整気配も、日経は弱気展開。TLT(債券価格)は上昇継続、ドル高、ビットコインは調整、原油、ゴールドは下落展開。全体にドル優位となり、金利動向が織り込まれ、調整気配と判断です。

 Fear&Greed Indexは25台の推移で、恐怖に包まれた地合いです。VIX(恐怖指数)は20%台で推移。2つの指数から、短期的な市場観測としてリスクオン1、リスクオフ9の割合での投資方針で問題ないでしょう。

【参考】
Fear&Greed Index(リスクオン、リスクオフの判断)
https://money.cnn.com/data/fear-and-greed/
【参考】
CBOE Volatility Index(恐怖指数)
http://www.cboe.com/vix

マーケットメモ

【マーケットメモ(短中期)】

  • ■2018年11月、2019年9月、2020年3月、5月、11月のマーケット変化に注目 ☆
  • ■米国の景気刺激策への期待 ↑
  • ■コロナ終息、経済正常化の織り込み ↓
  • ■秋相場の調整 ↑↓

【マーケットメモ(長期)】

  • ■主要中央銀行のテーパリング議論開始 ☆
  • ■コモディティ・インデックス、エコノミックサプライズ指数に注目 ↑
  • ■中央銀行デジタル通貨(CDBC)の検証 ↑

 市場にテーパリングが織り込まれ、金利動向に左右され、市場関係者も負けないようにマルチアセットやオルタナィブ投資などが増加傾向。公的年金のパッシブ運用の動向が注目されるなど、市場変化が近づいています。

 短中期は株価調整、ドル高の様相ですが、長期的には株価上昇の勢いは鈍化、ドルはBOX展開の見通しです。短中長期の投資戦略、銘柄選定の再考が必要となりそうです。

 8~9月はシーズナルチャートから、調整・再開の季節傾向があるので、短期の調整下落には注意しましょう。中長期ポジションの目線も柔軟に判断したいところです。

【参考】
Equity Clock(シーズナルチャート、マーケットの季節傾向) 
https://charts.equityclock.com/

■トレード・アドバイス

 マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。

【参考】
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)
https://data.oecd.org/leadind/composite-leading-indicator-cli.htm
【参考】
MSCI ACWI Index(世界株価指数)
https://www.msci.com/acwi
【参考】
S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)
https://japanese.spindices.com/indices/equity/sp-global-bmi-usd

 Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は先進国が100台に乗せるなど景気回復基調から、半年以降の経済見通しは明るいことを示唆しています。MSCI ACWI Index(世界株価指数)は堅調推移です。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは-0.1%とマイナス展開。先月より減退傾向です。

 マーケットメモの総括としては、世界経済は回復傾向で中長期の投資戦略は上目線が基本方針ですが、成長鈍化の懸念が高まっています。3つの指数から長期的な市場観測にリスクオン4、リスクオフ6という局面を想定し、各市場・銘柄への投資姿勢を構築していきます。

■トレード・アドバイス
 全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。

NEWS PICK OUT

■8月17日 米 中国企業への警告
 米証券取引委員会(SEC)は先月、米国での中国企業への情報開示の強化を義務化を発表。中国の事業会社の監査人が今後3年以内に、会計帳簿を開示しない場合、米国へ上場廃止の可能性など。米国内での中国企業への締め付けが強化されています。ゲンスラーSEC委員長も16日、ビデオメッセージで中国企業の投資リスクを指摘。

 米国内の中国企業に今後は注目です。米中の政治外交もあり、中国株への投資額がどこまで低下するかにも注意。また、基本的に市場関係者は、中国経済の成長持続性を確認したいようです。

■トレード・アドバイス
 報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。

狐のミニミニコラム

 今月はマーケットの節目を探します。バイデン大統領による景気刺激策、4年のプレジデントサイクル、3年ほど金利動向がテーパリング相場によって意識されます。予定調和のようにコロナ蔓延による経済鈍化も意識されるでしょう。3年~4年ほど、コロナへのワクチン接種率、経済再開の時期は議論される見通しです。

グローバルマーケットのシナリオ分析

直近1か月の投資スタンス

【節目を探す】投資戦略と銘柄の選定
 目先は「節目を探す」姿勢でマーケットと向き合います。守りを意識しながら、投資指針の軸は「株式市場の見極め」、「ドルBOX展開」が中心です。当面は戦略と銘柄の選定を見定めてゆきます。

ヘッジファンドの投資指針

【ヘッジファンドの投資指針】

  • ■米株 買い増し
  • ■アジア投資が積極的
  • ■オルタナティブ投資が増加傾向

 ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ファンダメンタルの状況から、米株の買い増しが増えています。強気継続です。米国長期金利の動向は下落局面となり、配当利回りの低下で株高が意識されるため、低金利、配当株高への構図を描いています。他市場へのアジア投資など復活傾向にあります。オルタナティブ投資への熱が高まっています。

 Eurekahedge Hedge Fund Indexの7月の評価が-0.35%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが+1.51%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexは+10.28%、全体的にパフォーマンスは持ち直し傾向となり、局面変化への対応が整った印象です。

【参考】
Eurekahedge Hedge Fund Index(ヘッジファンドのパフォーマンス)
https://www.eurekahedge.com/Indices

 SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は+1.06%と上昇傾向、自動売買のSG CTA Indexは+0.42%、株価は+0.81%、FXは+0.92%、債券が+0.19%商品は-0.74%で、全体のポートフォリオは+1.16%です。全体的に回復傾向で、市場局面から、商品市場の見直しが求められるシグナルです。

【参考】
SG TREND INDICATOR(プライムサービスのインディケーター)
https://cib.societegenerale.com/fileadmin/indices_feeds

■トレード・アドバイス1

 ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。

 プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。

■トレード・アドバイス2

 国際通貨先物市場(IMM)データをもとに、FXに役立つ情報を得ることも可能です。2021年8月13日週時点のデータとIG Client Sentimentも参考に、ドル円とユーロドルを見ていきましょう。

・ドル円:買いポジション減少、売りポジション増加⇒BOX目線 
【買いポジション52%/売りポジション48%:中立優勢】

・ユーロドル:買いポジション増加、売りポジション減少⇒ドル高、下目線
【買いポジション62%/売りポジション38%:買い優勢】

【参考】
国際通貨先物市場(IMM) 通貨の建て玉(ポジション)の残高 プロの長期目線
https://www.cftc.gov/MarketReports/CommitmentsofTraders/
【参考】
IG Client Sentiment 売買ポジション動向 個人投資家の短期目線(IG口座保有者に限る)
https://www.dailyfx.com/sentiment

 ヘッジファンドや機関投資家、投機筋の買い・売りにおける保有ポジションの状況から為替相場の動向を予想をします。IMMデータは「前週における分析結果」なので、現在のチャート動向との比較が大切です。

 データの傾向から(1)から(4)の投資行動が考えられます。また、これらは中長期ポジションの目線であり、「自身の短期目線と同じかどうか」など投資姿勢の確認にも有効です。

(1)買いポジション過熱:下落の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、売り目検討もしくはシナリオの再考
(2)買いポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
(3)売りポジション過熱:上昇の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、買い目検討もしくはシナリオの再考
(4)売りポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続

※(1)と(3)は「シナリオの再考」、(2)と(4)は「好機継続」と考えられます。

メインシナリオ

【3年先を考える】テーパリング相場 
 先々を考えながら、長期的な目線を探して打診していきます。マーケット材料が織り込まれ、節目が現れると、長期的な目線が定まりだします。局面変化の地合いのため、市場構図や銘柄の組み換えが頻発すると思われ、安易な投資判断は禁物です。

 今年の夏は動いていますが、例年は夏枯れ相場から秋相場は調整傾向にあるため、あらゆる市場で上下に振れやすくなる可能性を考慮し、無茶なトレードは厳禁です。長期目線を見定めてゆくのが賢明です。

カウンターシナリオ

【弱気な秋相場】
 株や為替など各市場で相場方向を探り、下落を呼び込む弱気心理のシナリオです。ダウのカウンターライン28000~30000を割り込む場合、買い目線はヤメです。株価の大幅な下落を呼び込む可能性があります。

 現在は比較的、冷静な地合いながら、秋相場による調整下落に警戒です。金融関係者のコメント、中国経済鈍化など、パニック相場には注意しましょう。どこで目線を切り替えるか、事前にシナリオを描くといいでしょう。

サブカウンターシナリオ

【新型コロナ再拡大の懸念】
 各国でコロナワクチン接種が進みながら、新型コロナ感染者数の再拡大を見せる地域が急増し、不安が広がるシナリオです。米国でも3度目のワクチン接種予定など、ワクチン接種率、景気回復への動向がポイントです。

 流動性相場から業績相場へ移行すると、上昇銘柄・下落銘柄の判別が必要となります。投資先の組み換え、テレワーク銘柄からアフターコロナの経済活動に向けた、次の銘柄を探ることになります。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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