2021年10月19日10:00 | シナリオ分析
【目次】
- グローバルマーケットの考察
- マーケットメモ
- NEWS PICK OUT
- 狐のミニミニコラム
- グローバルマーケットのシナリオ分析
- 直近1か月の投資スタンス
- ヘッジファンドの投資指針
- メインシナリオ
- カウンターシナリオ
- サブカウンターシナリオ
グローバルマーケットの考察
【主要銘柄の変動幅(8月)】
- ■ダウ:-1.41%
- ■日経:-7.58%
- ■S&P500:-2.35%
- ■DAX:-2.88%
- ■ドル円:+3.24%
- ■ユーロドル:-1.83%
- ■ビットコイン円:-33.47%
- ■ゴールド:-0.27%
- ■原油:+14.88%
- ■TLT(債券):-3.71%
株式市場は軒並み下落傾向、TLT(債券価格)ユーロドルも下落傾向。反面、ビットコイン、原油、ドル円は強い上昇傾向。株価調整が落ち着き、投資先が定まった印象です。市場構図が戻りだしています。
Fear&Greed Indexは32台の推移で、恐怖に包まれた地合いです。VIX(恐怖指数)は18%台で推移。2つの指数から、短期的な市場観測としてリスクオン3、リスクオフ7の割合での投資方針で問題ないでしょう。
マーケットメモ
【マーケットメモ(短中期)】
- ■2018年11月、2019年9月、2020年3月、5月、11月のマーケット変化に注目 ☆
- ■米国の景気刺激策への期待 ↑
- ■コロナ終息、経済正常化の織り込み ↓
- ■秋相場の調整 ↑↓
【マーケットメモ(長期)】
- ■主要中央銀行のテーパリング議論開始 ☆
- ■コモディティ・インデックス、エコノミックサプライズ指数に注目 ↑
- ■中央銀行デジタル通貨(CDBC)の検証 ↑
米テーパリングもマーケットに織り込まれる中、市場関係者も負けないようにマルチアセットやオルタナィブ投資などを増やしています。公的年金のパッシブ運用の動向も注目され、市場への投資構図が定まっています。
短中期は株価調整、ドル高調整の様相で、長期では株価上昇の勢いが鈍化するかもしれません。ドルもゆくゆくはBOX展開になりそうです。短中期、長期共に投資戦略、銘柄選定が定まり、方向性が明瞭になる想定です。
10~11月はシーズナルチャートから、調整・再開の傾向から、短期の深い調整には注意しましょう。短期の追いかけは一旦やめ、中長期ポジションの目線の判断を重要視したいです。投資比率、短期投資は2中長期投資を8の割合で検討したいです。10月から11月に中長期トレンドが明瞭になると予想します。
■トレード・アドバイス
マーケットメモを見ながら、このニュースが来れば、上昇するだろう、下落するだろうという目星をつけ、そのときどのような投資を行うか、リストアップすることをおススメします。
Composite leading indicator(OECD景気先行指数)は先進国が101台に乗せるなど景気回復基調から、半年以降の経済見通しは明るいことを示唆しています。MSCI ACWI Index(世界株価指数)は歴史的高値746台から713台に調整推移です。S&Pグローバル総合指数(米ドル建て)は、月初来リターンは+0.95%とプラス展開に転換。調整下落を狙ったショートカバーの反発、それとも回復が再開するのかを見極める展開です。
マーケットメモの総括としては、世界経済は回復傾向で中長期の投資戦略は上目線が基本方針ですが、成長鈍化の懸念が高まっています。3つの指数から長期的な市場観測にリスクオン4、リスクオフ6という局面を想定し、各市場・銘柄への投資姿勢を構築していきます。
■トレード・アドバイス
全体を俯瞰する視野と共に、細かいデータも見る習慣作りが大切です。これは天空の狐スタイルなので、自分に合うスタイルを模索してみてください。頭の整理と共に、上昇・下落・様子見といった投資行動の目線を定めることが肝になります。
NEWS PICK OUT
■10月23日 IMFの世界経済見通し 成長率を0.1%引き下げ
IMF(国際通貨基金)が発表した世界経済見通しでは、2021年の経済成長率を5.9%と、0.1%下方修正しました。
世界経済は依然、下振れリスク、高インフレ状態が長期化するとの予想です。中には欧州経済の回復が早い見込みである一方、日本や中国は鈍る予想をしています。
IMFの予想通り、欧州経済指標などは先行して回復基調が現れており、中国や米国は成長回復にブレーキを見せています。
経済動向の見通しから、コロナ後の世界でどこまで回復を継続できるかは重要なポイントになるでしょう。当面、伸びる国と鈍化する国と個々に見る必要があり、債券市場や金利動向が重要な指針となります。
■10月2日 Google銀行の計画断念
Googleがかねてより計画を進めていたスマホを通じての銀行サービスを見送るようです。
既存の金融市場に、IT企業が参入すれば、サービス競争が繰り広げられる期待がありました。金融業界参入のハードルは予想以上に高かったのでしょう。
フェイスブックやサムスン、アップルなどIT企業の挑戦はしばらく続くと思われます。ポイントは「金融市場の法律、規制、ルールが改正されるか」です。
IT企業のプロジェクとスピードが追いつくように、規制改革が進めば一機に金融業界への参入が進むでしょう。当面はロビー活動が中心となりそうです。
■トレード・アドバイス
報道を見たら、投資行動のシナリオを描きましょう。分析⇒投資の手順を踏むことが重要です。目先の相場に惑わされず、心身を整えて、データと共に相場へ向き合います。日々の報道から、上昇要因、下落要因、様子見と3つの投資指針をしっかり持つことで、瞬発的に動くとき・休むときのメリハリが生まれます。
狐のミニミニコラム
今月はハロウィン・ストラテジー。ハロウィン終わりに買って、4月末に売る、半年間の売買目線を検討します。目線の判断は11月25日の米感謝祭を境に例年は落ち着きます。大切な時季です。
直近の相場見通しは不透明であり、短期投資が軸足です。市場材料もネガティブ、ポジティブに挟まれながら、コロナ蔓延による経済鈍化も意識される一方、ワクチン接種率、経済活動再開の回復見通しが強まっています。
グローバルマーケットのシナリオ分析
直近1か月の投資スタンス
【打診 短期回転売買】 テストステージから保有を検討
目先は「打診、テストから、目線固定」姿勢でマーケットと向き合います。打診⇒短期回転売買の姿勢です。伸びるようなら保有してゆきます。投資指針の軸は「株式市場の見極め」、「ドルBOX展開」が中心です。方向を見定めながら、テストステージから目線固定の長期保有を意識して投資に臨みます。
ヘッジファンドの投資指針
【ヘッジファンドの投資指針】
- ■米株 買い増し
- ■アジア投資が積極的
- ■オルタナティブ投資が増加傾向
- ■ダウンサイドの対応力
ヘッジファンド、インディケーターの順でパフォーマンスを見ていくと、今後の投資戦略が見えてきます。ファンダメンタルの状況から、米株の調整下落が終えた局面から、買い増しが増えています。米国長期金利の動向は下落局面を迎え、金利利回りの低下で株高が意識されるため、低金利・配当株高への構図が予想されます。
テーパリング影響下で、市場参加者は慎重姿勢を深めながら、様々な市場へ。欧州債券、アジア投資など復活傾向にあり、オルタナティブ投資への熱も高まっています。目先、新興国投資は好機の印象もあります。米国株価が堅調ならば積極的になるでしょう。
全体を見渡すと、銘柄、投資先が定まり、アップサイド、ダウンサイドへのシナリオも固まり、ヘッジファンドに有利な投資環境になってきた印象です。
Eurekahedge Hedge Fund Indexの9月の評価が-0.44%、自動売買のEurekahedge AI Hedge Fund Indexが-2.06%、仮想通貨はEurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Indexは-8.29%、全体的にパフォーマンスは鈍化傾向です。株高の持ち合い、ドルBOXへの兆しです。ヘッジファンドの投資環境が整った印象です。短期であれば、投資に挑みやすい地合いが予想されます。
SG TREND INDICATORから過去1か月間の市場評価は+2.26%と増加傾向、自動売買のSG CTA Indexは+1.27%、株価は-0.02%、FXは-0.21%、債券が+0.97%商品は-0.21%で、全体のポートフォリオは+2.26%です。全体的にダウンサイドからの反発局面で、打診してゆくシグナルです。
■トレード・アドバイス1
ヘッジファンドのデータベースから、彼らの姿勢や目線、有効戦略が見えたら、同じようにするのか、それとも裏をかくかなど、現在のマーケットに有用な投資戦略が見えてきます。そして、どの市場のボラティリティが強くなるか、弱くなるかを見極めることにも繋がります。
プロが攻める市場、逃げる市場が分かれば、どこを主戦上とし、どんな戦略で挑むかを探る手助けになり、自ずと戦いやすい市場を見つけることに繋がります。
■トレード・アドバイス2
国際通貨先物市場(IMM)データをもとに、FXに役立つ情報を得ることも可能です。2021年10月16日週時点のデータとIG Client Sentimentも参考に、ドル円とユーロドルを見ていきましょう。
・ドル円:買いポジション減少、売りポジション増加⇒上目線、買い優勢
【買いポジション27%/売りポジション73%:売り優勢】
・ユーロドル:買いポジション減少、売りポジション増加⇒下目線、売り優勢
【買いポジション64%/売りポジション36%:買い優勢】
ヘッジファンドや機関投資家、投機筋の買い・売りにおける保有ポジションの状況から為替相場の動向を予想をします。IMMデータは「前週における分析結果」なので、現在のチャート動向との比較が大切です。
データの傾向から(1)から(4)の投資行動が考えられます。また、これらは中長期ポジションの目線であり、「自身の短期目線と同じかどうか」など投資姿勢の確認にも有効です。
(1)買いポジション過熱:下落の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、売り目検討もしくはシナリオの再考
(2)買いポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
(3)売りポジション過熱:上昇の可能性⇒様子見・調整・転換を見極め、買い目検討もしくはシナリオの再考
(4)売りポジション継続:トレンド継続⇒打診・追撃・利益確定を検討でき、好機継続
※(1)と(3)は「シナリオの再考」、(2)と(4)は「好機継続」と考えられます。
メインシナリオ
【2つの目線】 価格に従い、長期の目線
短期と長期の2つの目線の準備と打診をしていきます。マーケットの節目が現れ、長期の方向性が定まりだしています。打診から保有への意識を作り始める頃です。
秋相場は調整傾向から、長期トレンドが発生する傾向にあります。上下に動きながら打診が始まると思われ、ファンダメンタルの評価と株価の乖離も生まれ、相場予想は難しくなっていくでしょう。短期は価格に従いテクニカルで追いかけ、長期は一歩二歩引いてマーケットを観察しながら、見定めてゆくのが賢明です。
カウンターシナリオ
【弱気な秋相場】
調整下落が欲しい水準のため、弱気心理が蔓延すれば市場全体が下落する可能性も考えられます。
ダウがカウンターライン28000~33000を割り込む場合、買い目線はヤメです。株価の大幅な下落を呼び込む可能性があります。新型コロナ流行再開、中国経済鈍化など、パニック相場には注意しましょう。どこで目線を切り替えるか、事前にシナリオを描くといいでしょう。
サブカウンターシナリオ
【新型コロナ再拡大の懸念】
各国でコロナワクチン接種が進みながら、新型コロナ感染者数の再拡大を見せる地域が急増し、不安が広がるシナリオです。米国でも3度目のワクチン接種予定など、ワクチン接種率、景気回復への動向がポイントです。
流動性相場から業績相場へ移行すると、上昇銘柄・下落銘柄の判別が必要となります。投資先の組み換え、テレワーク銘柄からアフターコロナの経済活動に向けた、次の銘柄を探ることになります。