【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- 狐のミニミニコラム
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブカウンターシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の変動幅(8月)】
- ■ダウ:-1.82%
- ■日経:+8.83%
- ■S&P500:+0.02%
- ■DAX:-1.73%
- ■ドル円:+0.42%
- ■ユーロドル:+0.19%
- ■ビットコイン円:-3.50%
- ■ゴールド:+0.71%
- ■原油:+4.56%
- ■TLT(債券):+2.16%
米株市場は調整色が強まりながらも高値圏を維持、日経は強気再開、DAXも高値圏を維持。TLT(債券価格)は上昇調整、ドルは調整BOX展開、ビットコインは急落から反発、原油は上昇、ゴールドは調整展開に。欧州債券などが注目され、投資先を探す作業も一巡した印象です。市場選好が揺らいだ地合いですが、株価は中心に戻る動きをしています。
Fear&Greed Indexは37台の推移で、恐怖に包まれた地合いです。VIX(恐怖指数)は19%台で推移。2つの指数から、短期的な市場観測としてリスクオン1、リスクオフ9の割合での投資方針で問題ないでしょう。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■2018年11月、2019年9月、2020年3月、5月、11月のマーケット変化に注目 ☆
- ■米国の景気刺激策への期待 ↑
- ■コロナ終息、経済正常化の織り込み ↓
- ■秋相場の調整 ↑↓
【マーケットメモ(長期)】
- ■主要中央銀行のテーパリング議論開始 ☆
- ■コモディティ・インデックス、エコノミックサプライズ指数に注目 ↑
- ■中央銀行デジタル通貨(CDBC)の検証 ↑
豪州はテーパリングを実施し、米テーパリングもマーケットに織り込まれる中、市場関係者も負けないようにマルチアセットやオルタナィブ投資などを増やしています。公的年金のパッシブ運用の動向も注目され、市場変化が近いといえるでしょう。
短中期は株価調整、ドル高調整の様相で、長期では株価上昇の勢いが鈍化するかもしれません。ドルもゆくゆくはBOX展開になりそうです。短中期、長期共に投資戦略や銘柄選定の再考が求められるかもしれません。
9~10月はシーズナルチャートから、調整・再開の傾向があるので、短期の深い調整には注意しましょう。短期下目線の回転を意識したとしても、中長期ポジションの目線は柔軟に判断したいところです。10月から11月に中長期トレンドが明瞭になると予想します。
■トレード・アドバイス
マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は先進国が100台に乗せるなど景気回復基調から、半年以降の経済見通しは明るいことを示唆しています。MSCI ACWI Index(世界株価指数)は堅調推移です。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは-0.39%と2か月連続マイナス展開。長期的な上昇傾向に陰りを見せています。
マーケットメモの総括としては、世界経済は回復傾向で中長期の投資戦略は上目線が基本方針ですが、成長鈍化の懸念が高まっています。3つの指数から長期的な市場観測にリスクオン4、リスクオフ6という局面を想定し、各市場・銘柄への投資姿勢を構築していきます。
■トレード・アドバイス
全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。
NEWS PICK OUT
■7月29日 ゴードマン・サックスが中国投資判断を引き下げ
ゴードマン・サックスはMSCIチャイナ指数の投資判断を引き下げました。中国の規制措置により、投資判断は下がりながら、経済発展の余地はあると判断。それでも米中貿易摩擦と中国の経済指標が鈍化傾向であることを考えると、投資局面としては「調整」が意識されると思います。中国景気が世界の経済市場を読むにあたり、非常に重要な要因となりそうです。
■9月13日 中国最大の不動産デベロッパー「中国恒大集団」の経営危機
中国恒大集団の経営危機に関する報道が過熱しています。中国恒大がデフォルトするのではという懸念から噂は広がり、中国バブル崩壊の警戒が、マーケットに混乱をもたらしています。ただし、人民元ドル、中国株インデックスは調整になりながら、押し目買いの意欲も強いと思われ、今回の下落は一過性のものと判断する関係者もいます。
中国へのネガティブ報道があっても、強い経済基盤は揺らがず、買い場探しの姿勢は続く見通しです。
■トレード・アドバイス
報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。
狐のミニミニコラム
今月はマーケットの目線判断と短期回転の打診技術を磨きます。テーパリング相場によって3年ほど金利動向が意識されるでしょう。予定調和のようにコロナ蔓延による経済鈍化も意識されます。ワクチン接種率、経済再開の時期は議論され続けると思います。
投資先、配分先、目線は決まりながら、コロナ後の世界経済の展開は未知な部分が多く、ダウンサイドリスクも高いまままで、長期的投資に手が出しづらい状況が長くなり、短期回転トレードの技術が重要になってくるでしょう。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
【打診 短期回転売買】 テストステージ
目先は「打診、テスト」姿勢でマーケットと向き合います。打診⇒短期回転売買の姿勢です。投資指針の軸は「株式市場の見極め」、「ドルBOX展開」が中心です。方向を見定めながら、テストステージとして投資に臨みます。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■米株 買い増し
- ■アジア投資が積極的
- ■オルタナティブ投資が増加傾向
- ■ダウンサイドの対応力
ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ファンダメンタルの状況から、米株の買い増しが増えています。米国長期金利の動向は下落局面を迎え、金利利回りの低下で株高が意識されるため、低金利・配当株高への構図が予想されます。他市場へのアジア投資など復活傾向にあり、オルタナティブ投資への熱も高まっています。
中国CTA(自動売買)ヘッジファンドは商品市場で上半期400%利益を到達。コロナによる不安定要素からボラティリティは高く、CTAに有利な地合いです。一方、マクロ経済変化でコロナ終息も意識され、商品市場への投資は停止、新しい投資先を探す姿勢になっているため、ダウンサイドへの対応力が試され、ヘッジファンドに有利な投資環境になってきた印象です。
Eurekahedge Hedge Fund Indexの8月の評価が+0.80%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが+0.14%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexは+23.59%、全体的にパフォーマンスは回復傾向となり、ヘッジファンドの投資環境が整った印象です。短期であれば、投資に挑みやすい地合いが予想されます。
SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は-1.91%と減少傾向、自動売買のSG CTA Indexは+0.17%、株価は-1.86%、FXは-0.06%、債券が-0.99%商品は+0.28%で、全体のポートフォリオは-1.86%です。全体的にリスクオフ局面で、CTA、商品市場が優位傾向で、市場局面にダウンサイドの対応が求められるシグナルです。
■トレード・アドバイス1
ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。
プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。
■トレード・アドバイス2
国際通貨先物市場(IMM)データをもとに、FXに役立つ情報を得ることも可能です。2021年9月17日週時点のデータとIG Client Sentimentも参考に、ドル円とユーロドルを見ていきましょう。
・ドル円:買いポジション減少、売りポジション増加⇒BOX目線、やや売り優勢
【買いポジション56%/売りポジション49%:中立優勢】
・ユーロドル:買いポジション増加、売りポジション減少⇒BOX目線、やや買い優勢
【買いポジション51%/売りポジション49%:中立優勢】
ヘッジファンドや機関投資家、投機筋の買い・売りにおける保有ポジションの状況から為替相場の動向を予想をします。IMMデータは「前週における分析結果」なので、現在のチャート動向との比較が大切です。
データの傾向から(1)から(4)の投資行動が考えられます。また、これらは中長期ポジションの目線であり、「自身の短期目線と同じかどうか」など投資姿勢の確認にも有効です。
(1)買いポジション過熱:下落の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、売り目検討もしくはシナリオの再考
(2)買いポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
(3)売りポジション過熱:上昇の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、買い目検討もしくはシナリオの再考
(4)売りポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
※(1)と(3)は「シナリオの再考」、(2)と(4)は「好機継続」と考えられます。
メインシナリオ
【2つの目線】 価格に従う
短期と長期の2つの目線の準備と打診をしていきます。もうすぐマーケットの節目が現れ、長期の方向性も見えてくると思います。ただしデルタ型変異株の流行もあるので、下落リスクが高まるかもしれません。
秋相場は調整傾向から、上下に打診が始まると思われ、ファンダメンタルの評価と株価の乖離も生まれ、相場予想は難しくなっていくでしょう。短期は価格に従いテクニカルで追いかけ、長期は一歩二歩引いてマーケットを観察しながら、見定めてゆくのが賢明です。
カウンターシナリオ
【弱気な秋相場】
調整下落が欲しい水準のため、弱気心理が蔓延すれば下落する可能性も考えられます。ダウのカウンターライン28000~30000を割り込む場合、買い目線はヤメです。株価の大幅な下落を呼び込む可能性があります。
新型コロナ流行再開、中国経済鈍化など、パニック相場には注意しましょう。どこで目線を切り替えるか、事前にシナリオを描くといいでしょう。
サブカウンターシナリオ
【新型コロナ再拡大の懸念】
各国でコロナワクチン接種が進みながら、新型コロナ感染者数の再拡大を見せる地域が急増し、不安が広がるシナリオです。米国でも3度目のワクチン接種予定など、ワクチン接種率、景気回復への動向がポイントです。
流動性相場から業績相場へ移行すると、上昇銘柄・下落銘柄の判別が必要となります。投資先の組み換え、テレワーク銘柄からアフターコロナの経済活動に向けた、次の銘柄を探ることになります。