2021年10月中旬からの短中期マーケットの定量分析

【目次】

  • オリジナル定量分析
    1. 変化日
    2. マーケット構図
    3. 主要市場 回帰分析
    4. 市場分析の判断指針
    5. 注目 経済指標
  • 仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析
    1. NEWS PICK OUT
    2. ビットコイン円
    3. イーサリアム円
    4. リップル円

オリジナル定量分析

変化日

 変化日からマーケットの値動きを想定します。

  • ■為替相場:11月15日、22日、12月25日
  • ■商品市場::11月1日、8日、12月6日
  • ■仮想通貨市場:10月18日、11月29日、12月6日
  • ■株式市場:10月4日、11月1日
  • ■債券市場:11月2日

※9月20日の節目は機能しました。11月初旬に変化日が集中しており、市場に新しい変化をもたらすかもしれません

※10月18日時点、変化日とはオリジナルの定量分析で「マーケットシナリオを再考して、戦略を考え直す日」

マーケット構図

 市場構図は株価調整から反発、ドル高からBOX、TLT(債券価格)は反発気配で、ゴールドはBOX、原油は上昇再開、資源通貨も反発、ビットコイン高反発。

 債券やコモディティ市場が株高の抑制要因となり、市場の主役は原油の印象です。市場動向の判断として原油に注目です。原油が先行しての上昇反発、株高推移が維持され、心地よい地合い、ゴルディロックス相場となっています。

  • ■リスクオフ要素:ジャンク債(HYG)、CDS、TEDの監視、特にTLTの流動性
  • ■リスクオン要素:各国の緩和、景気刺激策
【参考】
finviz (株式市場の銘柄構成をヴィジュアルで確認しやすいサイト)
https://finviz.com/map.ashx?t=geo&st=w4

■トレード・アドバイス
 マーケット構図を把握することで、「投資シナリオを維持するか、再考するか」の判断ができます。例えば、基本構図が株高・ドル安で、次の日が株高・ドル高になれば、投資は様子見し、市場変化を見極める、という行動に移れます。

主要市場 回帰分析

スタンス トレード目線 カウンターライン
(orコアBOX)
価格推移予想BOX
TLT 強気 上昇基調 140±50 140.00~153.00
ダウ 中立気配 上昇基調 33300±100 33300~38500
S&P500 中立気配 上昇基調 4200±100 4200~4700
日経平均 強気、中立気配 上昇基調 26900±100円 26900~31000円±50円
DAX 中立気配 上昇基調 14720±50 14720~16500
EUR/USD 弱気 下落基調 1.1950±50 1.1410±50~
~1.1850±50
USD/JPY 強気 上昇基調 109円±50 108.80±50~
117.00±50円
BTC/JPY 強気 上昇基調 520万円台 500~800万円台
GOLD BOX、中立気配 BOX基調 1710±50~1850±50 1710±50~1850±50
原油 強気 上昇基調 61±50 68.00~90.00

※カウンターライン=投資目線を切り替える水準、損切ラインの参考値

※コアBOX=節目としての価格帯
※2021年10月20日時点

市場分析の判断指針

 ファンダメンタルとアルゴリズム(自動売買)の分析を比較して、現状3対7でアルゴリズムを優勢に判断します。経済指標の評価と株式市場の乖離に注目です。株価の水準を純粋に追いかける方が相性の良い地合いです。市場構図、銘柄選定、戦略が定まってきています。

 個人的には、ポションサイズは打診レベルの1/10~1/5サイズから増やして短期回転売買の打診が増えると思います。エントリーは攻める姿勢で打診、短期は価格動向を追いかけ、長期は長期で目線判断をしていきます。

 長期の目線では4、短期の目線は6の割合でポートフォリオを構築しようと思います。テストが終えた段階で伸びてゆく銘柄を探します。

注目の経済指標

 当面、中国や米国の景気回復度合いを見比べます。9月の製造業PMIは中国が49.6と2か月連続の低下で鈍化判断、米国は54.5と4か月連続低下、景気後退が濃厚となっています。

 消費者物価指数(CPI)は中国が0.7%と3か月連続の下落鈍化、商品市場の影響を背景に高止まりした印象です。米国は5.4%と、上昇結果からインフレ懸念を深めた印象です。株価の上値が重い展開はまだ続くかもしれません。

 世界各国の経済回復に陰りが生まれ、新型コロナウイルス感染拡大が再懸念。株式市場の価格と経済指標の評価に乖離が生まれる予想です。マーケットに不穏材料が織り込まれながらも、株価は高い水準を維持しており、突発的な下落リスクが高まっています。

 短期は株価の上値が重い展開が予想され、長期的に上昇基調であっても、回復が遅いと判断された場合、超短期の下落展開によって損失を被るかもしれません。

 株式市場の牽引された回復が止まりだし、四条さん貸家は他市場への選好を強めてゆく予想です。

【参考】
AssetMacro(マクロ経済データを閲覧できるサイト)
https://www.assetmacro.com/
【参考】
FRED(経済データ関連を閲覧できるサイト)
https://fred.stlouisfed.org/

■トレード・アドバイス

 経済指標は、GDPと消費者物価指数、製造業指数が判断材料の軸です。各国特徴があり、時期ごとに重要度合いは異なります。今は、製造業ですが、そろそろ、消費物価の注目度が高まる印象です。経済もブームがあり、タピオカの次はこの商品が来る、といったことと同じです(次は免疫を高める、ハチミツ?)。

主要な中央銀行の予想 2021年9月のFOMC予想

「CME FedWatch Tool」のドットチャートから、11月のFOMCのガイダンスを見直し、テーパリングの発表が予想されます。ドットチャートが変わったことにも注目です。

 市場のテーパリング予想は早く、利上げ局面が前倒しになる予想も織り込まれています。中国や米国の経済成長鈍化、インフレリスクへの警戒もありながら、ドルのBOX展開が続くようだとインフレの影響は緩やかになる見通しです。

【参考】
CME FedWatch Tool(FOMCの金利水準の予測ツール)
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

仮想通貨銘柄の回帰分析とテクニカル分析

 仮想通貨市場はCMC Crypto 200 Indexを見ると、ビットコイン、アルトコインは上昇加速で推移しています。グローバルマーケットの構図の定まりから、仮想通貨市場への選好も強まり、上昇の勢いが後押しされている格好です。

 仮想通貨ヒートマップ(下記リンク参照)を見ると、緑一色となり買い選好を強めています。CME仮想通貨の各オプション出来高の取引量は高騰傾向で、高いボラティリティから仮想通貨への投資熱が強い印象です。

 仮想通貨市場は上昇継続の見通しです。ドルインデックス、ゴールドの相関を考察しながらの判断が続きます。やや高騰の印象もあり、利確売りの下落幅に警戒です。

【参考】
CMC Crypto 200 Index 仮想通貨市場の指標
https://finance.yahoo.com/quote/%5ECMC200/history/
【参考】
仮想通貨ヒートマップ 市場の活況
https://finance.yahoo.com/cryptocurrencies/heatmap?.tsrc=fin-srch
【参考】
仮想通貨のオプションの出来高
https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-options
【参考】
仮想通貨市場の取引出来高
https://bitcoinization.com/top30crypto-vol.html

NEWS PICK OUT

■9月24日 中国人民元 仮想通貨の取引禁止
 中国人民銀行は9月24日、中国国内での仮想通貨の取引禁止を発表。報道を受け、仮想通貨市場ではマイナスに影響。また、仮想通貨のマイニング事業も規制強化策が発表されました。

 中国ではデジタル人民元の方を主導していきたいようですが、民間の仮想通貨事業を禁じることで、仮想通貨サービスの開発や人材の先行きに不安が残ります。生き残るのは政府管理下の仮想通貨なのか、自由な開発・発行をする仮想通貨なのか、注目です。

■10月15日 ビットコイン先物ETFの承認の見通し
 米当局がビットコイン先物ETFを承認する見通しが高まったと報道されました。これを受け、ビットコイン価格は急騰。ビットコイン先物ETFが誕生すれば、機関投資家の参入期待も高まり、市場規模の増大も見込まれます。

 ただし、市場の過熱面もあり、利確の下落幅には巻き込まれないように注意したい局面です。また、ビットコイン先物ETFの承認に関する報道が否定される可能性も考えられますので、油断は禁物です。

 継続的な上昇となるのか、やや懐疑的に考える参加者もいるようなので、調整幅には十分注意しましょう。高値圏で維持できるか注目です。

ビットコイン円

 ビットコイン円は、回帰分析では強気範囲(600~700万円台)で価格推移。上昇継続の展開で、短中長期で上昇基調を予想。基本は積み立て、中長期は上目線です。

 テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が上回り、短中期のMAはゴールデンクロスで、買いシグナルが点灯。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは上昇方向、買い継続シグナルが点灯。短中長期ともに上昇シグナルが現れています。

 回帰分析の強気範囲の上限800万円台へ向けて高騰しています。フィボナッチ分析から750万円台、840万円台が上値目途となります。サイクル&リズム分析ではローソク足は陽線5本、陰線2から3本リズムから、上昇リズムを形成しています。フォーメーション分析は形成中のため判断保留です。

 オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は700付近推移、スローストキャスティクスは80付近推移、価格推移からオシレーター系は50ラインを超え買い継続シグナル。

 注目度・先行性を測る出来高は増加傾向、売買意欲が強いです。価格帯別出来高から660万円台でサポートする支持帯を形成しています。底堅く展開しながら、次なる800万円台に向けての上昇が予測されます。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇基調です。フィボナッチ分析などから750万台、840万円台が次なる視野になります。

 弱気のカウンターシナリオとして、下値支持600万円台を下回る展開になれば500~580万円台へ下落展開への可能性も考えられます。高騰したことから、適正な調整範囲として捉える事もできます。

イーサリアム円

 イーサリアム円は回帰分析では強気範囲(43~47万円)の付近で価格推移しながら、短中長期は上昇展開が予想されます。

 テクニカル分析では、移動平均MA21など短中期のMAは上向きにゴールデンクロスで買いシグナル。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンはMA21への上昇線を描き、買いシグナル継続が点灯です。

 ローソク足は週足に目を向けると陽線4本、陰線2~3本とリズムの短期上昇リズムを形成です。サイクル&リズム分析からは、上昇リズムが強まり、継続的な上昇見込みです。一旦、深い調整も想定され注意が必要です。

 フィボナッチ分析から上値46万円、53万円台が抵抗帯の目安となります。回帰分析からは弱気範囲の下限28万円台までは押し目の目途となり、調整したらポイントです。フォーメーション分析では上昇フラッグ形成の可能性が高まり上昇継続のシグナル判断が近いです。

 オシレーター系のクラシックRSIは80台付近で推移、買い継続シグナル、スローストキャスティクスは80付近で推移しており、買い継続シグナルです。オシレーター系は全体に50ラインを越えて買い継続シグナル点灯です。

 注目度・先行性を測る出来高は、増加傾向で買い意欲が増加。価格帯別出来高から38~40万円台が価格支持帯となり、地盤を固めて、上昇継続を想定です。上値抵抗帯として、40~43万円台で価格推移したのち、50万円台へ向けての展開も予想されます。出来高分析からは買い支えのシグナルが強まっています。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、強気メインシナリオは上昇基調で、40~43万円台±1円で推移しながら上値を打診想定です。フィボナッチ分析から46万円台が重要となり、上値加速で53万円台±1万円を目標に強気展開が想定されます。

 弱気カウンターシナリオは32万円台を割りこみ、29万円台、25万円台、23万円台まで抵抗なく下がっていくようなら、売りの加速を呼び込むかもしれません。

リップル円

 リップル円は回帰分析の強気範囲(105~130円)の付近で価格推移。上昇再開から調整気配です。

 テクニカル分析では、価格は移動平均MA21などで上昇線から買いシグナルが点灯しています。短期MA、長期MAのゴールデンクロスで買いシグナルです。一目均衡表(イギリス&アメリカのスタイルで分析)の遅行スパンは横ばいからBOX調整シグナル点灯です。調整気配もあり、短期的な調整下落には警戒です。

 ローソク足は陰線、陽線約4本、陰線2~3本のリズムで、調整気配、押し目探しの展開です。サイクル&リズム分析ではサイクル変化から、急激な上昇展開から調整が意識されます。フィボナッチ分析から、下値89±1円、108±1円は押し目の目途とされます。上値は154±1円が意識され、何度か上値を試す展開が予想されます。フォーメーション分析は形成中のため、判断保留です。

 オシレーター系のクラシックRSIは60付近で推移、横ばい推移で、調整BOXのシグナル、スローストキャスティクスは70付近で推移から買いシグナルです。オシレーター系から50ラインを越えて買い継続シグナルとして判断できます。見方を変えれば、調整BOX推移する可能性も高まります。

 注目度・先行性を測る出来高は増加傾向で売買動向の変化が意識されます。価格帯別出来高から上値144~155ラインに厚い上値抵抗帯があり、当面、108~152±1円付近で地盤を固める想定です。出来高分析からは買いの支持が集まっています。同時に調整気配もあり、下値107±1円がサポートラインとなる予想です。

 これらのテクニカル分析から、今後の展開予想をまとめると、メインシナリオは強気の上昇基調となり、フィボナッチ分析などから、直近の上値目途154±1円に向けての展開が予想されます。ブレイクアップした場合190~195±1円への上昇加速が予想されます。

 弱気のカウンターシナリオも見ておきましょう。100~102±1円は押し目水準ながら、87±1円を下回る展開になれば、下落加速で50円台も想定されます。

Author

天空の狐

天空の狐

ALTS investor Media 編集部 IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。ブログ「天空の狐 ビットコイン&グローバルマーケット」、マネーポストWEB執筆中。Twitter:@firmamentfox

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